ギレリスのルートヴィヒスブルク音楽祭におけるベートーヴェンのライヴ


ベートーヴェン ピアノ・ソナタ「告別」・第7番・第25番ほか
 ギレリス(pf)
 ヘンスラー 1980年ライヴ 94221
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エミール・ギレリスのピアノ演奏によるベートーヴェンのピアノソナタ第7番、第25番、第26番「告別」およびエロイカ変奏曲。独ヘンスラーの新譜。1980年ドイツ、ルートヴィヒスブルク音楽祭でのライヴ録音。

ちょうど鍵盤の獅子王バックハウスのベートーヴェンの初出録音(前記事)と同じタイミングでリリースされた鋼鉄のピアニスト・ギレリスのベートーヴェンの初出録音。奇しくも双方に告別ソナタが含まれている。

ギレリスが晩年にグラモフォンにスタジオ録音したCD9枚組のベートーヴェン・ソナタ集では硬質な音色と瞑想的なタッチがギレリス独自の厳しいベートーヴェン像を織りあげている。それと同時期のライヴということで早速入手した。

バックハウスの1960年BBC放送におけるベートーヴェンのライヴ


ベートーヴェン ピアノ・ソナタ「告別」・「月光」・第32番
&モーツァルト ピアノ・ソナタ第10番・第12番
 バックハウス(pf)
 Testament 1960・61年ライヴ SBT1487
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ヴィルヘルム・バックハウスのピアノ演奏によるベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番「告別」・第14番「月光」・第32番。英テスタメントの新譜。1960年イギリスBBCの放送ライヴ。カップリングとしてモーツァルトのピアノ・ソナタ第10番と第12番も収録されており、こちらは1961年のBBCリサイタルでのライヴ録音とされる。

バックハウスの往年のベートーヴェンといえば昨年ICAから出たピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」(1959年ドイツでのリサイタル)が充実の極みだったが、今回テスタメントからリリースの初出のベートーヴェンもそれと同じ時期の録音ということで興味津々で入手した。

N.ヤルヴィ/ベルゲン・フィルによるスヴェンセンの交響曲第1番


スヴェンセン 交響曲第1番、ヴァイオリン協奏曲ほか
 N.ヤルヴィ/ベルゲン・フィル、トゥーシェン(vn)
 Chandos 2012年 CHAN10766
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ネーメ・ヤルヴィ指揮ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるスヴェンセンの交響曲第1番。英シャンドスの新譜。2012年8月ノルウェー、ベルゲン、グリーグホールでのセッション録音。他にスヴェンセンの「ノルウェーの芸術家の謝肉祭」、ヴァイオリン協奏曲(ソロはマリアンネ・トゥーシェン)、「2つのアイスランドの旋律」が収録されている。

先般リリースのエーテボリ響とのアッテルベリが好演だった父ヤルヴィ。それに続いてノルウェーの作曲家ヨハン・スヴェンセンのアルバムをリリースしたので、こちらも入手した。

交響曲第1番はスヴェンセンがライプツィヒ音楽院の学生だった1866年に作曲された若書きの作品。ライナーノートによると、その第3楽章の冒頭部はチャイコフスキー「くるみ割り人形」序曲を先取りしているという。

デュメイ&児玉桃によるドビュッシーとフランクのヴァイオリン・ソナタ(LFJ2013公演)


5/4 東京国際フォーラムB7ホール
LFJ2013 公演227

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ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ
フランク ヴァイオリン・ソナタ
 オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)
 児玉桃(ピアノ)

デュメイの実演に接するのは2年前のLFJ以来で、今回と同じく児玉桃とのデュオによるブラームスのヴァイオリン・ソナタが演目だったが、その時はよみうりホールだった。今回はB7で至近距離で聴いたのだが、そのせいもあり今回の方が演奏のインパクトが数段上だった。

