カルロス・クライバー/ドレスデン国立管によるウェーバー・歌劇「魔弾の射手」全曲


ウェーバー 歌劇「魔弾の射手」全曲
 C・クライバー/ドレスデン国立歌劇場管弦楽団
 グラモフォン 1973年 F70G20052/3
F70G200523
カルロス・クライバーのオペラ盤感想記シリーズの第4回です。この「魔弾の射手」は言わずと知れた、クライバーのデビュー盤です。

音質に少しクセがあり、響きの高低分離が過分に強調されていてソノリティにいささか不自然さが感じられるところですが、クライバーのオーケストラ・ドライブの鮮烈なインパクトはさすがという感じがします。歌唱陣にややアクの弱い印象もありますが、オーケストラの醍醐味を中心に楽しむには最高のディスクではないかと思います。

冒頭の序曲の、アレグロに移行して第1主題を導入するチェロ、第2主題のクラリネット、このあたりの音色の精彩の立っていること。クラリネットといえば、第1幕第4場のマックスのレチタティーヴォからアリアへ移る場面で響く高音の音色の優雅さも素晴らしく、このパートはオペラ全体を要所で華やかに彩っていて、その音色には聴いていて魅了されられます。

しかし、このディスクでの最高殊勲パートは、おそらくヴァイオリンです。フォルテッシモでの、沸点突破的な鮮烈な色合いはまさにクライバーの演奏ならではの凄みに満ち、わけても、第2幕終盤のクライマックスたる魔弾鋳造シーンのアンサンブルの凄まじさは圧巻であり、ものすごいテンポの追い込みと相まって、ドラマティックの極みです。

対して、歌唱陣は全体にリリックに傾斜したキャスティングとなっているようで、マックス役シュライアーはアリアでの叙情的な歌唱が光るものの、高音の屈強感が弱いですし、芝居気もひかえめなのがちょっと物足りないところです。アガーテ役ヤノヴィッツも同傾向で、アリアはひたすら美声ですが、シュライアー以上に芝居気が薄いようです。逆にエンヒェン役マティスとカスパール役アダムは芝居気じゅうぶんで、全体にはバランスは取れてはいますが、やはりこれはクライバーを聴くディスク、という感じですね。

昨年リリースされた「ばらの騎士」も含めて、これでカルロス・クライバーの残した正規のオペラCDについては、ひと通り感想記を掲載したことになります。

そこで、今後はこれら正規盤以外の、クライバーのオペラ全曲盤についての感想記を掲載していく予定です。

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