新国立劇場・プッチーニ「ボエーム」(1/29)の感想


  2012-01-29b

ミミ役ヴェロニカ・カンジェミは主に古楽の分野でキャリアを築いてきたアルゼンチン出身のリリック・ソプラノ。あまりに声質が軽いので、最初はちょっと面食らったが、聴いているうち徐々に声が音楽に馴染んでいくような感覚がしてきたし、その声の透き通るような美しさには、随所で耳をそばだたせられた。ただ終盤あたり、もう少し声に量感なり押し出しが欲しかった。他の歌手に関しては、声量の面などで多少の凹凸はあったものの概ね手堅い歌唱を披露し、健闘していたように思う。オケは全体的に、平凡に聞こえた。何が悪いと言われると難しいが、このオペラは昨年のMET来日公演でのルイージ指揮による、精緻を極めたアンサンブル展開が記憶に新しいため、それと無意識に比較してしまったのかもしれない。

栗國淳の演出に関しては、2003年のプレミエ以来この劇場で何度も再演を重ねているものだけに、何を今さらと言われそうだが、奇をてらわない正攻法の演出手法にのっとり、このオペラ特有の振幅の激しい愉悦と悲愁が、無理なく表現されていて、良い意味で安心して最後まで音楽に浸ることができたし、どうも最近は、オペラを観に行くたび大胆不敵な読み替えやら夢落ちやら、殊更に奇をてらった演出に出くわすことが多かっただけに、なんだかホッとする思いだった。むろん作品にもよるけれど、やはり「ボエーム」には正調の演出こそがベストだと改めて思った。

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