ベルリン・フィル創立125周年記念BOX(CD8・9)


ベルリン・フィル創立125周年記念BOXのCD8とCD9の感想です。

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CD8:ラトルによるマーラー交響曲第6番「悲劇的」 BPH0608

現ベルリン・フィル音楽監督サイモン・ラトルが1987年11月に初めてベルリン・フィルの指揮台に立ったコンサートのライヴとされる録音です。

ラトルはマーラーの6番を89年に手兵バーミンガム市立響とスタジオ録音していて、そちらも名演ですが、このベルリン・フィルとの初顔合わせのライヴはそれ以上に素晴らしい演奏内容だと感じます。少なくとも音質的には、こちらの方がEMIの若干くぐもったようなスタジオ盤よりも明らかに上です。

全体のタイムは79分で、87分をかけたバーミンガム響との録音からするとすっきりとしたテンポ感ですが、細部の迫力を極度に強調したようなスタジオ盤と違い、本ライヴではむしろオーケストラの圧倒的なポテンシャルを余すところなく活用したようなハーモニーの充実感が全編に漲り、とにかくリアルを極めたような迫真の響きが充溢しています。

第1楽章コーダ、あるいは終楽章(13:22)あたりでの、ベルリン・フィルを煽りに煽っての常軌を逸した迫力には、本当に度肝を抜かれる思いです。

これはまさに聴いていて胸のすくようなマーラーで、後年ラトルがベルリン・フィルを振ってEMIに録音した一連のマーラー(5番、9番、10番)よりも、内容的に数段上回るように思います。

楽章配置はEMI盤と同じく、第2楽章アンダンテ、第3楽章スケルツォのパターンです。

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CD9:バレンボイムのピアノと指揮によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番と交響曲第7番 BPH0609

1989年11月における「ベルリンの壁開放記念コンサート」のライヴ録音とされます。

両演奏ともに独特の高揚的なムードが印象的な演奏で、とくにピアノ・コンチェルトの方は、同じ顔合わせでのスタジオ録音である1985年録音のEMI盤と比べても、こちらのライヴの方が表情が立ち、音楽がより雄弁な感じがします。

ただ、これは「壁開放」記念のコンサートだからというより、バレンボイムがちょうどベルリン・フィルのポスト獲得を目論んでいた時期のコンサートであることも関係しているような気がします。

同年7月にカラヤンが死去し、ちょうどバレンボイムがアバド、マゼールらと次期音楽監督の座を争っていた時期のコンサートです。結果的には翌年にアバドが次期音楽監督に就任することになり、バレンボイムはさらに翌年シカゴ交響楽団のポストを手に入れることになりましたが、いずれにしてもこのライヴにおいては、おそらくベルリン・フィルのポスト獲得を目指してのバレンボイムの気迫というか意気込みというか、そういう心情が伺われるような果敢なオーケストラ・ドライブが強い高揚力を喚起させているように思われます。

ただ残念なのは肝心のベルリン・フィルが必ずしも本調子でないように思える点で、とくに第7交響曲は全体にヴァイオリン部や金管部の鳴りがいまひとつ振るわず、高声部の音色が抜け切らない感じがします。壁開放の祝祭ムードをバックに展開されるバレンボイムの気合い十分のアプローチが素晴らしいので、名演ですが、これでアンサンブルのレスポンスが十全だったら、と思うと惜しい気もします。

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