N.ヤルヴィ/スコティッシュ・ナショナル管によるプロコフィエフ交響曲全集


プロコフィエフ 交響曲全集
 ネーメ・ヤルヴィ/スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
 シャンドス 1984・85年 CHAN10500X
CHAN10500X
これは昨年暮れに廉価で再発されたN.ヤルヴィのプロコフィエフ全集です。交響曲第4番は初稿版と改訂版の2種類が収録されており、また交響曲第7番の終楽章はコーダ付きの「初演版」で録音されています。

プロコフィエフの交響曲全集というと、ちょうど昨年12月上旬にゲルギエフ/ロンドン響の全集盤の演奏の感想を本ブログに掲載したところですが、このヤルヴィの全集盤は、ひととおり聴いてみた印象として、そのゲルギエフ盤とはかなり対照的な特徴を有する演奏でありながら、その特徴の発現力の強さという観点において、かのゲルギエフ盤とも甲乙付け難い名演ではないかと思いました。

このヤルヴィ盤の最大の特徴はアンサンブル高声部の発するケタはずれの表出力にあると感じられ、強奏時における金管の絶大な鳴りっぷりといい、稲妻のような高弦の音彩といい、いずれも強烈を極め、そのトッティでのハーモニーに聴かれる殺気立ったような凄まじい響きにより、プロコフィエフ特有の狂想的な音楽の醍醐味が強力に実感させられます。特に交響曲第2番、第3番、第4番の3曲に関しては、まさに熾烈な音楽に拮抗する熾烈な演奏という感じで、例えば交響曲第3番冒頭の強和音のハードな耳当たりなど、聴いていてゾクゾクさせられるような強烈味があります。

逆にこのヤルヴィ盤の演奏の弱いところはおそらく低声部で、どの演奏でも総じて高声部の表出力にすこぶる磨きがかけられている反面、バスの量感や強度感はそれほど高くなく、アンサンブル全体にいまひとつ重みが乗らない印象を感じます。ゲルギエフの演奏ではバスを中心とする低声部の充実感が際立っていただけに、そういう印象が助長されるのかも知れないですが、この点においてゲルギエフの全集盤とは対照的な色合いが示されているとも言えそうです。

したがって、極端に言えばこのヤルヴィ盤の演奏とゲルギエフ盤の演奏を足して2で割ればある意味理想的な演奏ということになるのかも知れませんが、それはさすがに乱暴な話で、少なくともこのヤルヴィ盤もゲルギエフ盤同様、プロコフィエフの交響曲全集のひとつの極みを示す素晴らしい演奏内容と感じました。

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