バックハウスの1959年ベートーヴェンハレでのリサイタルのライヴの感想


ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」
 バックハウス(pf)
 ICAクラシックス 1959年ライヴ ICAC5055
ICAC5055

ヴィルヘルム・バックハウスのピアノ演奏によるベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」。英ICAクラシックス。1959年9月24日におけるドイツ、ボン・ベートーヴェンホールでのライヴ。同日のリサイタルで演奏されたベートーヴェンのピアノ・ソナタ第6番とシューベルトの即興曲Op.142-3も収録されている。

モノラルだが音質は高水準で、往年のバックハウスの充実したピアニズムの粋を堪能するに十分。演奏は全体的に見事だが、圧巻はハンマークラヴィーアである。もったいぶらない速めのテンポで仰ぎ見るような音の大伽藍を構築する様に感嘆させられる。

ガッティ/フランス国立管弦楽団によるストラヴィンスキーのハルサイとペトルーシュカの感想


ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」「ペトルーシュカ」
 ガッティ/フランス国立管弦楽団
 ソニー・クラシカル 2011年 88725442552
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ダニエーレ・ガッティ指揮フランス国立管弦楽団の演奏によるストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」&「ペトルーシュカ」。ソニー・クラシカル。2011年フランス、パリでのセッション録音。
 
ガッティの気鋭の指揮とフランスの名門オケ特有の鮮やかな彩色感とが一体となった見事なストラヴィンスキー。ガッティの運用は緻密にアンサンブルを練りながら決めるべきところでは抜群の表出力でオケを堂々と鳴らす。アンサンブル生来のカラフルな色彩美も随所に耳を楽しませる。

ゲルギエフ/ロンドン交響楽団によるマーラー交響曲全集の感想


マーラー 交響曲全集
 ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
 LSO-Live 2007~2011年ライヴ LSO0730
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ワレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団の演奏によるマーラー交響曲全集。英LSO-Live。ロンドン、バービカンホール(第8番のみセント・ポール大聖堂)でのライヴ録音。

・交響曲第1番「巨人」&第10番アダージョ:2008年のライヴ。速めのテンポをベースにしつつも積極的に緩急の起伏が付けられており、ダイナミックレンジの広さと相まって絶妙にメリハリ立ったマーラーとなっていて惹きこまれる。細部まで鮮やかな音質も良。

・交響曲第2番「復活」:2008年のライヴ。指揮よしオケよし音質よしの3拍子そろったマーラー。低声をしっかりと鳴らしているので重厚感があるし、聴かせどころでワイルドに決めるゲルギエフの指揮もいい。

・交響曲第3番:2007年のライヴ。悪くはないが「巨人」や「復活」ほどはメリハリが効いていない感じがする。大曲のライヴゆえに慎重さが勝ち過ぎたか?

・交響曲第4番:2008年のライヴ。同年録音の「巨人」「復活」と同等の名演。緻密さとワイルドさが両立された絶妙なメリハリのマーラー。素晴らしい。

・交響曲第5番:2010年のライヴ。このコンビの一連のマーラーは2008年の録音時がピークかもしれない。この5番もいまひとつメリハリが効いていない。

・交響曲第6番「悲劇的」:2007年のライヴ。やはりこのコンビの一連のマーラーは2008年の録音時がピークか? この6番もいまいち表出力が伸びない。速めのテンポでガンガン進むが、いささかアンサンブルの彫りが浅い感が否めず。

・交響曲第7番「夜の歌」:2008年のライヴ。このコンビのマーラー全曲録音チクルス中ベストかもしれない。充実を極めるアンサンブルの表出力が素晴らしい。5番と6番で感じた不満点が完全に解消されている。

・交響曲第8番:2008年のライヴ。声楽とのバランスからかオケが幾分オフマイクのようで、オケの音だけ聴くと必ずしもベストとは言えないが、全体的には立派なマーラーで、このコンビの最盛期の貴重な録音である。

・交響曲第9番:2011年のライヴ。このコンビの一連のマーラー録音の有終の美を飾る名演。これを聴くと来日公演での圧倒的なマーラーが思い出される。

レナード・バーンスタイン歴史的放送録音集CD11の感想

「レナード・バーンスタイン歴史的放送録音集1946~61」CD11
 バーンスタイン/ボストン交響楽団、ニューヨーク・フィル他
 WHRA 1941~61年ライヴ 
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・カルロス・チャベス:交響曲第4番「シンフォニア・ロマンティカ」
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1960年2月8日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

