「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD72の感想


ボイト:歌劇「メフィストーフェレ」プロローグ
 (1954年3月14日, カーネギー・ホール)
ヴェルディ:「十字軍のロンバルディア人」より「ここに体を休めよ」
 (1943年1月31日, Studio 8H)
ヴェルディ:歌劇「リゴレット」第4幕
 (1944年5月25日, マディソン・スクェア・ガーデン)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 ニコラ・モスコーナ(Bs), ジャン・ピアース(T),
 レナード・ウォーレン(Bs),ロバート・ショウ合唱団ほか
88697916312

メフィストーフェレ「プロローグ」は良好な音質を追い風にオペラ指揮者トスカニーニの本領が端的に発揮されている。十字軍のロンバルディア人はややノイズ感が高いが冒頭のヴァイオリンソロが随分と奇麗に聞こえる。リゴレット第4幕は1944年の赤十字コンサートのライヴ。これは音質が抜群に良く、冒頭でジャン・ピアースが歌う伯爵のアリアからグッと惹きこまれる。やはりトスカニーニの振るヴェルディは絶品と言うほかない。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD70&71の感想


ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
 (1953年3月30日~4月2日, カーネギー・ホール)
ケルビーニ:レクィエム
 (1950年2月18日, Studio 8H)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 ロイス・マーシャル(Sp), ナン・メリマン(Ms),
 ユージン・コンリー(T), ジェローム・ハインズ(Bs),
 ロバート・ショウ合唱団
88697916312

このミサ・ソレムニスは素晴らしい。とにかく音質が抜群に良い。オン型の鮮明な音録りでありながら響きのセパレーションも優れており、この年代の音質としては最上の部類に入るように思う。最晩年のトスカニーニが残した珠玉のベートーヴェンというべきか。ケルビーニの方はミサソレより若干音質が落ちるが、これもトスカニーニのベスト・フォームの演奏だろう。ディエス・イレの壮絶な迫力には素直に脱帽してしまう。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD68&69の感想


ヴェルディ:歌劇「椿姫」全曲
 (1946年12月1&8日, Studio 8H)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 リチア・アルバネーゼ(Sp), ジャン・ピアース(T),
 ロバート・メリル(Br), ピーター・ウィロウスキー合唱団ほか
88697916312

まず音質の良さに驚かされる。これが46年の録音とは信じられないくらい音がいい。同じ年の「ボエーム」の音質が精彩不足なので、この「椿姫」の音質の良さが際立っているし、47年の「オテロ」の音質とは雲泥の差だ。歌手のアルバネーゼ&ピアースは「ボエーム」でもミミ&ロドルフォで共演しているが、こちらの方が音質が冴えているぶん訴求力が格段に高い。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD66&67の感想


ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」全曲
 (1954年1月17&24日, カーネギー・ホール)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 ヘルヴァ・ネルリ(Sp), クララーメ・ターナー(Ms),
 ジャン・ピアース(T),ジョン・カーメン・ロッシ(T),
 ロバート・メリル(Br)ほか
88697916312

本ボックスに収録されているトスカニーニ/NBCによるヴェルディ歌劇全曲録音5種のなかでは、この「仮面舞踏会」の音質のみ特殊であり、他の4種が8Hスタジオでの収録なのに対し、これだけカーネギー・ホールでの収録となる。このため、他の4種と比べるとマイクが明らかにオフ気味に収録されており、そのぶん鮮明で見通しのよい、聴き易い音質となっているが、オフマイクゆえの迫力不足も感じられる。このためか否か、リッカルドのジャン・ピアース、アメリアのヘルヴァ・ネッリ、いずれも他録音ほどには歌の訴求力が引き立っていない印象を受ける。とはいえ、当時87歳のトスカニーニが指揮する渾身のオーケストラ演奏は、理屈抜きに素晴らしい。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD64&65の感想


ヴェルディ:歌劇「オテロ」全曲
 (1947年12月4~13日, Studio 8H)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 ヘルヴァ・ネルリ(Sp), ナン・メリマン(Ms), ラモン・ヴィナイ(T),
 ヴィルジニオ・アッサンドリ(T), レスリー・チャベイ(T),
 ジュゼッペ・ヴァルデンゴ(Bs)ほか
88697916312

40年代にトスカニーニ/NBCがRCAに録音した一連のオペラ全曲盤のなかでは、この「オテロ」が最も音質が良くない。この前年に録音されているプッチーニ「ボエーム」も冴えない感じだったが、この「オテロ」はその「ボエーム」に輪をかけて冴えない。少なくとも44年録音の「フィデリオ」の音質にも遠く及ばない。オフ気味の品の良い音録りで、耳当たりはいいのだが、彫りが浅く、実在感に乏しい。デル・モナコ以前の代表的オテロ歌いラモン・ヴィナイはバリトンあがりのテノールで、高音の弱さと中高音の強さが、良くも悪くも顕著。ヴァルデンゴのカッシオは軽妙に歌うが、音質のせいか、いまひとつ味が薄い。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD62&63の感想


ヴェルディ:歌劇「ファルスタッフ」全曲
 (1950年4月1&8日, Studio 8H)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 ヘルヴァ・ネルリ(Sp), クローエ・エルモ(Ms),
 アントニオ・マダーシ(T), ジュゼッペ・ヴァルデンゴ(Br),
 ロバート・ショウ合唱団ほか
88697916312

本ボックス収録のトスカニーニ/NBCによるヴェルディ歌劇全曲録音5種のなかでは、この「ファルスタッフ」が音質的にベストと感じる。オンマイクゆえの迫力が素晴らしいし、分解能的にも優れており、とにかく重唱の多い「ファルスタッフ」においても、アンサンブルがごちゃつかず、鮮明度が維持されている。この音質ゆえに演奏も圧巻というべきで、ヴァルデンゴはどんよりした音質の「オテロ」ヤーゴとは別人のような精彩と躍動感あふれる歌いまわしを披歴しているし、オケも相変わらず好調を極めている。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD59~61の感想


