マルティノン/フランス国立放送局管によるフローラン・シュミットとイベールとオネゲルの管弦楽作品集


フローラン・シュミット 組曲「サロメの悲劇」&イベール 交響組曲「寄港地」&オネゲル 管弦楽作品集
 マルティノン/フランス国立放送局管弦楽団
 EMIクラシックス 1971年頃(オネゲル)、74年(イベール)、72年(シュミット) TOCE-8205

フランスの名匠ジャン・マルティノンが晩年に音楽監督を務めたフランス国立放送局管と録音したフランス作品集です。オネゲルは「パシフィック231」「夏の牧歌」「ラグビー」の3作品が収録されています。

全体的にマルティノンらしい音楽の味の濃さとエスプリの効いた表情を備えた名演だと思います。ベストはフローラン・シュミットの「サロメの悲劇」で、第2部の「稲妻の踊り」から「恐怖の踊り」にかけての演奏がものすごい。

黙劇のシナリオでいうと、ヨハネの首が落とされてからサロメの絶命までのシーンで、ヨハネの血で海が赤く染まるとか、舞台の上が無数のヨハネの首で埋め尽くされるとか、かなり血なま臭くて壮絶なものですが、それに匹敵するほど演奏も壮絶で素晴らしい。オーケストラのコンディションとしては、おそらく同じオーケストラで最晩年に録音した、サン=サーンスの「オルガン付き」に聴かれる圧倒的なまでの管弦楽的充実感に近い水準で、舞台の異常な雰囲気が聴いていて良く伝わってくる感じがしますし、その場面に到るまでの、第1部の前奏曲と「真珠の踊り」の方も濃密なアンサンブルのタッチが緊張した情景のムードを表現主義的な凄味とともに描いていて見事です。

オネゲルの3曲も「サロメの悲劇」と同格の名演でしょう。イベールの「寄港地」は少し落ちるように感じます。シュミットやオネゲルと比べて演奏としての強烈度が落ちるし、この曲の一般的な演奏スタイルとしても、いまひとつ表情の変化や陰影に乏しいとも思えます。マルティノンのイベールというと50年代にパリ音楽院管弦楽団と録音したフレンチ・アルバムに含まれる「ディベルティスマン」の名演が思い浮かびますが、「寄港地」もこの時期に録音していたら、また違った結果になっていたような気がします。

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