マタチッチ/N響の1967年のワーグナー・ライヴ


ワーグナー 管弦楽作品集
 マタチッチ/NHK交響楽団
 キングレコード 1967年ライヴ KICC3073
KICC3073
これは昨年の12月にリリースされた「マタチッチ・N響 伝説のライヴ」全8タイトルの中の一枚です。収録曲は①「さまよえるオランダ人」序曲②「ローエングリン」第1幕への前奏曲③「タンホイザー」バッカナール④「神々の黄昏」ジークフリートのラインへの旅~ジークフリートの葬送行進曲~終曲。

マタチッチ&N響のワーグナーというと、すでにリリースされている1975年録音のアルトゥス盤の演奏が凄かったので、同じコンビによるこの67年ライヴもおそらく凄いだろうという予測のもとに購入して聴いてみたところ、予想以上に凄くて驚かされました。これはアルトゥス盤よりもワンランク上の超名演というのが率直な感想です。

おそらくマタチッチの全盛期の演奏という点に加えて、東京文化会館での収録という好条件の影響もあるような気がしますが(ちなみに75年のアルトゥス盤はNHKホールです)、とにかく全曲ともに圧倒的な演奏内容で、これほどの録音がこれまで日の目を見ず眠っていたという事実にはちょっと驚かされます。

最初の「オランダ人」冒頭から弦の猛々しいうねりが強烈で、ことに地深くから沸き起こるような低弦のリアルな脈動ぶりなど、まるでドイツのオーケストラのような重厚さと力強さが感じられるほど。ここでのN響の表出力は充実を極めたもので、(5:10)での天に抜けるような神々しいクレッシェンドといい、(9:55)あたりの金管の深々としたアーチの神々しさといい、現在のN響とは別のオーケストラとさえ思えるほどの表出力に圧倒させられます。そういう意味では、おそらくN響のひとつの黄金時代における貴重な録音という感じがします。次の「ローエングリン」の(6:01)あたりの極限的濃密度しかり、「タンホイザー」の(3:16)あたりの常軌を逸したド迫力しかり、、、

最後の「神々の黄昏」はマタチッチの配曲により編まれた組曲形式で、「ジークフリートのラインへの旅」の前の序奏部分から始められていて、オペラ本作のダイジェスト版のような感じです。演奏内容はまさに熱演で、綺麗ごとから遠く離れたN響迫真の響きが全面に充溢し、とくに葬送行進曲から終曲に移行するあたりの音楽の揺さぶりの激しさには聴いていて強烈な印象を与えられました。

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