演目的にもデュメイの得意中の得意フランク&ドビュッシーのソナタということもあり、揺るぎないフォームと盤石のテクニックから繰り出されるフレージングの魅惑的なこと、熟した音色の鮮やかさ、闊達なボウイングが紡ぐメロディの表出力の強さ。共演経験を重ねている両名手の息の合った掛け合いも素晴らしい。とくにフランクのヴァイオリン・ソナタは、最近デュメイがリリースしたロルティとの録音も素晴らしかったが、それすら今回の実演の前では霞んでしまうほどだった。

今回の実演を聴いていて気がついたのは、デュメイの弾き回しには前日のトリオ・ヴァンダラーの演奏で感じた透明な響きの肌ざわりが随所に潜んでおり、それが演奏の味わいを一層に引き立たせているということだった。それは特にドビュッシーのヴァイオリン・ソナタの方から顕著だったが、フランクでも継承されていたため、それがフランクの室内楽特有のアクの強さを薄め、音楽的にリファインされていたのは、デュメイならではだろう。事実、先刻同じホールで聴いたフランクのピアノ五重奏曲には途中で正直もたれたが、デュメイの弾くフランクは全然もたれない。

あらためて思ったが、今年のLFJのテーマは「パリ、至福の時」ということでフランス系の演目が中心のラインナップだったが、考えてみれば本場ラ・フォル・ジュルネはフランスの音楽祭なわけで、当初からフランス作品を得意とするアーティストやアンサンブルが数多く参画していたのだが、今年はそのあたりの本領がいかんなく発揮された感があり、例年以上に高い水準の公演が目白押しだった。

ラムルー管弦楽団によるオール・ラヴェル・コンサート(LFJ2013公演)


5/4 東京国際フォーラムAホール
LFJ2013 公演215

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ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル ピアノ協奏曲
ラヴェル ラ・ヴァルス
ラヴェル ボレロ
 ラムルー管弦楽団
 フェイサル・カルイ (指揮)
 小山実稚恵 (ピアノ)
 佐渡裕(サプライズ・ゲスト、ボレロを指揮)

フランスの歴史あるオーケストラ、ラムルー管弦楽団がLFJに初登場。オール・ラヴェル・プログラム。

最初は「亡き王女のためのパヴァーヌ」。フランスのオケといっても、その響きにはトゥールーズとかパリ管あたりの洗練を極めたような響きとは異質なものが混ざっており、それが絶妙なスパイスとして作用している。適度に洗練されているが、洗練され過ぎてもいない、どこか鄙びた感触を残す響きに聴いていて惹きこまれた。

続いて小山実稚恵のソロでピアノ協奏曲。この曲は昨日はシャマユで、先月はル・サージュで聴いたが、小山実稚恵が最もオーソドックスなピアニズムという感じがした。最後にラ・ヴァルス。ついさっきフランスの名手ヌーブルジェのピアノ版で聴いたばかりで、今度はラヴェルゆかりのラムルー管による管弦楽版。ラ・フォル・ジュルネならではの贅沢というべきか。フェイサル・カルイの指揮はダンスを踊っているかのように優雅な身のこなし。

そのラ・ヴァルスが終って拍手もひとしきり、さてと腰を上げようとしたら、いきなりオーケストラがチューニングを開始。何事かと思っていると、ルネ・マルタンがステージに登場。

「今回LFJ初登場のラムルー管弦楽団は実は日本と大変に縁の深いオーケストラなのです。このオーケストラは20年近くにわたり日本人の指揮者により率いられていたからです。その指揮者をここに、サプライズ・ゲストとして紹介いたしましょう。ユタカ・サド!!」

われんばかりの大歓声に包まれるAホール。演目はラムルー管が世界初演を果たしたラヴェル「ボレロ」。

ヌーブルジェ&モディリアーニ四重奏団によるフランクのピアノ五重奏曲ほか(LFJ2013公演)


5/4 東京国際フォーラムB7ホール
LFJ2013 公演225

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ラヴェル ラ・ヴァルス
フランク ピアノ五重奏曲
 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ(ピアノ)
 モディリアーニ弦楽四重奏団

