オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団によるチャイコフスキー交響曲全集&管弦楽作品集の感想


チャイコフスキー 交響曲全集&管弦楽作品集
 オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団
 ソニー・クラシカル 1958~1976年 88883737162
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ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団によるチャイコフスキー交響曲全集&管弦楽作品集。

・交響曲第1番「冬の日の幻想」・第2番「小ロシア」
フィラデルフィア・サウンドというのかオーマンディ・サウンドというのか、なんともゴージャスな音響美の充溢する演奏で、チャイコフスキーの一連の交響曲の中でも1番と2番あたりだとダイレクトにオケの美質が活きる感がある。

・交響曲第3番「ポーランド」&弦楽セレナーデ
「ポーランド」は第1楽章序奏部の音質が何かザラついてる感じで、主部に入っても音がパリッとしない。このせいか、オケの響きも少しモッサリしているように聴こえる。しかし楽章が進むにつれて音が冴えていき、終楽章はフィラデルフィア管の美麗なサウンドが存分に発揮されていて秀逸。弦セレはポーランドよりもかなりオン気味で、鮮明だが、ふくよかさに欠けるきらいもある。アンサンブルは流石に上質で、オケの特性も音楽に良くフィットしている。

・交響曲第4番&1812年ほか
交響曲第4番は冒頭のトランペットの芝居がかった吹き回しにのけぞる。音楽のエンターテイメントな側面を印象づけられ、以降もリッチなフィラデルフィア・サウンドの威容を前面に押し出した、きらびやかな演奏が展開される。耳当たりの良い、美麗な響きの美しさには傾聴させられるが、このくらいの後期作品ともなると、いまひとつ陰影不足かとも思ってしまう。「1812年」は音質がパッとせず迫力不足。他の埋め草2曲はムードチックな楽想なのでオケの特性に合う。

・交響曲第5番&スラヴ行進曲&イタリア奇想曲
この交響曲第5番はこのコンビとしては会心の演奏という感じがする。少なくとも同じセットの交響曲第1番から第4番の録音よりも格段に音の訴求力が高い。上質なフィラデルフィア・サウンドというだけでなく、内的な充実に満ちたチャイコフスキーの名演。終楽章など圧巻としかいいようがない。スラヴ行進曲とイタリア奇想曲はいまいち音が冴えない。

・交響曲第6番「悲愴」&フランチェスカ・ダ・リミニ
この「悲愴」は名演というほかなく、 同じセットの交響曲第5番と甲乙つけがたい。音質に少しムラがあるが、全体的にアンサンブルの充実感が並みでない。弦の冴えていること。フィラデルフィア・サウンド絶好調の壮麗なチャイコフスキーというべきか。フランチェスカ・ダ・リミニも悪くないが、「悲愴」のあとで聴くと少し聴き劣りがしてしまう。

・交響曲第7番&ロココ主題変奏曲
交響曲第7番はキワモノとはいえ聴いていると随所にチャイコフスキーの他のシンフォニーの残滓が垣間見れる。第1楽章は全体的に「悲愴」第3楽章に楽想が似ているし、第2楽章の後半の盛り上がりは第5交響曲の第2楽章に雰囲気が近い。第3楽章は初期の交響曲のスケルツォのムードがするし、終楽章は交響曲第4番の終楽章の再来というべきか。演奏はロココ主題変奏曲ともども、オケの特性を活かした甘美な響きに仕上げられている。

・マンフレッド交響曲
名演。このセットのチャイコフスキー交響曲全集は第5と「悲愴」、このマンフレッド交響曲の3曲が飛び抜けて素晴らしい。基本的にはオーマンディ/フィラデルフィアらしい厚みのあるリッチなサウンドの利を活かした正攻法の行き方だが、全体にオケの表出力が充実を極め、ことに終楽章など、畳み掛けるような弦の迫力といい、強力無比な金管の咆哮といい、聴いていて惹きこまるばかりだ。

・ピアノ協奏曲第1番
 テッド・ジョセルソン(P)
・ピアノ協奏曲第2番
 ゲイリー・グラフマン(P)   
両曲ともに名手のピアニストをソロに立てての華やかな演奏で、オーソドックスな解釈ながら絢爛な響きで音楽の魅力を引き出すことに成功している。協奏曲第2番は音が少し硬いが、ピアニズムの切れが素晴らしい。外面的な音楽だが、こういった名手のピアノで聴くと素直に惹きこまれてしまう。

・ピアノ協奏曲第3番
 ゲイリー・グラフマン(P)  
音質面で少し弱いが、やはりグラフマンの練達のピアニズムが素晴らしい。展開部後半あたりの指さばきなど、超人的ですらある。しかしオーマンディ/フィラデルフィアのバックは全体に音がモッサリしているが、音質のせいか? ちなみにこの協奏曲第3番は同じセットに含まれている交響曲第7番の改作として知られる曲。冒頭ファゴットで出る第1主題など交響曲第7番の最初の主題とまったく同じだ。

・バレエ音楽「白鳥の湖」~ハイライト
さすがにフィラデルフィア・サウンドの音響美というべきか。こういう作品を演奏させたら天下一品。多分に外面的な響きであり、陰影に欠けるが、作品のカラーに対しての相性は抜群にいい。

・バレエ音楽「眠れる森の美女」~ハイライト
これは素晴らしい。オケの特性と曲との相性がバッチリというのか、見事なまでの音響美に酔わされてしまう。同じチャイコのバレエ音楽でも前年録音の「白鳥の湖」よりもこちらの方が音楽的に上だと感じた。いずれにせよ、このコンビのベスト録音のひとつだろう。

・バレエ音楽「くるみ割り人形」~ハイライト&幻想序曲「ロメオとジュリエット」
 「くるみ割り人形」はかなりいい演奏なのだが、「眠れる森の美女」のあとで聴くと少し聴き劣る感もある。とはいえ、このコンビの本領がいかんなく発揮された美演というべきだろう。「ロメオとジュリエット」は、随分もったいぶったテンポの割りにはオケの鳴りっぷりがベストと言い難く、いささか中途半端な演奏に終始している。

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