ミュンシュ/ボストン響によるロマン派作品のライヴ録音集(CD4・5)


「ミュンシュ・コンダクツ・ロマンティック・フェイヴァリット」
 ミュンシュ/ボストン交響楽団
 ウェスト・ヒル・ラジオ・アーカイヴ 1951~57年ライヴ WHRA6017

引き続き、CD4とCD5の感想です。

CD4の収録曲はドヴォルザークの「新世界」とリヒャルトの「ドン・ファン」です。ともにミュンシュの正規録音は残されていませんが、ドヴォルザークの交響曲では第8番のみRCAに録音しています。アメリカの名門オーケストラを擁していながら「新世界」ではなく8番を録音するくらいですから、「新世界」はてっきりレパートリーにしなかったのだろうと思っていました。そういう意味では、このミュンシュの「新世界」は本ライヴ集の目玉ともいえそうです。

その「新世界」の演奏ですが、まず音質があまり振るわず、鮮明感こそある程度は確保されているものの、全体にダイナミックレンジがナローで、音響的に平板な感じが否めません。管楽器の音色も総じて冴えず、特に第2楽章のイングリッシュホルンの音色はかなりチープな感じに響き、音色にも潤いが薄く、あまりパッとしません。

ですが、それでもこの「新世界」は名演と感じました。アンサンブルの発する情熱的なまでの表出力の度合いが高いからで、前のめりのオーケストラ・ドライブが展開する怒濤のような音楽の流れがすこぶる痛快であると同時に、そこには音質以上に伝わるものがあるように思います。例えば終楽章の(2:29)あたりのつんのめるような猛加速や、(8:32)での最強奏の強烈味など、聴いていて圧倒されるような聴き応えがありました。確かに音質的には冴えないですが、ミュンシュの演奏の中でもかなり存在感のある「新世界」だと思います。

「ドン・ファン」の方もミュンシュらしい味の濃い表現で満たされた名演だと思いますが、リヒャルトとしてはCD1の「死と変容」よりは充実感がやや落ちるようです。

最後のCD5ですが、歌曲の方はゼーフリートの可憐な歌い回しが聴きもので、オーケストラ伴奏も味わい深い音色で独唱に応答しています。

「英雄の生涯」は、アンサンブルのバラつきがかなり耳につきます。全体的に演奏にまとまりのない感じで、アンサンブルの線を合わせるのに一苦労といった様相です。リハーサル不足という感じでしょうか。いずれにしても、内容的にはかなり平凡で、聴くべきものは少ないと感じます。

「ディヴェルティメント」は、タングルウッド音楽祭でのライヴです。あまり録音されない珍しい曲で、そういう意味でも貴重ですし、演奏もまずまずですが、原録音のマスターテープに欠損があるようで、ところどころ演奏が欠落しているのが残念なところです。

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