フランスの名手ヌーブルジェの実演を初めて聴いた。ラヴェルのラ・ヴァルス。キメ細やかなタッチから繰り出される響きの絢爛たる色彩感が素晴らしくエレガント。メリハリに富んだ音色の変化を伴うタッチの妙味といい、鮮やかなまでに冴え渡る指さばきといい、なんとも強い訴求力に満ちたラヴェル。昨日のベレゾフスキーを聴いたとき、ラヴェルというよりベレゾフスキーを聴いたと感じたが、ヌーブルジェの方は正真正銘ラヴェルを聴いたという余韻が聴き終えて圧倒的だった。いい演奏だった。

続いてモディリアーニ弦楽四重奏団とのフランクのピアノ五重奏曲。悪くない演奏だが、前日に同じホールで聴いたフォーレのピアノ三重奏曲に比べると、ずいぶん押し付けがましい音楽だなと感じた。無論そういう性格の音楽ではあるが、やはり前日のフォーレの余韻が残っているのか、音楽に素直に浸りきれない自分にもどかしさを覚えた。

村治佳織によるロドリーゴの「ある貴紳のための幻想曲」ほか(LFJ2013公演)


5/4 東京国際フォーラムAホール
LFJ2013 公演214

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ロドリーゴ ある貴紳のための幻想曲
ファリャ 交響的印象「スペインの庭の夜」
 村治佳織 (ギター)
 ルイス・フェルナンド・ペレス (ピアノ)
 ジャン=ジャック・カントロフ (指揮)
 シンフォニア・ヴァルソヴィア
 
ロドリーゴ&ファリャというスペイン・プログラム。正直2曲とも特に思い入れのある作品ではないが、それぞれギタリストとピアニストに人を得て魅力的な演奏を聴けた。村治佳織のギターが奏でるメロディの流れは良い意味で癒し系というのか実に心地よい心持ちに誘わせてくれる。この曲にこれほど魅惑的なメロディが溢れていたのかと今更ながらに思った。スペイン音楽のスペシャリストであるペレスのピアニズムもファリャの音楽の生理にフィットしていて好ましかった。

しかし忘れてはならないのがシンフォニア・ヴァルソヴィア。このオケはLFJ常連中の常連オケであり、個人的にもすっかりお馴染みとなった。2008年のベートーヴェン三重協奏曲(エンゲラー&マフチン&クニャーゼフ)を皮切りに2009年はバッハのピアノ協奏曲(エンゲラー&ベレゾフスキー)、2010年はショパンのピアノ協奏曲第2番(ポゴレリッチ)とモーツァルトのレクイエム(コルボの指揮)、2012年はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番(ベレゾフスキー)で聴いている。

強烈な印象を残すオーケストラではないが、アンサンブルの安定感が抜群で、いつも安心して聴ける。まさにLFJにとって縁の下の力持ち。地味ながら、このオーケストラにLFJは支えられていると言っても過言ではないと思う。

ベレゾフスキーによるラヴェル「夜のガスパール」ほか(LFJ2013公演)


5/3 よみうりホール
LFJ2013 公演175

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ラヴェル 夜のガスパール
デュティユー ピアノ・ソナタより第1楽章
ドビュッシー 前奏曲集第1巻より6曲
アルベニス アストゥリアス
アルベニス ?
 ボリス・ベレゾフスキー (ピアノ)

LFJの常連ベレゾフスキーの実演を聴くのは今回で4度目。昨年のチャイコフスキーも良かったが、個人的なベストは一昨年のリスト超絶技巧練習曲集。対して今回の演目のラヴェルは、ベレゾフスキーのレパートリーからすると異色。これまで多数の録音をリリースしているピアニストだが、フランス系作品のアルバムというのは見たことがない。

そのラヴェル「夜のガスパール」、ベレゾフスキー持ち前の圧倒的なテクニックとパワフルなタッチはここでも健在で、この難曲を正面から堂々とスケール豊かに弾き切った。その響きにはゴツゴツ感が先立ち、ラヴェル特有のアンニュイなフレーズのニュアンスなどは希薄だったりと、いうことはあるにしても、やはりベレゾフスキーの鉄壁のピアニズムを目の当たりにすると否応なしに惹きこまれてしまう。ラヴェルを聴いたというよりはベレゾフスキーを聴いたというべきだが、やはり圧巻だった。

