カルミナ四重奏団の初のバルトーク四重奏曲集


バルトーク 弦楽四重奏曲第1番、第2番
 カルミナ四重奏団
 DENON 2008年 COGQ-37
COGQ-37

先週リリースされた、カルミナ四重奏団初のバルトークの四重奏曲集です。カルテット結成25周年の節目を迎え、満を持しての録音とのことですが、私も前々からカルミナ四重奏団のバルトークは聴いてみたいと思っていたところで、さっそく聴いてみました。

まず第1番の四重奏曲ですが、第1楽章冒頭から第1ヴァイオリンがややポルタメント気味に音を滑らかに引き摺るように開始され、以降も個々のフレーズの曲線的な軌跡が克明かつ美しく描き出されていて、ヴィブラートも明らかに多めです。さらには(4:30)からのモルト・アッパーシオナートでの思い切ったルバートなど、聴いていてロマン主義的な解釈を根幹とする様式がかなり押し出された表現という感じがします。

それは以降の楽章も同様で、第2楽章では例えばクライマックスたる(7:06)あたりの猛烈なルバートなどびっくりするほどですし、第3楽章では冒頭のチェロのモノローグに聴かれるエモーショナルな色合いといい、あるいは(1:43)からのmfフレーズを明らかにsfに置き換えたような解釈といい、まるで後期ロマン派作品のような表情を呈していて驚かされるものです。

次の第2番の四重奏曲ですが、こちらは前述した後期ロマン派風の第1番に比較して、むしろ印象主義的な色彩感を全面に押し出したようなスタイルを敷設している点に大きな特徴を感じ取ることができます。

この特徴に関しては、本ディスクのライナーノートにおいてカルミナSQヴィオラ奏者チャンプニーにより明示されている演奏方針でもあり、これらのバルトーク作品が、ラヴェルの弦楽四重奏曲から少なからぬ影響を受けたのではないか、という考え方に則しての解釈とされるものです。

このような印象主義を思わせるアンサンブルの色づかいというのは、前述の第1番の方でも少なからず耳にされましたが、むしろ第2番の方により顕著に現われているようです。とりわけ第3楽章全体に漂う、表面的な響きの美しさとは裏腹なまでの寄るべないハーモニーの浮遊感は、まるでドビュッシーを聴くような錯覚さえ喚起させられるほどです。

こうしてみると、今回のカルミナSQの演奏は、これらのバルトーク作品をおそらく確信犯的に後期ロマン派の最後端に位置づけたような表情が聴かれ、その結果としてこれまであまり意識されなかった角度からの作品の眺望がもたらされ、そのフレッシュな演奏カラーに聴いていて魅了させられると同時に、これらの作品の中に、これほどの隠された美が潜在していたのか、という点において率直に驚きを禁じえないものでした。

もっとも、前述のように本演奏の解釈は後期ロマン派の最後端としての位置づけにあると思われる以上、これらのバルトーク作品に対し20世紀音楽の起点としての意味合いを求める聴き手にとってはやや物足りなさが残るようなところはあるかも知れません。アルバン・ベルクSQほどではないにしろ、耳当たりとしては甘口的な感触が相対的に勝る演奏だからです。

以上のように、このバルトークはその強い個性感ゆえに賛否は分かれるところかも知れませんが、私にはカルミナSQの確固たる演奏ヴィジョンに裏打ちされた鮮烈な演奏内容と感じられました。第3番以降の録音も継続するのか、継続した場合は第1・2番と同じようなスタイルを貫くのか、ガラリと変えてくるのか、分かりませんが、ちょっと注目したいと思います。

さて、いよいよ明日から、ラ・フォル・ジュルネ開幕ですね。私も3日間、「熱狂の日」を楽しんでみたいと思います。

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