カンブルラン/読売日本交響楽団の演奏会(4/21 サントリーホール)の感想


①メシアン 「ほほえみ」

メシアン最晩年の1989年に作曲された小品。これはモーツァルトに敬意を表しての作品とされ、モーツァルトの生涯と作品には常に「ほほえみ」があった、というのが題意とのこと。静かな森のざわめきを思わせる弦の弱奏に、時おり鳥の鳴き声を思わせる鋭いモチーフを管楽器と打楽器が響かせ、さながら深い森の神秘的な佇まいをホールに現出させる。人為的なメロディ性は皆無。ホールにいながら自然の中に身を浸すような体験だった。

②イベール 3つの小品

これは木管4声にホルンという5人のアンサンブルにより、指揮者なしで演奏された。先のメシアンとは打って変った、親しみ易いメロディの充溢する賑やかな楽想。パリの洒落たレストランなどで演奏されても合いそうだ。直前のメシアンとのコントラストが印象的。

③イベール アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲

前曲に輪をかけて賑やか。パリの酒場などで演奏されても良さそう。須川展也のサクソフォーン演奏が軽妙洒脱。ふっくらと柔らかみのある響きからウィットに富んだメロディが次々に飛びだす。心地よい喧騒感に浸ったひとときだった。それにしても次のフランクも含め、ひとくちにフランスものと言っても当夜の4曲は楽想が相互に一定の距離を保っており、そのあたりの切り変わりの妙が素晴らしい。カンブルランのプログラムビルディングは相変わらず冴えている。

④フランク 交響曲

この曲は割とよく耳にしている。同じホールでは昨年アルミンク/新日本フィルで聴いたし、その前だと第一生命ホールで聴いたジャパン・シンフォニアの、室内楽の極地のような演奏が思い出される。当夜カンブルラン/読響が披歴した演奏は全体的なアンサンブルの音響的洗練の度合いのみならず、フレーズをソフトに響かせる部分とハードに決める部分との切り分けが徹底されていたこと(第1楽章の第1主題と第2主題との対比の鮮やかさ)、トッティでの管パートの折り重なりの立体感が際立っていたこと(第1楽章の再現部冒頭部の全奏での深々としたパースペクティブ)、いずれも昨年のアルミンク/新日本フィルの比ではなく、造型的な平衡感の良さ、明晰な色彩感、鋭敏なフレージングの流動力など、ジャパン・シンフォニアを別とすれば、このフランクの交響曲に対するアプローチとしては、ひとつの理想形を呈していたように思えた。素晴らしい演奏だった。

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