NHK交響楽団の定期公演(5/12 NHKホール)の感想


①オネゲル 交響詩「夏の牧歌」

この曲はプログラム後半にフランス系の大曲が控えているときに前半の演目として配置されることが多い。実演はカンブルラン/読響で聴いて以来ひさしぶりだが、その時は後半が「展覧会の絵」だった。CDだと最近ではユロフスキ/ロンドン・フィルのライヴ録音を聴いたが、これもオネゲルのクリスマス・カンタータの併録。N響らしいソツのない演奏だった。

②ショパン ピアノ協奏曲第2番

ピアニストはギャリック・オールソン。1970年ショパン・コンクールの優勝者だが、実演を聴くのは今回が初めてだ。このピアニストの豊かな年季に裏打ちされた、練り切れたショパンというべきか、軽々と弾いているようで、すべての音符があるべきところに収まっているという感じ。堅実なテクニック、それに終始安定した音楽のフォームが見事で、このショパン若書きの熱っぽい性格の音楽がずいぶん構築的に聴こえて面白かった。

この曲を実演で聴くのは一昨年のブレハッチの来日コンサート以来だが、同じショパン・コンクール優勝ピアニストでもブレハッチとオールソンとでは印象がだいぶ異なった。ブレハッチは強弱の落差の大きなドラマティック・スタイルのピアニズムと感じたものだが、オールソンの演奏からは必要以上に効果を狙わず音楽に自然に語らせるという落ち着いた境地が感じられた。

アンコールが無かったのは残念だった。まだオケの面々が椅子に座っているのに拍手が止んでしまい、お開きになったのだが、あのまま拍手が続いていたら一曲くらい弾いてくれたかもしれない。

③デュリュフレ レクイエム

この曲を実演で聴くのは今回が初めてだった。尾高忠明にとっては特に思い入れのある作品とのことで、かなり気持ちの入った指揮ぶりだったが、この作品本来の持つ浮世離れした音楽の美しさが仮借なくホールに充溢する様相は実に素晴らしいものだった。

指揮者のオーケストラおよび合唱団に対する統制力がすみずみまで行き届いていたことが成功の要因だと感じた。合唱パートを歌ったのは新国立劇場合唱団だったが、尾高忠明は現在N響の正指揮者であると同時に新国立劇場オペラ部門芸術監督のポストにもあるから、全体としては指揮者の思い描く音楽像を感度良く表現することができたのではないかと思われた。

オーケストラ、合唱、いずれも弱音の場面では曖昧さのないキリッとした響きが持続し、聴いていて音響的にモヤモヤした感じがなかったし、フォルテの場面でも力任せにならずに柔らかい響きの調和が保持されたので、この作品の美しいフォルムが最後まで削がれることもなく、聴き終えたときには何とも言えない余韻が残った。

尾高/N響の実演は一年ぶりに聴いたが感動の度合いは今回のほうが大きかった。そういえば尾高忠明は昨年の秋に新国立劇場の「サロメ」を振る予定だったが体調不良で最終的にキャンセルとなっていた。「サロメ」は正直あまり好きなオペラではないが劇場のオペラ部門芸術監督である尾高氏が振るというのでチケットを取っていたので、キャンセルは残念だった。

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