ベルリン・フィル創立125周年記念BOX(CD11)


ベルリン・フィル創立125周年記念BOXのCD11の感想です。

BPH0611
CD11:クルト・ザンデルリンクのハイドン交響曲第82番「熊」とショスタコーヴィチ交響曲第15番 BPH0611

ハイドンは1997年、ショスタコーヴィチは1999年のライヴで、いずれもザンデルリンク最晩年の貴重な録音ですが、ベルリン・フィルとの顔合わせというのも珍しいものです。

最初のハイドンは、ザンデルリンクとしては内容的にいまひとつというところで、特に仕掛けのない演奏というか、まるでベルリン・フィルに下駄をあずけているかのような、気さくで親しみのあるアンサンブルの表情に一定の魅力があるとしても、ザンデルリンクの演奏としてはどうも決め手に欠けるような印象が否めないところです。

ショスタコーヴィチの第15番ですが、こちらは非常な名演です。

第1楽章冒頭の弱奏部から怜悧なハーモニーのピリピリとした感じが良く伝わり、ハイドンの時より明らかに響きのフォーカスがビシッとしていて好感的ですし、打楽器の鳴りも、ハイドンの時のモコモコ感とはかなり違ってバシッと強烈に鳴り響いていていい感じです。(3:45)あたりの低弦の重みといい、(4:02)の打楽器最強打の凄味といい、いずれもザンデルリンクの表出力が端的に表れている感じがします。

第2楽章以降の演奏も見事で、ライヴの一発録りゆえの演奏ミスは(ベルリン・フィルと言えども)多少あるとしても、遅めのイン・テンポに立脚する造型的迫力といい、バスの力感の豊かなアンサンブルのスケール感といい、金管強奏の痛切な音色の訴えかけといい、まさにザンデルリンク迫真のショスタコーヴィチと言っても過言でない出来栄えではないかと思います。

ところでザンデルリンク指揮によるショスタコの15番の録音としては、クリーヴランド管と1991年に録音したエラート盤というすこぶるつきの名演が有ります。

WPCS-108334
ショスタコーヴィチ 交響曲第15番
 K.ザンデルリンク/クリーブランド管弦楽団
 エラート 1991年 WPCS-10833/4

このクリーヴランド管との演奏は、同オーケストラの機能的なポテンシャルをほぼ最大限に駆使したような精緻を尽くしたアンサンブル展開により、この作品に内在する狂気を孕んだ深いメッセージ性がこの上なく明晰な形で表現されたような演奏で、ザンデルリンクならではの凄味の発現の度合いも含めて、同曲屈指の名演ではないかと思われます。

対して、本ディスクのベルリン・フィルとのライヴは、そのクリーヴランド管の演奏と聴き比べて見ると、やはり雰囲気がかなり違うようです。スタジオ収録というコンディション下でのクリーヴランド管との演奏と違って、前述のように部分的にミスも入っているので、確かに完成度としてみた場合は本ディスクの方が分が悪いですが、しかし本ライヴのベルリン・フィルにはクリーヴランド管を凌駕する強靭なバスがあるためスケール味が豊かで、ライヴゆえの緊張感に満ちた音楽の佇まいも素晴らしく、総合的な表出力の度合いでは俄かに甲乙付け難い感じがします。

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