ルイージ/ドレスデン・シュターツカペレによるブルックナー交響曲第9番
ブルックナー 交響曲第9番
ルイージ/ドレスデン・シュターツカペレ
ソニー・クラシカル 2007年ライヴ 88697299642

現在ドレスデン・シュターツカペレの音楽監督を務めているファビオ・ルイージによる初のブルックナーとなるディスクで、SACDハイブリッド仕様でのリリースです。将来の巨匠とも目されている実力派若手指揮者ルイージが、ドレスデンの名門オーケストラを駆りどのようなブルックナーを聴かせるのか興味深いところで、さっそく聴いてみました。
第1楽章は冒頭のppから(2:22)のfffに到るまで、緻密に練り込まれた感じのアンサンブルから発せられる、透き通るように見晴らしの良いハーモニーのパースペクティヴと、シャープに冴えた音色と、引き締った音響密度の充実感に惹きつけられます。テンポはいくぶん遅めですが奇異性は特になく、アーティキュレーションも堅実。展開部以降も同様で、例えば(14:25)からのfff全奏など、全管パートを強力に鳴らしながらも全弦による隈取りがキリリと響いていたり、どんなに音量が伸びても克明かつ立体的なハーモニー構成に対して危うさがなく、その意味での安定感は素晴らしいですが、反面、アンサンブルの重厚感や音色の濃密感などは聴いていていまひとつの物足りなさがあり、腹にズドンとくるような重みというか、そういう手ごたえは全体にいまひとつです。
第2楽章は主部の全奏強和音の鮮烈ぶりが尋常でなく、鋭利な刃で切りつけるようなシャープなアーティキュレーションが音響的にすこぶる痛烈です。このあたり、ルイージの現代的感性がよく発現されている感じで、それに高感度に応答するドレスデンのオケのアンサンブル能力にも聴いていて感心させられますが、量感面がいまひとつなのは全楽章同様で、これでバスがもう少し強ければさぞかし、という気もします。
終楽章も印象的にはここまでと同様で、重みよりも鋭さ、コクよりも透明感、というようなルイージのアンサンブル運用の方向性におおむねブレはなく、それがために感得される音楽としての深みが最大限には伸び切らないような印象も伴うとしても、表現としては一貫性があり、それによりもたらされる美質も少なくないです。なかんずく(22:00)近辺のクライマックスなど、フルボリュームでの透明感が圧巻で、その複層的な迫力には思わず息を呑むほどです。
全体としてこの演奏は、長短含めてドレスデン管のブルックナーというよりルイージのブルックナーという側面の強い演奏ですが、世界最古のオーケストラのブルックナー演奏におけるひとつの到達点として傾聴に値する内容ではないかと思います。
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