シュトゥットガルト放送交響楽団の来日公演(4/9 サントリーホール)の感想


2013-04-09b.jpg

シュトゥットガルト放送交響楽団の来日公演をサントリーホールで。指揮者はステファヌ・ドゥネーヴ。ドイツの名門オケの公演にしては珍しいオール・フランス・プログラム。

まずベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」。この曲は昨年末にトゥールーズ・キャピトル管の来日公演で演奏されたのを聴いたが、あのときはフランス生粋のオケのゴージャスな音響美に素直に酔わされたが、今回のシュトゥットガルト響のベルリオーズはフランス風に洗練された優美なサウンドでありながらも、トゥールーズよりずっとストイックな音の佇まいを印象づけられ、このコンビの音楽造りの方向性が僅かながら垣間見られた。

続いてフランス生まれの名手エリック・ル・サージュをソロに迎えてのラヴェル・ピアノ協奏曲。ル・サージュのピアニズムは何より音の優美さが印象的で、近年実演で耳にしたピアニストの中でも個々の音のえもいわれぬ美しさという点においては一頭地を抜いていたように感じられた。強音でもデリケートなタッチでふわっとした感じのエレガントな音の色彩を醸し出し、聴いていて夢のような心地に誘われる思いだったし、アンコールのモーツァルトも最弱音の幻想的なタッチにも大いに惹かれた。

後半はラヴェルの「マ・メール・ロワ」とドビュッシーの「海」。いよいよドゥネーヴ/シュトゥットガルトの本領発揮といった感じで、要所要所でノリントン時代には希薄だった柔らかみを帯びたエレガントなフレージングを絶妙に織り交ぜつつ繊細な音の絵巻物を織りあげるようにアンサンブルをキメ細やかに紡ぎ、このコンビならではの豊かなファンタジーに満ちた演奏をホールに現出させ、聴いていて耳を奪われることしきりだったし、同じホールで2年前に耳にしたノリントン/シュトゥットガルトの実演の時よりも深く感動したほどだった。

ただ、例えば「海」における最強奏の大音量でも音の芯まで聴こえてくるような澄んだ響きの特性など、おそらくノリントン時代のピュアトーンの遺産なのだろう。これまでに蓄えてきたオケの希有の美質をドゥネーヴが活かしつつ独自の方向で音楽造りを推し進めているというべきか。今後このコンビには大いに注目したいと思う。

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog
Copyright © クラシックCD感想メモ All Rights Reserved.