クーン/ボルツァーノ・トレント・ハイドン管によるブラームス交響曲全集


ブラームス 交響曲全集
 クーン/ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団
 コル・レーニョ 2007年 WWE60015
WWE60015

これはおととい購入した新譜です。ボルツァーノ・トレント・ハイドン管はイタリアのトレントを本拠地とする1960年設立のオーケストラで、2003年よりグスタフ・クーンを芸術監督に迎えてからはレコーディング活動も活発に行っています。

コル・レーニョからはすでに同じ顔合わせでベートーヴェンの交響曲全集がリリースされていますが、それは現代音楽をメイン・レパートリーとするコル・レーニョ・レーベルとしては異例ともいうべきベートーヴェン全集の録音として注目されました。

実際、私がこのコンビの演奏を初めて聴いたのがそのベートーヴェンの録音でしたが、その演奏の素晴らしさにびっくりさせられ、グスタフ・クーンという指揮者に注目するようにもなりました。ただ、その時点のクーンのディスコグラフィに交響曲は唯一、マーラーの9番があるのみでした。

今回のブラームス全集はその好評を博したベートーヴェン全集に続くリリースとなるもので、前述のようにコル・レーニョ・レーベルとしてはレパートリーとして異例のブラームス全集であると同時に、イタリアのオーケストラによるブラームス交響曲全集というのもこれまでありそうで無かったような気がします。

さて、その演奏ですが、率直に言って先のベートーヴェン全集ほどにはインパクトは強くありませんでしたが、それでも内容的には並々ならない名演で、かなりフレッシュな感触のするブラームス全集です。

クーン率いるボルツァーノ・トレント・ハイドン管のアンサンブルの最大の特徴は、チェロを中核とするバス低声部の響きが一貫して強い点にあり、この特徴は先のベートーヴェン全集と同様です。ただ、今回のブラームスは前回の小編成によるベートーヴェンと違ってそれなりに編成を膨らませているようで、そのぶんバス低声部の存在感が相対的に薄れていて、ベートーヴェンでの強烈感から計るとインパクトが幾分大人しいようにも感じますが、それでも十分に個性的なハーモニー・バランスが立ち現われています。

そのあたりの特徴感は、例えば交響曲第1番の第1楽章提示部で第1主題が奏されるあたりのチェロ合奏の音色の強さを耳にすれば容易に伺えるもので、明らかに通常の演奏とはバランスが違います。

そして、これだけバスが強いのにもかかわらず、ハーモニーの重厚感がそれほど強調されていない点も特徴的な感じがします。このあたりの、響きの量感よりも音色の強さを、という方向性は前回のベートーヴェン全集と同じ路線で、量感的迫力はいまひとつながらも克明きわまるバス低声部の表出力によりもたらされるフレッシュなハーモニクス、ピリッとした緊張感が素晴らしい聴きものとなっています。

ただ、前回のベートーヴェン全集では以上のような特徴に加え、アンサンブルの古楽器的な個性感もかなり強調されていて、そのあたりの面白さも独特だったのですが、それは今回のブラームスではそれほどには強調されていないようです。

全4曲とも味の濃い、見事なブラームスですが、その中でも白眉は第4シンフォニーだと思います。そこでは本演奏におけるバスの訴求力の高さと楽想の方向性とが驚異的なマッチングを示していて、ドイツ的な構えとは一味もひた味も違う、まさにイタリアのオーケストラならではの味わいのあるブラームスです。

コメント

 
とても詳しく書かれていたので感心してしまいました。ぼくのブログにブックマークつけさせてください。
初めまして。ウーツーさん。

>ぼくのブログにブックマークつけさせてください。

拙ブログをリンクしていただき、ありがとうございます。

当方からも、貴ブログへリンクを張らせていただきました。

今後ともよろしくお願いします。

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