「バイロイトの第9」その4:ミソス盤


ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」
 フルトヴェングラー/バイロイト祝祭管弦楽団
 ミソス 1951年ライブ MPCD9017
MPCD9017
2007年の暮れにリリースされたミソス・レーベルによる「バイロイトの第9」です。CD2枚組でのリリースで、2枚目のディスクにはフルトヴェングラー/ベルリン・フィルのシューマン交響曲第4番のスタジオ盤(1953年録音)がカップリングされています。

ミソス復刻CDでは、フルトヴェングラーのブラームス4番(ティタニア・パラスト・ライヴ)の音質の良さに仰天させられた記憶が新しかったので、この「第9」にもかなり期待していました。また「バイロイトの第9」では既にグランドスラム盤、オタケンの再リリース盤という高音質復刻盤があるので、それらと
比べてどうだろうかという興味もありました。

それら既出盤との聴き比べの結果も含めて、このミソス盤の印象を端的に述べると、確かに音質面では抜きん出ているものの、鑑賞上の問題がいくつかある、というものです。

まず音質ですが、印象としてはグランドスラム盤、オタケン盤より一回り上という感じがします。グランドスラム盤での腰の強さとオタケン盤での鮮明感とを併せ持ったような感じで、復刻水準としては確かに驚異的なレベルだと思いました。

ただ、既出の2盤と比べて圧倒的にいいというほどでもなく、その意味で、かつてグランドスラム盤を聴いたとき、既出盤との次元の違いに大感動したようなインパクトはここには薄いです。

問題点の方ですが、大きく3点あります。①スクラッチ・ノイズの多さと②終楽章が別CD収録である点と③終演後の拍手の収録が無い点です。

①ですが、これはおそらくLPからの音採りの際に極力ノイズ除去を控えているためと思われますが、場面によってはいささか耳障りに感じられます。第1楽章冒頭の弦の2回目の下降の時にブチッと強烈なのが入ってますし、第3楽章などもかなり大きめです。音質自体が非常にいいので、つい高めのヴォリュームで聴いてしまうんですが、そうするとノイズ音も強調されるため、そのぶんだけ演奏への意識の集中が阻害されるよう恨みがあります。

②ですが、このミソス盤は前記のようにCD2枚組でのリリースなんですが、具体的には「第9」の第3楽章までがCD1に、終楽章とシュマ4全曲がCD2に収録されています。したがって、「第9」の第3楽章が終わって終楽章に入る前にCDを取り替える必要があります。

しかし、そもそも「第9」の第3楽章と終楽章は極力続けて演奏されるべきものですし、実際フルトヴェングラーもそうしています。聴く方にしても、第3楽章から終楽章に入る際の表情の激変が「第9」の大きな醍醐味のひとつです。

演奏タイムの点でも終楽章だけ分ける必要は無いはずなんですが、それをわざわざしているのは、おそらくカップリングのシュマ4が入っている2枚目のディスクとの収録時間のバランスをとるためとか、そんな理由ではないかと思います。

③については、コーダの例の超絶的なアッチェレランド→拍手というイメージが私の中でほとんど固まっているため、拍手がないと何となく据わりが悪い感じがしてしまうからです。

以上のような理由で、このミソス盤は確かに音質改善面では率直に感心させられましたが、バイロイト盤のクリティカル・チョイスとしてはちょっとどうかなというのが私なりの感想です。

明日は、オルフェオ盤(C754081B)を取り上げます。

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