ワルター/コロンビア響によるブラームス交響曲全集


ブラームス 交響曲全集
 ワルター/コロンビア交響楽団
 ソニー・クラシカル 1959・60年録音 SRCR8762~65
SRCR876265

昨日はブルーノ・ワルターが50年代にニューヨーク・フィルと録音したブラームスの交響曲全集を取り上げましたが、周知のようにワルターにはもうひとつの珠玉のブラームス交響曲全集があります。ワルターが最晩年にコロンビア響と録音した全集盤です。

このコロンビア響とのブラームスは、全4曲ともおおむね古典的な造型のバランスを保ちながらも、そこから自ずとにじみ出るような情動的ニュアンスにおいて希有の魅力を感じさせる名演で、アメリカのオケの色彩豊かなアンサンブルの響きからケバケバしさを削ぎ落とし、音響的にまろやかに仕上げ、気品と深みのある音彩を付帯させつつ、そこに最晩年のワルターの境地をアンサンブルに投影させたような虚飾無い音楽の味わいが素晴らしい聴きものとなっています。

コロンビア響の器楽編成がやや規模的に小さいため、弦の合奏の質感の軽さが気になる局面もあるとしても、そのぶん管パートの響きの表情の強さが引き立ってますし、弦についても、聴いているとむしろ個々の声部の生々しい迫力が直に伝わるような感があって、中音域レンジを中心に音響の密度的な濃さが並々ならない水準ですね。すこぶるコクのある強奏と、室内楽的に落ち着いた佇まいの弱奏との、絶妙なコントラスト、、、

ところで、このワルター/コロンビアのブラームス全集は古典的名盤として名高いものですので、ソニー・レーベルから過去に何度か再発されています。その中で、1992年に「ブルーノ・ワルターの芸術」シリーズとしてリリースされた国内盤が、上にジャケット表示したSRCR8762~65のものです。少なくとも私の印象では、このセットにおける音質が最もいいような気がします。

例えば、1994年にSBMリマスタリングとして再発された以下のCDの音質と比べると、同じ音源の演奏でも音質の差異が少なからずあるようです。

SMK64471
ブラームス 交響曲第2番・第3番
 ワルター/コロンビア交響楽団
 ソニー・クラシカル 1960年録音 SMK64471

上記のSBMリマスタリング盤は、確かに表面的にはスッキリとした聴感で、一聴すると従来盤よりも音質がいいような感じもするところですが、先に挙げた92年再発の非SBM盤の音質と聴き比べてみると、SBM盤の方が明らかにバスの量感が軽く感じられ、またアンサンブルの肉厚感もひとまわり細めで、少なくともボリュームを一定以上に上げた場合、SBM盤よりも迫力的に聴き劣るような印象が否めないところです。

もちろんSBM以後の音質がすべて落ちるというつもりはなく、おそらくケース・バイ・ケースだと思いますが、少なくともこのワルター/コロンビアのブラームスに関しては以上のとおりで、SBM以後のリマスタリングに関してもいまひとつ信用が置けず、結局SBMリマスタリング以前のセットが音質的にベストではないかというのが私としての印象です。

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog
Copyright © クラシックCD感想メモ All Rights Reserved.