コルボ/ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルによるバッハのロ短調ミサ


J.S. バッハ ミサ曲ロ短調
 コルボ/ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル
 Mirare 2008年 MIR081
MIR081

先月の下旬にリリースされた、ミシェル・コルボとローザンヌ声楽・器楽アンサンブルによるバッハ・ロ短調ミサの新譜です。

声楽独唱は谷村由美子(ソプラノ)、ヴァレリー・ボナール(メゾ・ソプラノ)、セバスチャン・ドロイ(テノール)、クリスチャン・イムラー(バス)の4人ですが、この曲で声楽独唱4人という布陣は珍しいですね。少数精鋭というところでしょうか。

コルボ/ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルは、最近では昨年の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2008」で生演奏に接しましたが、その時のロッシーニ・小荘厳ミサ曲は、いまひとつピンと来ない印象があり、コルボの指揮は完璧、ローザンヌ声楽アンサンブルも名演、しかし作品自体の表出力に限界が、、、というのがその時の私の感想でした。

それに対し、この新譜のバッハ・ロ短調ミサは、そのロッシーニで感じた渇きを癒すような充実感豊かな演奏内容というのが率直な印象です。

この演奏においては、コルボの声楽作品に対する揺るぎない確信と、ローザンヌ声楽アンサンブル持ち前のミサ祈祷文(特にラテン語の)に対する抜群の歌唱力と、ローザンヌ器楽アンサンブル独特の声楽基調的なアンサンブル展開とが高度に結託し練り上げられた見事なバッハが展開されていて、聴き進むほどに音楽の懐の深さに魅了されるような感じがします。

同じミサ曲でありながら、やはり作品自体の表出力がロッシーニの小荘厳ミサとは段違いであるゆえに、コルボ/ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルの本来のポテンシャルがこよなく発揮されている感があり、例えば第6曲グラティアス・アギナムの(2:40)あたりような、息の長いクレッシェンドの頂点において声楽と器楽が形成する絶妙なハーモニクスの美観など抜群ですし、全体的な演奏の雰囲気としても、動的な激しさや音色の厳しさよりもむしろ音楽の静的な高揚力と内面的な深みを感じさせるものです。

実際このコルボのロ短調ミサは、演奏手法としては近年まれにみるほどにオーソドックスなもので、この曲の演奏において主流の古楽的なアプローチも殊更に強調されてはいませんが、オーソドックスであるがため、演奏主体が作品に込めた真っ直ぐな情感が聴いていてダイレクトに感得されるような趣きがあり、いわく形容しがたいほどの素晴らしい余韻をもって全曲を聴き終えました。

来月開催される「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2009」では本ディスクと同じ顔合わせで、このバッハ・ロ短調ミサの公演が予定されています。その公演チケットは先週購入済みですので、あとはコンサートを楽しみに待ちたいと思います。

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