セル&ドレスデン・シュターツカペレのザルツブルク・ライヴ集


セル&ドレスデン・シュターツカペレのザルツブルク・ライヴ集
 セル/ドレスデン・シュターツカペレ
 アンダンテ 1961・65年ライヴ AN2180
AN2180
このアンダンテ盤はリリース自体は2005年にされていましたが、今年になって低価格で再リリースされたため、それを機に購入したものです。

収録曲は、CD1の方がベートーヴェンのコリオラン序曲、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、交響曲第5番「運命」で、61年8月6日のザルツブルク祝祭大劇場でのライヴ。「皇帝」のソロはニキータ・マガロフ。CD2の方がベートーヴェンのエグモント序曲とブルックナーの交響曲第3番で、こちらは65年8月2日のザルツブルク祝祭大劇場でのライヴです。

ジョージ・セルはスタジオ録音とライヴとでかなり表情形成に差をつける傾向の強い指揮者ですが、このドレスデン・シュターツカペレを指揮してのコンサートにおいても、やはりそういう傾向が強くでている感じがします。

最初のコリオラン序曲からそうで、セルのスタジオ録音に聴くベートーヴェンとは一味違う燃焼力を感じさせる演奏です。手堅さよりも気迫を重視した表情の強さと、ドレスデンのオーケストラの味の濃く、飾らない音色の魅力(ことにホルン強奏の土臭い音色の感触)とが結託し、すこぶる充実した聴きごたえをもたらしています。音質もわりあい良く、モノラルですがこもった感じは少なく、強弱のレンジもまずまず。ただ音量レベルが低めなので、再生時のボリュームは高めに維持する必要があるようです。

次の「皇帝」もパリッとした快演で、オーケストラに関してはコリオランでの充実感がそのまま移行した感じになってますし、マガロフのソロも健康的にして格調高く、フレージングにやや型はまり的な側面もあるとしても、張りのあるタッチから展開される音色自体の魅力が高くて聴いていて惹き込まれるものがあります。

続く「運命」は、内容的には決して悪くないですが、同じくセルのザルツブルグ音楽会における「運命」のライヴである69年のウィーン・フィルとの超絶的名演(オルフェオ C484 981 B)と比較すると、この61年のドレスデン・シュターツカペレとの「運命」のライヴは、率直に言ってかなり落ちる感じがします。確かにアンサンブルの充実感としてはコリオランや「皇帝」に輪をかけて良く、特に金管パートの表出力が抜群で、クライマックスでの強烈な色彩感や濃密感など、スタジオ録音時のセルとは一線を画する凄味を放っていますが、それでも、あのウィーン・フィルとの69年の「運命」での、極限まで張り詰めるような緊迫感には及ばない感じがあり、あちらを基準に考えるとやはり聴き劣るように思います。

CD2の65年ライヴのエグモント序曲も同じで、やはり69年のウィーン・フィルとのエグモント序曲の方が熾烈な感じがします。ドレスデンのオケよりもウィーン・フィルの方がセルの棒に対する呼応力の高い(つまり相性がいい)のかもしれないですが、音質の差も結構大きいような気がします。このアンダンテ盤の音質自体も前述のように悪くないですが、オルフェオ盤はかなり上質なステレオ録音なのでどうしても不利ですね。

最後のブルックナー3番は、冒頭のトランペットがちょっと冴えない感じで心配しましたが、全体的には名演で、セルとしてはいまひとつキメが粗い演奏ながら、伝統色豊かなドレスデンのオーケストラの音色の良さが端的に活かされた味の濃い響きがいいですし、ライヴ時のセル特有の、妥協を許さない張り詰めた表情の形成ぶりも素晴らしい。セルのザルツブルグ音楽祭でのブルックナーは、ウィーン・フィルとの交響曲第7番の68年ライヴもリリースされていて(オルフェオ C704077L)、そちらも名演ですが、このドレスデン・シュターツカペレとの65年の3番もそれと同格の名演だと思います。

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