上岡敏之/読売日響の演奏会について


昨日のコンサートの感想です。今日はまず上岡敏之の印象について書きます。

プログラムがちょっと異色ですね。前半の冒頭に、いきなり当夜4曲中最大の演奏時間を要するマーラーが配されている点、マーラーの交響曲の後休憩無しでモーツァルトのピアノ協奏曲が配されている点、そして後半冒頭にヨゼフ・シュトラウスのワルツという聴き慣れない演目が配されている点などです。

このヨゼフ・シュトラウスのワルツは、実はリヒャルトの「ばらの騎士」第2幕終盤に出る有名な「オックスのワルツ」の原型となった作品のようです。当夜は続けてその「ばらの騎士」組曲が演奏されたため、2つのメロディがいかにソックリかが聴いていて良く分かりました。

さて、上岡敏之は一部に熱狂的なファンを有するほどの人気指揮者とされていますが、私の印象では、少なくともそのCDの演奏を聴く限りは、それほどには、、、というのが率直なところでした。

とはいえ、録音だけだと伝わりにくい何かがあるのかも知れないので、そのあたりを実演で確かめてみたいと思ってコンサートに足を運んでみました。

前半のマーラーはかなり物足りなさの残る演奏で、再弱音の張り詰めるような緊張感、前半から中盤までの陶酔的なアンサンブルの流れなど魅了される部分も少なくないものの、後半の山場での不協和音の最強奏がいかにもソフトで響きの鋭角感に欠け、トランペットのA音強奏の強度不足も含めて、肝心なところが迫力不足という印象が否めませんでした。

しかし後半のヨゼフ&リヒャルトの両シュトラウスは好演、ことに「ばらの騎士」組曲は非常な名演で、アンサンブルの表情の強さ、響きの精彩、湧き立つような音色のメリハリ感など、いずれも抜群の水準で安定していて、まさに原曲のオペラティックな醍醐味を彷彿とさせるまでの素晴らしい躍動味と陶酔感を纏った演奏でした。

上岡の指揮はオーヴァーアクションなまでにダイナミックなもので、両手のみならず体全体を常に駆使し、時には指揮台の上で飛んだり跳ねたりも厭わず、という風で、見ていて全身で音楽を形成するというような情熱性の漲る指揮ぶりでした。それが音楽の表情の強さに対して(視覚効果を含めて)一定の作用を及ぼしていたことは確かだと思います。

いまひとつ印象的だったのがピアニッシモ時における極端に動きを抑制した指揮棒の動きで、時には棒をピタッと静止させてもいましたが、これは強奏時のダイナミックなアクションからするとモーションの落差があまりに極端です。これが再弱音での張り詰めるような緊張感をアンサンブルから誘うとともに、フォルテに対しての強いコントラストをも励起させているような気が見ていてしました。

後半の両シュトラウスの好演ぶりに比して前半のマーラーがいまひとつだったのが引っ掛かるところですが、プログラム構成上の機知も含めて、全体としては上岡の非凡な才の一端が垣間見れたような演奏会でした。

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