音質は鮮明といえば鮮明だが、ちょっとオンマイクすぎて潤いに欠ける。いわゆる中南米ラテン系クラシック作曲家の御三家としてブラジルのヴィラ=ロボス、アルゼンチンのヒナステラと並ぶメキシコの作曲家カルロス・チャベスは7曲の交響曲を残し、初期はメキシコ・インディオの音楽を積極的に活かし、交響曲第5番以降は無調の世界へ近づいていった。代表作は交響曲第2番「インディア」だが、この交響曲第4番では独特のロマンティックな旋律の流れがバーンスタインの骨太の筆致で良く描かれている。

・マーラー:私はやわらかな香りをかいだ/私はこの世に忘れられ
 /浮き世の生活/真夜中に
 ジェニー・トゥーレル(メゾ・ソプラノ)
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1960年2月8日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

上のチャベスと同日のライヴで、音質もクッキリ&ドライ。しかしトゥーレルの歌唱は音質の割に潤いがあり美しい。バーンスタインともども濃厚なマーラーの世界を歌いあげているが、オケが全体にオフ気味なのが残念。

・デイヴィッド・ダイアモンド:交響曲第8番
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1961年10月9日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

音質は上のチャベス&マーラーより解像度が落ちる。61年の録音にしては残念。演奏もいまいち面白味がない。音質のせいもあろうが、バーンスタインの指揮ぶりも作品に乗り切れていないというか、共感に欠ける印象を受ける。バーンスタインはダイアモンドの交響曲を1曲しか商業録音していない(第4交響曲)。交響曲の作曲家としてはさほど高く評価していなかったのかもしれない。交響曲第8番はバーンスタイン/ニューヨーク・フィルにより初演されたが、その演奏評(ニューヨーク・タイムズ)では「ルーティンなモダニズム」などボロクソに酷評されたという。

レナード・バーンスタイン歴史的放送録音集CD10の感想


「レナード・バーンスタイン歴史的放送録音集1946~61」CD10
 バーンスタイン/ボストン交響楽団、ニューヨーク・フィル他
 WHRA 1941~61年ライヴ 
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・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番-録音セッション
・コープランド:組曲「ビリー・ザ・キッド」-録音セッション
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年10月20日、ボストン、シンフォニー・ホール

録音セッションの様子がライブで収録されているが、音質の良さに驚かされる。やや彫りが浅手だが、鮮明度に関してはCDになっているリリース版より上かとさえ思える。ショスタコーヴィチは第3楽章のみ入っていないが、第1楽章は冒頭からコーダの最後までのワンテイクが入っている。演奏の凄さは折り紙つきだが、ここではライブ感も加わって凄味が増している。

レナード・バーンスタイン歴史的放送録音集CD9の感想


「レナード・バーンスタイン歴史的放送録音集1946~61」CD9
 バーンスタイン/ボストン交響楽団、ニューヨーク・フィル他
 WHRA 1941~61年ライヴ 
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・コープランド:交響曲第2番「短い交響曲」
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1957年1月27日、ニューヨーク、カーネギー・ホール
・ロイ・ハリス:アメリカの信条
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年2月7日、ニューヨーク、カーネギー・ホール
・ウォルター・ピストン:管弦楽のための協奏曲
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年2月15日、ニューヨーク、カーネギー・ホール
・アーヴィング・ファイン:厳かな歌
 ニューヨーク・フィルハーモニック
 録音:1959年4月19日、ニューヨーク、カーネギー・ホール

コープランドの交響曲だが、音質がいまいちで、作品の面白さがいまひとつ伝わってこない。この作品についてクーセヴィツキーがコープランドに「it's not too difficult. it's impossible」と言ったのは有名である。次のハリスは上のコープランドよりは音質が冴えているが、作品自体はっきり言って面白くない。1940年にシカゴ響の創立50周年を記念して作曲された曲だが、時節柄ナショナリズム丸出しである。続くピストンは音質が上のハリスと同じくらい良好。こちらは曲もハリスより面白い。バーンスタインの指揮も冴えている。バーンスタインはハーバード大学時代に作曲をウォルター・ピストンに師事している関係から、この作曲家には常に敬意を絶やさなかったという。最後のファインは音質が良くない。上のハリス&ピストンよりもモコモコ感が強く、弦の細部の動きが聴きとりにくい。バーンスタインは弦に厚みを持たせて濃密な音楽の流れを形成せしめている。音質が良ければさぞかし。アーヴィング・ファインはバーンスタイン同様ハーバード大学で作曲をウォルター・ピストンに師事。バーンスタインとの親交も厚かったという。

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