(雑談)カシオ電子辞書エクスワード搭載の「クラシック名曲1000フレーズ」(1)


カシオの「エクスワード」という電子辞書を購入した。

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XD-B6600という2万円のモデルで、国語辞典(広辞苑)、漢和辞典、英和辞典、和英辞典、ブリタニカ国際大百科事典といったあたりの中核的な辞書以外に、日本語コロケーション辞典、ことわざ成句使い方辞典、四字熟語辞典、英会話表現辞典、古語辞典といった周辺的な辞書とか、パソコン用語辞典、家庭医学大事典、スピーチ文例集といった実用書、あるいは日本史事典、世界史事典、植物図鑑、昆虫図鑑、俳句歳時記、世界の料理・メニュー辞典、ワイン辞典、シネマ辞典といった趣味に特化したコンテンツ、はたまた百人一首や日本国憲法といったものまで含めて、全部で100もの膨大なコンテンツが内蔵されているのが特徴となっている。

もっぱら仕事で使うのを意図して買ったのだが、上記のように趣味的な用途のコンテンツが相当量内蔵されているので、何かを調べるという本来の辞書的な使い方以外に、気ままに面白そうなコンテンツを拾って読んでいくという使い方もできるので、仕事以外でもそこそこ使っている。

ところで、この電子辞書には上記100コンテンツとは別の「おまけ」的なものとして「日本文学700作品」、「クラシック名曲1000フレーズ」という2つのコンテンツが含まれている。

いずれも収録数の大きさからして「おまけ」というには少々豪華すぎる印象を受けるかもしれない、が、なんのことはない、日本文学の方は青空文庫のテクストのコピーだし、クラシック名曲の方はナクソス・ミュージック・ライブラリの30秒の無料試聴部分を収録したというだけのもので、いずれもネット上ではタダで読んだり聞いたりできるものなのだから、製品に含めてもコストは特段かからないはず。うまいところに目を付けたなものだと思う。

それにしても、膨大な量にのぼる文学作品やクラシック名曲から700なり1000の内容を抽出する、という行為それ自体には、いささか興味をそそられる。電子辞書というものがものだけに、選考基準としては各作品の一般的知名度を考慮し最大公約数的な作品なりフレーズが選出されるというのが普通の考え方だが、しかし、それでもある程度は選出担当者のバイアスも免れないのではないのか、という気もする。

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ためしに「日本文学700作品」の方の夏目漱石の収録作品を見てみよう。どういった作品が含まれているのだろうか。

硝子戸の中
草枕
虞美人草
坑夫
こころ
三四郎
それから
手紙 
彼岸過迄 
文鳥
坊っちゃん 
道草
明暗 

夢十夜 
倫敦塔
吾輩は猫である 
私の個人主義

以上、計18作品が収録されていた。

少々違和感を感じた。なるほど一見すると、この作家の代表的な作品は一通り網羅されているように見えるが、よく見ると「行人」が抜けているのである。ほかに「二百十日」「野分」などもないが、これらはいいとしても、「坑夫」が入っている一方で「行人」が入っていないというのは、いささか奇異に見えてしまう。別に作品選定を批判しようとかいう気は毛頭ないし、あくまで興味本位な立場で眺めて素直な印象を述べたに過ぎないが。

それでは、「クラシック名曲1000フレーズ」の方はどうなっているのだろうか。以下、興味本位な立場で見ていこうと思う。

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ここで注意すべき点は、あくまで「1000フレーズ」であって1000曲ではないということ。例えば複数の楽章で構成されている交響曲のような作品は、その個々の楽章が単位になるし、組曲などの場合は個々の構成曲、オペラ作品の場合は個々のアリアが、ここでの「フレーズ」を構成する基本単位となっている。例えばモーツァルトの「アイネ・クライネ」の場合4つの楽章それぞれの冒頭30秒が「フレーズ」として聴けるように収録されている。つまり「アイネ・クライネ」だけで1000のうちの4フレーズが占められるという計算になる。

