ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークによるブラームスの交響曲第2番他


ブラームス 交響曲第2番、アルト・ラプソディ他
 ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
 ソリ・デオ・グローリア 2007年ライヴ SDG703
SDG703

ガーディナーの運営によるソリ・デオ・グローリア・レーベルよりリリースされた、ガーディナー/ORRによるブラームス・プロジェクトの第2弾となるディスクです。

収録曲は①ブラームス アルト・ラプソディ②シューベルト 水の上の精霊の歌③同 タルタロスの群れ④同 御者クロノスに⑤ブラームス 交響曲第2番。③と④はシューベルト原曲のブラームスによる編曲版に拠っています。

このシリーズの第1弾である、昨年9月リリースの交響曲第1番を含むアルバムに関しては以前に感想を掲載していて、その新鮮なブラームス像に感心させられるものでしたが、今回の第2弾ディスクにおいても、前回同様、ブラームスと同時代の作曲家の声楽作品がカップリングされています。

演奏ですが、前半配置の声楽曲、後半配置の交響曲ともに前回同様すこぶるフレッシュな感触を満たした演奏で、特に交響曲第2番の演奏は、おそらくピリオドオーケストラによるブラームスのシンフォニー録音としては、前回の交響曲第1番の録音と並んで、ひとつの画期的な成果とも言えそうです。

ここでのピリオドアンサンブルの形成するハーモニーの個性感や特徴に関しては、概ね前回の交響曲第1番でのそれに類似し、例えばヴィブラートを抑制したフレージングラインが描きだす造形的輪郭の美しさ、あるいは清潔感豊かな古楽器の音色の魅力など、前回の感想と共通するものです。

それに加えて、今回のアルバムを聴いて印象的だった点は、ブラームスのシンフォニーに内在するところのある種の声楽的な歌謡性とでもいうような性質に、聴いていてかなり意識が向けられたことで、そのあたりは、少なくとも前回のアルバムでは、さほどには意識させられなかったことです。

それはおそらく、今回のアルバムのメインがブラームスのシンフォニーの中でも特に歌謡的側面の強い第2番である点や、その前に配置されているのが歌曲王シューベルトの声楽曲である点などによると思われますが、このあたりはガーディナーによる配曲の妙とも言えそうで、このブラームス・プロジェクトにおけるガーディナーのこだわりというかメッセージ性が聴いていて何となく実感できたような気がします。

また、ここでのガーディナーの指揮に関し、ピリオドアプローチによりながらも随所に即興的とも言うようなフレッシュな表情付けが聴かれてちょっと驚きました。

特に印象的だったのが終楽章コーダのティンパニの運用で、このパートはスコア上425小節でffとなるところ、このガーディナーの演奏では409小節のアタマ(8:30)からffで叩かせています。こういうのは初めて耳にするやり方ですが、聴いていてそうすることに対する不自然さがなくて、むしろある種の必然さえ感じられるくらいでした。

難点に敢えて触れるなら、演奏自体の完成度が、前回のアルバムの水準をやや下回る感じがするあたりでしょうか。特にナチュラルホルンに関しては、前回の録音ほどにはフレージングの切れや音色の強さに欠ける感じもします。第1楽章の展開部冒頭(10:00)からの第1ホルンのフレーズには音程にやや危うさがありますし、コーダ(17:20)からのホルンのソロも前半のフレーズの音立ちがキリッとしません(ただ、後半に入るとグッと良くなりますが)。

このあたりはライヴ取りゆえのムラとも思えるところですが、逆にいうなら、この演奏は紛れもなくライヴである、という事実が聴いていて良く実感されもしました。

以上、主に⑤の交響曲第2番の印象について書きましたが、①のアルト・ラプソディを歌うナタリー・シュトゥッツマンの名唱ぶりも印象に残りました。

言うまでもなく当代きっての実力派コントラルトとして認知されている歌手です。最近でもラトル/ベルリン・フィルの新譜、ラヴェル「子供の魔法」で母親役などを歌っているのを聴いたばかりですが、それとひき比べてもシュトゥッツマンの本領がより発揮されていると思われるのはこちらのアルト・ラプソディで、やはりこの人はオペラよりも歌曲の人だなと思いました。

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