ハイフェッツのソロによるシベリウス、プロコフィエフ、グラズノフのヴァイオリン協奏曲のSACD盤


シベリウス ヴァイオリン協奏曲&プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第2番&グラズノフ ヴァイオリン協奏曲
 ハイフェッツ(vn)
  ヘンドル/シカゴ交響楽団(シベリウス)
  ミュンシュ/ボストン交響楽団(プロコフィエフ)
  ヘンドル/RCAビクター交響楽団(グラズノフ)
 RCA 1959年(シベリウス、プロコフィエフ)、63年(グラズノフ) 82876663722
82876663722

昨日本ブログに感想掲載したハイフェッツのSACD盤と一緒に、先日CDショップで購入したもので、同じくSACDハイブリッド仕様盤です。

音質に関しては昨日掲載のSACD盤(ブラームス&チャイコフスキー)と同様、端的に素晴らしいと思える水準で、ことリアルなトーンの再現性という観点で通常CD盤を大きく上回る、申し分のない音質です。

演奏ですが、まず最初のシベリウスのコンチェルトはこの3演奏中でのベストだと思います。ここでのハイフェッツは、例えば昨日掲載のブラームスとチャイコフスキーのコンチェルトにおいて聴かれたような、テクニックの凄味を全開とし聴き手を圧倒させるというような気配が明らかに後退している感じがします。もちろん強靭なテクニックの凄味を叩きつける場面での表出力はただことでなく、例えば第1楽章コーダ(12:21)を皮切りとする、もの凄いハイ・テンポから繰り出される鋭利なボウイングのド迫力など、圧巻ですが、そういう技術主導的な迫力とは別に、もっと深沈的というか、作品を内面的に深く掘り下げて音化しようというような意識が聴いていて伺われる局面も多々あり、ハイフェッツの多くの録音の中でもひときわ円熟味の感じられる演奏と感じます。

よく知られるようにハイフェッツはこのシベリウスの協奏曲の魅力を世に広めた最高功労者であり、実際この作品の世界初録音を1935年にビーチャム/ロンドン・フィルと行い、その前年に録音されているストコフスキー/フィラデルフィア管の幻の世界初録音(これはハイフェッツのリリース許可が下りず最近まで長らくお蔵入り状態でしたが)も含めて、本演が3度目の録音となりますが、そのあたりのひとかたならぬ作品への愛着のようなものが、随所に滲み出るような、掛け値なしの名演です。

続くプロコフィエフの2番ですが、こちらもシベリウス同様、ハイフェッツの手により作品が世に広められた経緯があり、世界初録音もやはりハイフェッツです(クーセヴィツキー/ボストン響、1937年)。

ここでもハイフェッツのヴァイオリンの感触はシベリウスでの特徴感が継承されたような、内面的志向の強さが印象的ですが、ただ、シベリウスほどはシリアス味が控え目で、もっと肩の力を抜いたような、少なくともシベリウスよりは気楽なスタンスで軽妙に、それでいて危なげなく弾き切っているという風で、シベリウスとは別の意味での円熟味が伺える名演だと思います。

最後のグラズノフのコンチェルトに関しては、残念ながらソロ・オケともにいまひとつという感じがします。オーケストラに関しては多くを望めないとしても、肝心のハイフェッツのヴァイオリンの表出力が全体に振るわず、シベリウス、プロコフィエフから続けて聴くとおやっという気がします。作品との相性もあるのかも知れないですが、ハイフェッツの最晩年にかかる時期の録音ということも要因ではないかと思います。いかなハイフェッツといえども、この時期では全盛期のテクニックに比して、凄味が落ちてくるのはさすがに致し方ないというところでしょうか。

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