作曲家はかなり幅広く選定されているが、やはり現代系は少ない。新ウィーン楽派の3人(シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン)の作品は全く取り上げられていないし、ストラヴィンスキーとショスタコーヴィチも除外されている。反面、どこかで聞いたことのあるようなポピュラー小品系の作品を書いた作曲家の方が、かなり多く取り上げられていたりしている。例えば「スケーターズ・ワルツ」で有名なエミール・ワルトトイフェルは6作品も入っている。

さて、まずはベートーヴェンから見てみよう。

交響曲第3番「英雄」第1楽章
交響曲第3番「英雄」第2楽章
交響曲第3番「英雄」第3楽章
交響曲第3番「英雄」第4楽章
交響曲第5番「運命」第1楽章
交響曲第5番「運命」第2楽章
交響曲第5番「運命」第3楽章
交響曲第5番「運命」第4楽章
交響曲第6番「田園」第1楽章
交響曲第6番「田園」第2楽章
交響曲第6番「田園」第3楽章
交響曲第6番「田園」第4楽章
交響曲第6番「田園」第5楽章
交響曲第7番 第1楽章
交響曲第7番 第2楽章
交響曲第7番 第3楽章
交響曲第7番 第4楽章
交響曲第8番 第1楽章
交響曲第8番 第2楽章
交響曲第8番 第3楽章
交響曲第8番 第4楽章
交響曲第9番「合唱」第1楽章
交響曲第9番「合唱」第2楽章
交響曲第9番「合唱」第3楽章
交響曲第9番「合唱」第4楽章
コリオラン序曲
フィデリオ序曲
エグモント序曲
ピアノ協奏曲第3番 第3楽章
ピアノ協奏曲第4番 第3楽章
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 第1楽章
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 第2楽章
ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 第3楽章
ヴァイオリン協奏曲 第1楽章
ヴァイオリン協奏曲 第2楽章
ヴァイオリン協奏曲 第3楽章
ロマンス第2番
七重奏曲・作品20 第3楽章
弦楽四重奏曲第7番 第1楽章
弦楽四重奏曲第7番 第2楽章
弦楽四重奏曲第7番 第3楽章
弦楽四重奏曲第7番 第4楽章
弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 第1楽章
弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 第2楽章
弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 第3楽章
弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」 第4楽章
ピアノ三重奏曲第7番「大公」 第1楽章
ピアノ三重奏曲第7番「大公」 第2楽章
ピアノ三重奏曲第7番「大公」 第3楽章
ピアノ三重奏曲第7番「大公」 第4楽章
ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」第1楽章
ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」第2楽章
ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」第3楽章
ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」第4楽章
ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」第1楽章
ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」第2楽章
ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」第3楽章
チェロ・ソナタ第3番 第1楽章
チェロ・ソナタ第3番 第2楽章
チェロ・ソナタ第3番 第3楽章
チェロ・ソナタ第3番 第4楽章
ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第1楽章
ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第2楽章
ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」第3楽章
ピアノ・ソナタ第14番「月光」第1楽章
ピアノ・ソナタ第14番「月光」第2楽章
ピアノ・ソナタ第14番「月光」第3楽章
ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」第3楽章
ピアノ・ソナタ第23番「熱情」第1楽章
ピアノ・ソナタ第23番「熱情」第2楽章
ピアノ・ソナタ第23番「熱情」第3楽章
エリーゼのために
失われた小銭への怒り

以上、計73フレーズ。さすがにベートーヴェン。実に7.3%という勘定。

以上はあくまで辞書画面上の表示通り引用したが、たまに実際の作品構造と合っていない記載もある。例えば上記のチェロ・ソナタ第3番の第4楽章というのは実際は第3楽章主部のフレーズが収録されている。

「セリオーソ」や「大公」などは全楽章までは選ばず、そのぶんミサソレムニスかトリプルコンチェルトにまわすという手もありそうだが、全体的には妥当にして無難な選曲という気もする。

こんな感じで以下、数回にわたって主要作曲家の収録フレーズをざっと俯瞰してみたいと思う。

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