クーン/マルキジャーナ・フィルによるマーラー交響曲第9番


マーラー 交響曲第9番
 クーン/マルキジャーナ・フィル
 エームス・クラシックス 2004年ライブ OC345

グスタフ・クーンの演奏に初めて接したのはコル・レーニョに録音した一連のベートーヴェンの交響曲の演奏でしたが、これがいずれも名演だったので、クーンの他の録音についても興味が向きました。

しかし、調べてみるとほとんどがオペラもので、交響曲の録音はたった一点しかリリースされていないようです。それがこのマーラーの9番で、オーケストラも初めて聞く名前です。クーンが音楽監督を務めているイタリアのオーケストラとのことで、イタリアのオケによるマーラーというのも、このディスクで初めて聞くような気がします。

その演奏ですが、名演であることは確かだと思います。クーンの指揮の力点がハーモニクスの明晰な描出にあることは聞いていて明らかで、どんなに最強奏でもソノリティの透き通るような見通しの良さが持続し、どんなに最弱奏でも響きがキリッとした生彩を失わない。加えて局部的なインパクトも十分にあり、第1楽章の(4:33)あたりのチェロの生々しい律動感や(18:42)のティンパニの激烈、その直前のトロンボーンの凄まじい慟哭感など、いずれもまさに音楽が音楽として語りかける響きの強さを感じさせるものです。完成度も高く、終演後の拍手で、これがライブ録音と分かりますが、それが無ければスタジオ録音と勘違いするほど。

難点と思われるところは、アンサンブルの質感と全奏での凝縮力で、全体に響きがやや軽めの印象であるのに加えて、ここぞという時にいまひとつのパワフルさが欲しい場面もいくつか。音色も全体に晴れやかというか明るい色彩で、イタリアのオーケストラの特性を感じさせるものですが、それが局面によっては裏目に出ることもあるようで、昨日のミネソタ管ほどではないにしろ、聴き終えて余韻がいまひとつ薄いような印象も残りました。

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