東京都交響楽団の定期演奏会(4/8 東京文化会館)の感想


東京都響の演奏会を東京文化会館で。英国出身のジェームズ・ジャッドを指揮者に迎え、イギリス作品をメインに据えたプログラム。

まずエルガーの序曲「コケイン」。快活な曲想の親しみ易い作品だが、ジャッドは羽目を外さず丁寧に都響のアンサンブルをコントロールし穏健ながらも堅実な演奏を展開。もう少し羽目を外して盛大に盛り上げてもと思わなくもなかったが、フレージングの節々に匂わせたノーブルなメロディの肌ざわりなど、この作品の性格の一端が巧妙に音化されている気がして好ましかった。

続いてフランチェスコ・ピエモンテージをソロに迎えてベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。ピエモンテージは1983年スイス生まれというから今年30歳のピアニストで、かのアルフレッド・ブレンデルに才能を見出され、これまで数々のコンクールに入賞しているとのこと。なるほど師であるブレンデルゆずりとも思える稠密なタッチで描き出された陰影の豊かなベートーヴェンに聴いていて惹きこまれたが、意識的に強いタッチを避けているような風でもあり、いささか迫力不足、表出力不足と思えてしまったし、正直ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番あるいは皇帝あたりだとちょっとどうかと思いもしたが、この曲に関してはピアニズムのベクトルが作品の性質と良く調和していて、その何ともいえない詩的な音楽の趣きに素直に魅了させられた。

後半はヴォーン=ウィリアムズの交響曲第4番。ここでのジャッドの指揮ぶりは素晴らしく、前半のエルガーでの穏健な姿勢から一転、冒頭の不協和音からオケを熾烈に鳴らして緊迫に満ちた音楽の情景をまざまざと描き出し、じめっとした抑圧感に包まれた第2楽章、名状しがたい重圧感と闘うような第3楽章、意気揚々とした終楽章の凱歌と、この交響曲のヴォーン=ウィリアムズにしては異色ともいうべき表情の振幅を間然とするところなく描き出していたと思われたし、このジャッドのアグレッシブな指揮に都響のアンサンブルも喰らい付いて迫真の演奏を展開し、聴いていて惚れぼれするばかりだった。

もう20年以上も前だがヴォーン=ウィリアムズの交響曲第4番はエイドリアン・ボールト指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のCDで初めて聴いて、その強烈な楽想に打たれた。それゆえ個人的にはボールトの録音が今でもスタンダードとなっているが、当夜のジャッドの指揮には同じ英国の先達ボールトに似たような正統派のヴォーン=ウィリアムズ演奏としての表出力が随所に感じられた。あまり演奏されない曲だが、指揮者に人を得て充実した演奏を聴けて何よりだった。

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