ハンク・ノックスによるフレスコバルディの鍵盤のための作品集


フレスコバルディ 鍵盤のための作品集
 ノックス(cemb)
 アーリーミュージック 2007年 EMCCD-7767
EMCCD-7767
これは先月リリースされた、ジローラモ・フレスコバルディの鍵盤音楽で編まれたアルバムで、以下の作品が収録されています。
①「カプリッチョ集 第1巻」よりド・レ・ミ・ファ・ソ・ラのカプリッチョ、ラ・ソ・ファ・ミ・レ・ドのカプリッチョ
②「トッカータとパルティータ集 第2巻」よりカンツォーナ第1~4番、トッカータ第1・7番、ガリアルダ第2・3番、コルレンテ第1番
③「トッカータとパルティータ集 第1巻」より「パッサカーリャによる100の変奏」
④「フランス風カンツォーナ集」よりアリア「バレット」

以上のように、構成上のメインは②の「トッカータとパルティータ集 第2巻」ですが、それに①、③、④を交えて配曲したアルバム構成になっています。

フレスコバルディは言うまでもなくスヴェーリンクと双璧をなすヨーロッパ鍵盤音楽の開祖的存在ですが、その鍵盤音楽の演奏ディスクとしては、私の印象としては「トッカータとパルティータ集」といった曲集単位での録音がほとんどで、このアルバムのように、複数の曲集から奏者が自由に作品を選んでアルバムとして構成するというようなディスクは割合少ないように思います。そんなところに興味を惹かれて軽い気持ちで購入してみました。

聴いてみるとこれが素晴らしい演奏で、ハンク・ノックスの奏でるチェンバロはクリアーで純度の高い音色と絶妙なニュアンスの彩りの添えられたタッチを駆使しながら、フレスコバルディの音楽の美しい構築性とともに、美しいメロディの形成するマドリガル的な味わいをも随所に感じさせる練達の演奏となっていて、聴いていて心が清々しい思いで満たされるような、その独特の開放感に何とも言えないものがあります。

実際このディスクの演奏は、既出のどのフレスコバルディの録音と比べてもひときわいいと思いましたが、その要因には、上に書いたような奏者の名演ぶりの他に、アルバムの配曲に工夫がされていることと、チェンバロの調律にも工夫が凝らされていることなどが関与しているように思います。

アルバムの配曲ですが、一般的な曲集単位のディスクだと例えばトッカータのみ、カンツォーナのみ、あるいはカプチッリョのみとなり、これだと続けて聴いているといまひとつ変化に乏しい印象も伴うところ、このディスクではそのあたりがうまくメリハリ付けられていて、続けて聴いていても単調感をさほど感じません。

チェンバロの調律に関してはライナーノートに詳述されていますが、平均律ではなく純正律に近い1/4コンマ・ミーントーンという調律法が採用されているため、個々の音の濁りが最小限に抑制され、純度の高い音色が器楽的に担保されるというものです。したがって、演奏を聴いて感じた個々の音色のクリアーに澄んだ色合いは、演奏者のテクニックのみならず調律上の効果にも拠るものということのようです。

以上、このディスクは軽い気持ちで購入したところが驚くほどの名演で、これを聴いてフレスコバルディの音楽の良さを再認識させられたような感じがしました。

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