NHK交響楽団の定期演奏会(4/13 NHKホール)の感想


前半のショスタコーヴィチ・ヴァイオリン協奏曲第1番ではヴィクトリア・ムローヴァのヴァイオリンソロが恐ろしいほどの切れ味を披露し聴いていて感服の至りだった。

この曲は昨年のラ・フォル・ジュルネで聴いた庄司紗矢香のソロによる演奏が今でも耳に焼き付いているが、今回のムローヴァの弾き回しは庄司紗矢香のそれに勝るとも劣らないものであり、盤石のテクニックをベースに鋭利なボウイングから展開される峻烈なアーティキュレーションが、このショスタコーヴィチ特有の悲痛にして沈思的な音楽を実に雄弁に切々と奏でていき、モスクワに生まれモスクワ音楽院に学んだムローヴァの経歴を今さらながらに再認識させられるほどに堂に入ったショスタコーヴィチだった。惜しむらくはオーケストラの伴奏が凡庸で凄味を欠いていたことで、ソロが圧巻だっただけに非常に残念な思いだった。

後半はラフマニノフの交響曲第2番。指揮者のピーター・ウンジャンは東京カルテットの元ファースト・ヴァイオリン奏者で、指の故障を機に指揮者に転向し、トロント交響楽団の音楽監督を務めるなどキャリアを重ね、現在はロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の音楽監督の任にあるとのこと。

正直に言って演奏から受ける感銘の度合いは低かった。アンサンブルを適度に鳴らし、ほどほどに盛り上げ、そつなく終わる、そんな演奏で、速めのテンポでスイスイ進む、実にスムーズなアンサンブルの運びであり、アンサンブルの完成度も高かったが、いかんせん個々のメロディの引っ掛かりに乏しく、最強奏は凄味に乏しく、という按配。

カルテット奏者あがりの指揮者の経歴からすると、あるいは主旋律を徹底的に歌い抜くのかと思ったが、そうでもないし、はたまた異なる声部同士の緊密な連携が最重視されているのかとも思ったが、そうでもないしで、けっきょく最後まで指揮者のコンセプトがピンと来ず仕舞いだった。今回がN響との初共演らしく、今後の共演時にはもう少し指揮者のカラーが出た演奏が聴けるだろうか。

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