ドレスデン・シュターツカペレ来日公演(10/22 NHKホール)の感想


2012-10-22b

前半がブラームス交響曲第3番、後半がブラームス交響曲第1番。いずれも遅めのテンポをベースにアゴーギグの変化を闊達に組み込み起伏感の豊かな音楽の造形を創出する、その点では往年のドイツの巨匠指揮者の様式をも匂わせる、ティーレマン一流のロマンティック・スタイルによるブラームスが披歴された。

例えば交響曲第3番の冒頭だと、まず急速テンポで開始するも第1テーマのフレーズ後半から大きくリタルダンドしたり、展開部の冒頭アジタートのシーンを猛烈なスピードで走り抜けたかと思うと展開部後半ではどっしり腰を落としたスローテンポで押し通す、という按配で、とにかくテンポの出入りが激しく、それに起因するドラマティックな起伏を聴いていて否が応にも印象づけられる。

このようなティーレマン独特の大胆なアンサンブル展開は諸刃の剣ともいうべき印象があり、確かにブラームスの音楽に内在するロマンティックなメロディやドラマティックな起伏感を絶妙に引き立たせ、聴いていて陶然としたり心揺さぶられたりする瞬間もしばしば訪れたが、局面によっては大仰な音楽の身振りが少々芝居がかったような趣きを匂わせ、聴いていて興ざめしてしまうような印象を受けることもしばしばだった。交響曲第3番でいうと第1楽章と第3楽章は前者、第2楽章と終楽章は後者の割合が比較的高かった。

そういうわけで全面的に称賛するには躊躇する演奏だったが、演奏様式がユニークであるがゆえツボにはまった場合の訴求力が半端でなく、前述の第3楽章などオーケストラの芳醇な響きが繰り出す、むせ返るようなロマンの香りに陶然とさせられたし、交響曲第1番の方でも第1楽章と第3楽章こそ弱かったが第2楽章と終楽章の表現力は文字通り圧巻であり、ことに終楽章で展開された濃厚な音のドラマは滅多に耳にし得ないほどに突き抜けたもので、これは聴いていて大きく心揺さぶられる思いだった。

アンコールに演奏されたのはワーグナーのリエンツィ序曲。当代随一のワーグナー指揮者ティーレマンと、そのワーグナーゆかりのオーケストラであるドレスデン・シュターツカペレ、このコンビの織り成すワーグナーはやはり別格だった。

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