続くデュティユーではラヴェルに輪をかけて豪快なピアニズムを披歴。続いてドビュッシーの前奏曲集第1巻からデルフィの舞姫、野を渡る風、雪の上の足跡、とだえたセレナード、亜麻色の髪の乙女、ミンストレルが続けて演奏されたが、やはりドビュッシーを聴いたというよりはベレゾフスキーを聴いたというべき、画然とした演奏だった。

アンコールは2曲で、まずアルベニスのアストゥリアスを演奏し、続いて日本語で「アルベニス、、、ナマエ、ワスレマシタ」と告げた後、なんとも美しいメロディの曲が弾かれた。この曲のタイトルは何だろうか?

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トリオ・ヴァンダラーによるフォーレのピアノ三重奏曲ほか(LFJ2013公演)


5/3 東京国際フォーラムB7ホール
LFJ2013 公演125

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フォーレ ピアノ三重奏曲
ケクラン ブルターニュの歌
ケクラン 4つの小品 op.32
ケクラン ラメント
 トリオ・ヴァンダラー
 根本雄伯(ホルン)

トリオ・ヴァンダラーの実演を聴くのは今回が初めて。正直、リチェルカール・コンソートとベレゾフスキーの間のつなぎに取った公演だったのだが、ここでのフォーレが実に素晴らしくて惹き込まれた。

3人のアンサンブルが醸し出す響きの高貴な透明感が絶妙であり、それがフォーレの透明なメランコリーを帯びた楽想に無上にフィット。少しも押し付けがましくなく、それでいて音楽がナチュラルに身に浸透していくような感覚が聴いていて何とも言えない深い感銘を喚起したし、なるほどフォーレのピアノ・トリオはフランス本場のアンサンブルで聴くと、これほどの幸福感に満たされる音楽なのかと、改めて思い知らされた。

続いてケクランの作品が3つ続けて演奏された。最初の「ブルターニュの歌」はチェロとピアノの二重奏で、フォーレを更に親しみ易くしたような耳当たりの良い音楽。続く「4つの小品 op.32」はピアノ、ヴァイオリン、ホルンの三重奏曲という珍しい編成。根本雄伯の吹くホルンが実にメロディアス。ホルンとはこんなに美しくメロディを歌えるものかと、ここでも再認識。最後のラメントでは、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、ホルンの四重奏という新鮮なハーモニーを面白く聴いた。

リチェルカール・コンソートによる「パリのバロック」(LFJ2013公演)


5/3 東京国際フォーラムB7ホール
LFJ2013 公演124

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F.クープラン 「諸国の人々」第1組曲「フランス人」ソナード
マレ サント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘
F.クープラン 「諸国の人々」第2組曲「スペイン人」ロンド
F.クープラン 同・バッサカーユ
マレ フォリアのクプレ
ラモー コンセール用クラヴサン曲集・第3コンセール「内気」
ラモー 同「タンブラン」
コレット コミック協奏曲第25番ト短調「未開人」
 フィリップ・ピエルロ (指揮、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 リチェルカール・コンソート

この公演は当初出演が予定されていたソプラノ歌手のセリーヌ・シェーンが体調不良によりキャンセルとなり、それに伴い演目も大きく変更。シェーンが歌う予定だったラモーの3曲のアリアが外され、代わりにマレの器楽曲が加えられた。

古楽大国ベルギーのアンサンブルであるリチェルカール・コンソートはLFJ常連で、これまで2009年のバッハのト短調ミサと2010年のヘンデル、2012年の「ボリス・ゴドゥノフ宮廷の音楽」と聴いてきているので今回が4回めの実演なのだが、過去の3回はCホールとよみうりホールだったのに対し、今回は至近距離で演奏を聴いた関係から、ピリオド楽器の繊細な音色の肌ざわり、細やかな響きの陰影が、過去の公演よりも生々しく伝わってきて大いに惹きこまれた。やはりバロックというのは原理的にソロの集積体として成リ立っているのだなと実感。洗練された古楽の優美な響きをしみじみと堪能した。

シャマユによるラヴェルのピアノ協奏曲ほか(LFJ2013公演)


