ブリュッヘン/18世紀オーケストラによるハイドンのザロモン・セット全曲


ハイドン ザロモン・セット全曲(交響曲第93番~第104番)
 ブリュッヘン/18世紀オーケストラ
 フィリップス 1986年~93年ライヴ 442788-2
442788-2

おとといのブリュッヘン/新日本フィルのハイドン・コンサートを聴きに行く前日、ブリュッヘンがかつて18世紀オーケストラとライヴ録音したハイドンのザロモン・セット全集から、コンサート演目の3曲の録音をひと通り聴いておいたことを昨日のブログで書きましたが、そのザロモン・セット全集が本ディスクです。

このブリュッヘン/18世紀オーケストラの演奏は、古楽器オーケストラによる初のハイドンのザロモン・セット全曲録音という金字塔であるばかりでなく、内容的にもピリオド・アンサンブルならではの刺激的なフレージング展開やハーモニー・バランスの強烈味が、往年のブリュッヘンのアグレッシブな表現意欲によってこよなく増幅されたような驚異的名演です。

ところが、おとといのすみだトリフォニーのロビーにおいて販売されていたブリュッヘンのCDの中に、このザロモン・セット全集はありませんでした(代わりにクイケン/プティット・バンドのザロモン・セット全集が売られていました)。

よもやと思ってネットで調べてみたところ、何と現在廃盤となっているようで、どうも国内盤だけでなく外盤の方も販売されていないようです。

ハイドン・イヤーにも関わらず、このブリュッヘンのハイドンが廃盤状態とはちょっと驚きですが、これだけの名演ですから、早晩再発されるのはおそらく必定という気もしますね。

ところで、昨日のブログでちょっと書き落としたことがありますので、ここで書きます。交響曲第103番「太鼓連打」の第1楽章冒頭のロール打ちについてです。

この場面、おとといのコンサートではいきなり落雷のようなもの凄い豪打で開始され、驚かされました。このやり方はスコアの指示と全然違うものですが、それより私が驚いたのは、本ディスクに収録されている18世紀オーケストラとの録音(1987年のライヴ)に聴かれるやり方とも全く違っていたことです。

まずスコアですが、ここの指定は以下の通りです。
Haydn-103

このように、カッコつきppの変ホ音が示されているだけです。実際この通りに録音されているCDも少なくないですが、ここは当時の演奏習慣から、ティンパニ奏者が即興的なやり方でロール打ちすることが暗黙に期待されていたとする説がむしろ有力のようです。

その演奏習慣を踏まえ、このブリュッヘンの録音では、最初はピアニッシモで開始し、徐々にクレッシェンドするようにダイナミックな起伏が与えられたロール打ちが披露されています。

対して、おとといの実演では前述のように冒頭いきなりffから始められ、その後デクレシェンドするという、CDとは概ね逆のやり方が披露されました。つまりこの事実ひとつとっても、20年前の録音の流儀とは明らかに違っています。

そういうわけで、私はこのロール打ちを聴いた瞬間、この演奏はかつての18世紀オーケストラとの録音のイメージとは一線を画す、「現在の」ブリュッヘンのハイドンだなと、はっきりと知覚させられたような気がしました。

コメント

 
はじめまして

私も土曜日の演奏会に行きました。

ブリュッヘンのCDを随分前から所有していましたので、
「太鼓連打」の冒頭はCD同様にクレッシェンドで処理するのかと思っていましたら、
いきなりffのロール(Es音)をしてデクレシェンドするのかと思いきや、今度はEsとBでの即興的な連打をするという、
1987年のアーノンクール&コンセルトヘボウ盤を彷彿とさせられる処理でしたね。
ちょっと驚きでしたが、3回目の演奏会の「軍隊」のお茶目な軍楽隊をはじめとしたブリュッヘンの積極的な創意工夫が垣間見れて興味深かったです。

ハイドンの自筆譜は厳密にはppというデュナーミクの指示はなく単なるロールだけですが、
筆写譜によってはffであったり、<>とあったりしていましていますね。
ご指摘の通り、当時は自由な演奏がこのことからも伺えそうですね。
>はじめまして
>私も土曜日の演奏会に行きました。

こんにちは。

>ブリュッヘンのCDを随分前から所有していましたので、
>「太鼓連打」の冒頭はCD同様にクレッシェンドで
>処理するのかと思っていましたら、 いきなりffの
>ロール(Es音)をしてデクレシェンドするのかと
>思いきや、今度はEsとBでの即興的な連打をする
>という、1987年のアーノンクール&コンセルト
>ヘボウ盤を彷彿とさせられる処理でしたね。

この場面、昨日のブログでは「落雷のようなもの凄い豪打」と書きましたが、ちょうど私の座席がティンパニ奏者の真正面でしたので、まさに「近場の落雷」でした。

>ちょっと驚きでしたが、3回目の演奏会の「軍隊」の
>お茶目な軍楽隊をはじめとしたブリュッヘンの積極的な
>創意工夫が垣間見れて興味深かったです。

終楽章での軍隊行進ですよね。私はその演奏会には行ってませんが、CLASSICAさんの演奏会レポートで知りました。

>ハイドンの自筆譜は厳密にはppというデュナーミクの
>指示はなく単なるロールだけですが、 筆写譜によっては
>ffであったり、<>とあったりしていましていますね。
>ご指摘の通り、当時は自由な演奏がこのことからも
>伺えそうですね。

なるほど、ppは校訂者による記載ですね。御教示ありがとうございます。

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