トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日公演(12/10 サントリーホール)の感想


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トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日公演をサントリーホールで。指揮者はトゥガン・ソヒエフ。

オール・フランス・プログラムで、前半がベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」およびサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番(ソリスト諏訪内晶子)、後半がベルリオーズの幻想交響曲。前半の2曲では文字通り耳の御馳走というべき演奏が披歴された。ソヒエフはアンサンブルを快適なテンポで走らせつつトゥールーズのオケの有する芳醇にしてゴージャスな色彩美を存分に印象づけ、その卓抜した音響美に素直に酔わされたし、諏訪内のボウイングの訴求力も並のものでなく、得も言われぬほど雅やかなフレージングの美しさも素晴らしく、またトゥールーズのオケとは何度か共演を重ねているということでアンサンブルとの完璧な呼吸による掛け合いの妙も抜群だった。

後半の幻想交響曲は単純に耳の御馳走というに留まらない強力な表出力を帯びた圧巻の演奏内容だった。当夜ロビーで入手したプログラムには幻想交響曲に対する演奏コンセプトとして「標題音楽という性格を強調しすぎることのない器楽的解釈」に基づくとあった(P.31のソヒエフのインタビュー記事)が、ことテンポ運用に関しては確かにテンポを揺らしたり遅めたりという動きの総じて抑制された、少なくとも造形的には純器楽風ともいうべき行き方のベルリオーズだったがアンサンブルの練り上げる音響的な硬柔のメリハリに関しては、その振幅の度合いが尋常でなく、楽章が進むに従い加速度的に増大する音楽の緊迫感の形成において鬼才と謳われるソヒエフの本領を垣間見る思いだった。

第1楽章と第2楽章に関しては前半同様このオケの美質を十分に引き立たせつつ日本のオーケストラからでは容易には耳にし得ないような濃厚にして魅惑的な色彩美をホールに充溢させ、第3楽章においてはアンサンブルの艶やかな響きの中にも暗くアンニュイな響きの色合いを絶妙に織り交ぜていきながら、第4楽章と終楽章においては響きの美しさよりも音楽の戦慄性に重きを置いたような劇的インパクトに満ちた表情形成に移行し、そこでの絶大なダイナミックレンジやフォルテッシモでの熾烈な色合い、そして終楽章での奇怪的にして頽廃的な響きの感触やクライマックスでの壮絶を絵にかいたような音響展開など、いずれも聴いていて息を呑むほどだったし、かのゲルギエフの弟子筋とされるロシアの鬼才指揮者ソヒエフの、本質的にタフでリアリズム志向の音楽造りに、フランスの名門オケであるトゥールーズのアンサンブルが持つ音響的な特性が巧い具合に融合していることにも感服させられた。

盛り沢山のアンコールもあり終演は9時半過ぎとなった。

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