5/3 東京国際フォーラムAホール
LFJ2013 公演113

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ラヴェル ピアノ協奏曲
サン=サーンス ハバネラ
サラサーテ カルメン幻想曲
ヒメネス 「ルイス・アロンソの結婚式」より間奏曲
 ベルトラン・シャマユ (ピアノ)
 ニコラ・ドートリクール(ヴァイオリン)
 ルセロ・テナ(カスタネット)
 ジャン=ジャック・カントロフ(指揮)
 シンフォニア・ヴァルソヴィア

当初ヴォイオリニストとしてダヴィッド・グリマルが予定されていたようだがキャンセルになり、演目も多少の入れ替えがあったようだが、この公演はシャマユの弾くラヴェル目当てにチケットを入手したので問題なし。

フランスの名手シャマユは3年前のLFJで聴いたライプツィヒ弦楽四重奏団との共演によるシューマンのピアノ五重奏曲も良かったし、最近リリースされたリストのピアノ協奏曲第1番の録音も素晴らしかったので、楽しみにしていた。

そのシャマユの披露したラヴェルは洒脱にしてエレガンシー。切れのあるタッチから詩趣に富んだフレーズの連なりを鮮やかに紡ぎ出していく様に魅せられた。このラヴェルの協奏曲は先月のシュトゥットガルト放送響の公演でもエリック・ル・サージュのソロで聴いたが、その時はサントリーホールで、ル・サージュの織り成すえも言われぬ音色の美しさに陶酔した記憶が新しいが、今回のシャマユのラヴェルは、もちろんホールの違いが大きいのだが、陶酔的というよりは覚醒的な音色のエレガンシーを印象づけられた。個々の音の凛然とした粒立ちの良さに、少し崩したフレージングの洒脱さが調和し、絶妙なラヴェルが繰り広げられた。

続いてニコラ・ドートリクールのヴァイオリン・ソロでサン=サーンスのハバネラとサラサーテのカルメン幻想曲。カントロフに師事した若手ヴァイオリスト。なかなかに豪快な弾き回しで、少し乱暴な気もしたが、面白かった。最後に世界的フラメンコ・カスタネット奏者ルセロ・テナによるヒメネス。カスタネットがこれほど歯切れよく鮮烈に鳴るものなのかと、聴いていて素直に感服。アンコールにカスタネットの即興演奏を披露。場内は大いに沸いた。

アンサンブル・アンテルコンタンポランによるブーレーズ「シュル・アンシーズ」ほか(LFJ2013公演)


5/3 東京国際フォーラムB7ホール
LFJ2013 公演122

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ラヴェル 序奏とアレグロ
ブーレーズ シュル・アンシーズ
 スザンナ・マルッキ (指揮)
 アンサンブル・アンテルコンタンポラン

LFJでアンサンブル・アンテルコンタンポランの実演を聴けるとは思わなかった。

ラヴェルが15分、楽器転換およびハープの調律に10分、ブーレーズが35分、計1時間のコンサート。ラヴェルの「序奏とアレグロ」は弦楽四重奏とフルート、クラリネットを伴奏とするハープのための作品で、実演で聴くのは初めての体験だったが、限定された楽器編成によりながらも、そこかしこに「ダフニスとクロエ」を連想させる優美で典雅な音の絵巻が展開されていく様に強く惹きこまれた。指揮者なしの演奏だったが、アンサンブルの緊密な連携に一分の隙もなく、見事だった。

続いてスザンナ・マルッキの指揮によりブーレーズ「シュル・アンシーズ」が演奏された。これは1998年に作曲された、3台のピアノと3台のハープ、および3台のパーカッション・クラヴィーアのための作品。メロディを徹底的に排除し、ぎっしりと敷き詰められたリズムとハーモニーのみで構築された、安易に人を寄せ付けない厳しい音響世界であり、グロテスクなリズムの狂奔と、ハープの美しい響きとが不可分に両立する、なんとも幻想的で、奇怪な音楽。聴いていて次第に体が痺れてくるような不思議な感覚を味わった。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013(5/4)


