ゲルギエフ/ロンドン響によるプロコフィエフの交響曲全集(その1)


プロコフィエフ 交響曲全集
 ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
 フィリップス 2004年ライブ 4757655

先週サントリーホールで聴いたゲルギエフ&ロンドン・シンフォニーのプロコフィエフの感想については既に一昨日の当ブログで書きましたが、同じ顔合わせで既にリリースされているプロコフィエフの交響曲全集の録音についても、この機会にひと通り聴き直してみました。以下、曲別に感想を書きます。今日はCD1とCD2に収録の4曲についての感想です。

最初の第1番は、純音楽的な美演という風です。ゲルギエフにしては重低音の強調はおおむね控えめで、オーケストラの洗練された音色の美感と、軽妙なテンポ感に基づく音楽の洒脱味が大事にされている感じがします。フルートのソロがやや冴えないようにも思うんですが、全般には響きの色合いが立っていて、クラリネットなどは優美で味のある音色です。

つづく第4番は、第1番とはアンサンブルの雰囲気がガラリと変わるような感じです。優美で軽妙なムードから一変、かなり重々しく 下卑で粗野なムードがオーケストラから捻出されています。アーティキュレーションは重厚味を増し、ハーモニクスの厚みも段違い。第1楽章アレグロ・エロイコの第1主題の、強和音の強烈なこと! 第2テーマのフルート(3:21)も、第1番の時より響きに冴えが出ていて、一安心。展開部から再現部にかけての音楽の荒びた迫力はここでの白眉で、ガツンガツンとした音響の感触がたまらないですね。中間の2楽章で面白いのは音色の質で、本質的に格調高い響きのロンドン響から、ゲルギエフができるだけ荒々しい粗暴な音色を引き出そうとしている風であり、第1シンフォニーの時とは別のオーケストラとさえ思えるほどです。フィナーレも、弦と打楽器がパリッとしていて、バスも豊かで申し分なし。コーダの最強起伏での、緊迫に満ちた音響の張り!

次の第2番は、第1楽章冒頭のフォルテッシモから、耳を切り裂くような熾烈な響きの色合いがすさまじく、この作品が、プロコフィエフの前衛精神が炸裂した名作であることを再確認させられます。人気が今ひとつなのは、良い演奏が少ないからだと思われますが(録音そのものも少ないですが)、このゲルギエフ盤の水準なら、この曲の真価を伝えるに十分ではないかと。(6:48)あたりの緊迫感など、じつに素晴らしい。第2楽章(20:05)から(第6変奏終盤)のクライマックスの凄いこと!

第3番は、第2番の後に聴くとやや割を食う感じですが、演奏の充実味は並でなく、常に屈強なフォルテの感触、弦楽器の切れ味の鋭さ、管楽器の音色の冴え、ことに(5:45)あたりの、木管と金管の熾烈なハイ・トーンのたたみ掛けの凄まじさ。終盤(8:45)からの盛り上がりの凄絶ぶり。第2楽章以下も、ロンドン響の力感と精度を満たしたアンサンブルの冴えが驚異的ですし、終楽章の再現部~コーダにかけての、世界の破滅のような響きも圧巻ですね。

CD3とCD4に収録の4曲についてはまた後日。

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