スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレによるモーツァルトの歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」全曲



モーツァルト 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」全曲
 スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ
 DENON 1969年 90C37-7181-83

これは先日、神田の中古CD店で購入したものです。モーツァルトの「コシ」には正直それほど馴染みも思い入れもないんですが、値段の安さにつられて、購入してしまった。3枚組で歌詞対訳つきで1500円。盤質も問題なし。

ひと通り聴いてみた感想ですが、率直に言えばシナリオはちょっとアレだが音楽はやはりいい、というものです。まあ、月並みな感想ですが。

音質は年代を考えると非常に良く、下手なデジタル録音より音響的な臨場性に富んでいます。ただ、ヴォルーム・レベルがやや低めに録られているため、通常より2・3割高めの音量で聴くとちょうどいいようですね。

スウィトナーの指揮はおおむね正攻法の格調高いもので、弦は堅実かつ克明にフレーズを刻み、それに管パートの素朴にして柔らかい音色が味わいを添えます。誇張感を抑えた誠実な運用であって、歌唱とのアンサンブルにおいてもハーモニーのパースペクティブがすこぶる良好で、オペラ演奏としてのナチュラルな愉悦感が聴いていて直截に伝わってきます。

ただ場面によっては正調に過ぎるというか、表情の誇張感に乏しく、シナリオのマンガ的性質?からすると、何となく真面目過ぎるような違和感を若干感じたのも事実で、あまり思い入れのないオペラだけに、何らかのスパイスがもう一味欲しい感なきにしもあらず。

歌唱陣については、それぞれの歌唱を単独で考える分にはいずれも非常に立派で申し分ないと思いますが、性格対比という面でちょっとひっかかるものが。具体的にはフィオルディリージ役カーサピエトラとドラベラ役ブルマイスターの配役がそうで、両者の歌唱を比べるとブルマイスターの方がカーサピエトラよりひとまわり貞淑な感じですが、性格的にはフィオルディリージの方がドラベラよりも貞淑のはず(台本上ドラベラは第2幕5場で早々と「陥落」するのに対し、フィオルディリージは第2幕12場でようやく陥落する)で、そのあたりの対比がちょっと曖昧かなと。

フェルランド役シュライアー、グリエルモ役ライプ、アルフォンソ役アダムはそれぞれ歌唱も上手いし芸達者ぶりも上々。しかし芸達者という点でピカイチなのはむしろデスピーナ役ゲスティで、第1幕終盤での医者に化けてラテン語もどきをまくしたてるあたりとか、第2幕終盤で今度は公証人に化けて契約書を早口でまくしたてるあたりとか、いずれも聴いていて思わず吹き出してしまうほど面白いですね。


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