5/4 東京国際フォーラム
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013

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・公演214(Aホール):
ロドリーゴ ある貴紳のための幻想曲
ファリャ 交響的印象「スペインの庭の夜」
 村治佳織 (ギター)
 ルイス・フェルナンド・ペレス (ピアノ)
 ジャン=ジャック・カントロフ (指揮)
 シンフォニア・ヴァルソヴィア

・公演225(B7ホール):
ラヴェル ラ・ヴァルス
フランク ピアノ五重奏曲
 ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ (ピアノ)
 モディリアーニ弦楽四重奏団

・公演215(Aホール):
ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル ピアノ協奏曲
ラヴェル ラ・ヴァルス
ラヴェル ボレロ
 ラムルー管弦楽団
 フェイサル・カルイ (指揮)
 小山実稚恵 (ピアノ)
 佐渡裕(サプライズ・ゲスト、ボレロを指揮)

・公演227(B7ホール):
ドビュッシー ヴァイオリン・ソナタ
フランク ヴァイオリン・ソナタ
 オーギュスタン・デュメイ(ヴァイオリン)
 児玉桃 (ピアノ)

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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013(5/3)


5/3 東京国際フォーラム
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2013

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・公演122(B7ホール):
ラヴェル 序奏とアレグロ
ブーレーズ シュル・アンシーズ
 スザンナ・マルッキ (指揮)
 アンサンブル・アンテルコンタンポラン

・公演113(Aホール):
ラヴェル ピアノ協奏曲
サン=サーンス ハバネラ
サラサーテ カルメン幻想曲
ヒメネス 「ルイス・アロンソの結婚式」より間奏曲
 ベルトラン・シャマユ (ピアノ)
 ニコラ・ドートリクール(ヴァイオリン)
 ルセロ・テナ(カスタネット)
 ジャン=ジャック・カントロフ (指揮)
 シンフォニア・ヴァルソヴィア

・公演124(B7ホール):
F.クープラン 「諸国の人々」第1組曲「フランス人」ソナード
マレ サント・ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン教会の鐘
F.クープラン 「諸国の人々」第2組曲「スペイン人」ロンド
F.クープラン 同・バッサカーユ
マレ フォリアのクプレ
ラモー コンセール用クラヴサン曲集・第3コンセール「内気」
ラモー 同「タンブラン」
コレット コミック協奏曲第25番ト短調「未開人」
 フィリップ・ピエルロ (指揮、ヴィオラ・ダ・ガンバ)
 リチェルカール・コンソート

・公演125(B7ホール):
フォーレ ピアノ三重奏曲
ケクラン ブルターニュの歌
ケクラン 4つの小品
ケクラン ラメント
 トリオ・ヴァンダラー
 根本雄伯(ホルン)

・公演175(よみうりホール):
ラヴェル 夜のガスパール
デュティユー ピアノ・ソナタより第1楽章
ドビュッシー 前奏曲集第1巻より6曲
 ボリス・ベレゾフスキー (ピアノ)

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スヴェトラーノフとベルリン・フィルの一期一会コンサートにおけるチャイコフスキーのマンフレッド交響曲


チャイコフスキー マンフレッド交響曲ほか
 スヴェトラーノフ/ベルリン・フィル
 Testament 1989年ライヴ SBT21481
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エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるチャイコフスキーのマンフレッド交響曲。英テスタメントの新譜。

1989年3月ベルリン、フィルハーモニーでのコンサート(スヴェトラーノフとベルリン・フィルの顔合わせは本コンサートが最初で最後だったとされる)のライヴ録音。ほかに当日のコンサートで演奏されたベートーヴェンのレオノーレ第3番、およびハイドン交響曲第100番「軍隊」も収録されている。

スヴェトラーノフは昨年ICAから出たフィルハーモニア管とのラフマニノフ交響曲第2番とヴァイトブリックから出たスウェーデン放送交響とのサン=サーンスの「オルガン付き」がいずれも超弩級の演奏内容だったが今回はテスタメントの方からベルリン・フィルを指揮したチャイコフスキーのライヴがリリースということで興味津々で入手した。

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