「ポール・パレーの芸術」第5巻<19世紀フランス作品集>


「ポール・パレーの芸術」第5巻<19世紀フランス作品集>
 パレー/デトロイト交響楽団
 マーキュリー(タワーレコード) 1956~61年 PROA-295/6

PROA-2956

「ポール・パレーの芸術」シリーズ最後となる第5巻で、収録曲はフランス系作曲家の19世紀作品で占められています。

収録曲は①ショーソン 交響曲②ラロ バレエ「ナムーナ」第1組曲③同 歌劇「イスの王様」序曲④サン=サーンス 歌劇「サムソンとデリラ」バッカナール⑤シャブリエ 気まぐれなブーレ⑥同 楽しい行進曲⑦同 スペイン狂詩曲⑧同 田園組曲⑨同 歌劇「いやいやながらの王様」よりポーランドの祭りとスラヴ舞曲⑩同 歌劇「グヴァンドリーヌ」序曲⑪サン=サーンス 交響詩「死の舞踏」⑫同 英雄行進曲⑬同 フランス軍隊行進曲。すべてステレオ録音です。

①のショーソンですが、演奏、音質ともに今一つというところでしょうか。音質は、この年代のマーキュリー録音にしては全体に厚みが乗り切らず、強音もやせ気味で、どうもモヤモヤした感じに聴こえます。演奏の方も、パレー/デトロイト響の絶好調における迫力から計ると、総じて燃焼感が不足気味のアンサンブル展開で、推進性を抑制し確たる歩調で進められる第1楽章なども、確かにフォルムのしっかりした、格調高い演奏ですが、表情として勢いに欠ける感が否めず、例えばパレー/デトロイト響の当時のライバルともいうべきミュンシュ/ボストン響が、1962年にRCAに録音した同曲の演奏と比べても聴き劣る印象が否めませんでした。

②と③のラロはかなりの名演だと思います。音質が①に比べて明らかに臨場感に富み、演奏としても各楽器の音色の魅惑の生きたアンサンブル展開から、パレー/デトロイトの美質が聴いていて良く伝わってくるものです。③「イスの王様」序曲の(2:45)からのアレグロのメイン・テーマに聴かれる素晴らしい充実感など、これを①のショーソンでも聴けたらさぞかし、と思わされます。

④および⑪~⑬のサン=サーンスも音質面では上記ラロと同格で、演奏もいいですね。ただ、⑪の死の舞踏などは、やや品が良過ぎる感なきもあらずで、もう少し狂想的な面を強調しても良さそうに思いますし、このコンビの演奏ならその余地も十分あるような気もします。

⑤~⑩のシャブリエは、音質的にも演奏的にも破格というべきで、全曲ともにパレー/デトロイト響の本領が満面に発揮され、それが最高クラスの録音によりこよなく助長された、すこぶるつきの名演です。ことに⑦のスペイン狂詩曲の素晴らしさは特筆的で、(1:05)からのホルン、(2:50)からのトロンボーンを始め、金管部の鳴りっぷりが充実を極めているのに加え、パレーの思い切りの良いオーケストラ・ドライブの切れ味も抜群、音質も半世紀も前の録音とは俄かに信じがたいほどで、「田園組曲」なども含め、シャブリエとしてはまさに最高級の演奏内容だと思います。

以上で、先月リリースされた「ポール・パレーの芸術」シリーズ全5巻についての感想をひと通り書き終えました。そこで、明日はパレー/デトロイト響のとっておきの名演ともいうべきCDについて取り上げてみたいと思います。

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