ヴェルディ:歌劇「アイーダ」全曲
 (1949年3月26日&4月2日, Studio 8H
 & 1954年6月5日,カーネギー・ホール)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 ヘルヴァ・ネルリ(Sp), エヴァ・ギュスターブソン(Ms),
 リチャード・タッカー(T), ジュゼッペ・ヴァルデンゴ(Br),
 ロバート・ショウ合唱団ほか
88697916312

一部に54年の録音も用いられているが、基本的には49年録音がベースになっているが、いずれにしても音質が素晴らしい。オンマイクの臨場感あふれる音録りが奏功し、歌唱・オケともども非常に精彩感の豊かな響きが伝わってきて惚れぼれする。この高音質により往時のトスカニーニ/NBCのヴェルディ演奏の充実味がいかんなく伝わってくるし、ネッリ&タッカーの訴求力に満ちた歌いぶりも秀逸というほかない。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD57&58の感想


プッチーニ:歌劇「ボエーム」全曲
  (1946年2月3&10日, Studio 8H)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 リチア・アルバネーゼ(Sp), ジャン・ピアース(T),
 フランチェスコ・ヴァレンティーノ(T),
 ジョージ・チェハノフスキー(Br),ニコラ・モスコーナ(Bs)ほか
88697916312

「ボエーム」の世界初演指揮者トスカニーニの指揮にだけに本来なら悪かろうはずがないが、それにしてはオケの訴求力が伸び切らない印象を受けるのは、やはり音質のせいか。年代相応の音ではあるが、Disc55&56のベートーヴェン「フィデリオ」ではさほど気にならないノイズ感もプッチーニだとどうしても気になるし、もう少しオン気味に音が捉えられていればとも思う。歌手はミミがリチア・アルバネーゼでロドルフォがジャン・ピアース。両者ともこの音質で訴求力が並みでなく、やはり凄い歌手だと実感させられる。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD55&56の感想


ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」全曲
 (1944年12月10&17日, Studio 8H)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
 ローズ・バンプトン(Sp), エリナー・スティーバー(Sp),
 ジャン・ピアース(T), ヘルベルト・ヤンセン(Bs),
 ピーター・ウィロウスキー合唱団ほか
88697916312

これは音質が非常に良い。44年の録音にしては鮮明にして実在感の高い音であり、オン気味のマイクが歌手の歌唱・オケの響きをリアルに捕捉しているのが何より。キャストはレオノーレがローザ・ハンプトン、フロレスタンがジャン・ピアース、ドン・ピツァロがヘルベルト・ヤンセン。当時の名歌手のスケールの豊かな歌唱を良質の音質で味わえるのが嬉しいところ。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD54の感想


ワーグナー:楽劇「ジークフリート」森のささやき
 (1951年10月29日, カーネギー・ホール)
ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」夜明け
 (1941年2月24日, カーネギー・ホール)
ワーグナー:「神々の黄昏」ブリュンヒルデとジークフリートの二重唱
 (1941年2月, カーネギー・ホール)
ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」ジークフリートのラインへの旅
 (1941年2月22日, カーネギー・ホール)
ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」ジークフリートの死と葬送行進曲
 (1941年5月14日, カーネギー・ホール)
ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」ブリュンヒルデの自己犠牲
 (1941年2月, カーネギー・ホール)
 ヘレン・トローベル(Sp), ラウリッツ・メルヒオール(T)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
88697916312

最初の「森のささやき」は51年だけに良好な音質だが弱奏中心の性格ゆえノイズ感もそれなりに目立つ点も否めないところ。「神々の黄昏」は「葬送行進曲」以外はDisc53のワルキューレ第1幕第3場と同日録音ゆえに同じことがいえ、歌手のスケール感には感服だがオケが引き気味で迫力が伸びないのが残念。しかし「葬送行進曲」だけは例外で、同じ41年録音でも何故かこれだけ格段に音質が冴えており、オーケストラの充実した迫力を堪能することができる。

「トスカニーニ・コンプリートRCAコレクション」CD53の感想


ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」第1幕第3場
 (1941年2月22日, カーネギー・ホール)
ワーグナー:楽劇「ワルキューレ」第3幕よりワルキューレの騎行
 (1952年1月3日, カーネギー・ホール)
ワーグナー:ジークフリート牧歌
 (1952年7月29日, カーネギー・ホール)
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死
 (1952年1月7日, カーネギー・ホール)
 ヘレン・トローベル(Sp), ラウリッツ・メルヒオール(T)
 アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団
88697916312

「ワルキューレ」第1幕第3場は41年のライヴにしては歌手の声が良好に収録されており、稀代の名テノール・メルヒオールのスケール感あふれる歌唱の醍醐味が良く伝わってくる。しかし全体的にオケの響きが歌手に比べて引き気味で、ここぞという時のクライマックスでトスカニーニ/NBCの真価が聴けないのが残念。この後の「ワルキューレの騎行」52年録音での張りのあるオケの響きを耳にすると、さっきのワルキューレもこの音で聴けたらさぞかしと思ってしまう。ジークフリート牧歌とトリスタンとイゾルデの前奏曲と愛の死は年代相応の音質で、52年録音としては突き抜けた音ではないが、聴き易い。ジークフリート牧歌はDisc31にも収録されているが、こちらの方が音質がひとまわり良好なぶん訴求力が高い。

Powered by FC2 Blog
Copyright © クラシックCD感想メモ All Rights Reserved.