ユロフスキ/エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団によるマーラー作品集


マーラー 交響詩「葬礼」、さすらう若者の歌
 ユロフスキ/エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団
 Signum 2011年ライヴ SIGCD259
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ヴラディーミル・ユロフスキ指揮エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団の演奏によるマーラーの交響詩「葬礼」および歌曲集「さすらう若者の歌」(メゾ・ソプラノ:サラ・コノリー)。英シグナム・クラシックスの新譜。2011年ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ録音。

Lpoレーベルから継続的にライヴ録音をリリースしているユロフスキのマーラーといえば昨年リリースされたロンドン・フィルとの「復活」が圧巻だったが、今回はシグナムの方からピリオド・オーケストラであるAOE管を指揮したマーラーの新譜がリリースされたので興味津々で入手した。

ピリオド・オーケストラによるマーラーの録音は珍しいがロジャー・ノリントンが2001年ブレーメン音楽祭においてエイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団を指揮した交響曲第1番「巨人」のライヴ録音が以前CD-Rで出ていた。

ティーレマン/ウィーン・フィル等によるペーター・ルジツカの管弦楽作品集


ルジツカ 管弦楽作品集
 ティーレマン/ウィーン・フィルほか
 Thorofon 2010・11年ライヴ CTH2589
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クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などの演奏によるペーター・ルジツカの管弦楽作品集。ドイツのマイナーレーベルTHOROFONの新譜。収録曲は以下の3曲。

①「Einschreibung」
②「Aulodie」
③「Zurucknehmen」

①はクリストフ・エッシェンバッハ指揮北ドイツ放送交響楽団による演奏。2011年2月ハンブルク、ライスハレでのライヴ録音。

②はペーター・ルジツカ指揮シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭管弦楽団の演奏。2011年8月ハンブルク、ロルフ・リーバーマン・スタジオでのライヴ録音。

③はクリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。2010年4月25日ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ録音。

この秋のドレスデン・シュターツカペレ来日公演で目覚ましい演奏を披瀝したティーレマンだが意外なところからウィーン・フィルとの最近の録音がリリースされたので入手した。

1948年ドイツ生まれの作曲家ペーター・ルジツカは2002年から06までザルツブルク音楽祭の芸術監督を務めたことで有名だが作曲家としても現代ドイツ作曲界の重鎮的存在であり、師であるヘンツェゆずりのドイツ王道の前衛精神を発揮し現在まで精力的に作曲活動を続けている。

①はルジツカのマーラーへのオマージュというべき作品とされており、聴いてみた限り6つの楽章のうち第2楽章の終結部はマーラー交響曲第7番「夜の歌」の冒頭部分が、また第3楽章はマーラー交響曲第6番「悲劇的」のスケルツォ楽章が明示的に引用されている。

②はオーボエと室内管弦楽のための作品であり、この録音ではアルブレヒト・マイヤーがオーボエ独奏を務めている。

③はライナーノートにいわくルジツカがトーマス・マンの長編小説「ファウスト博士(Doktor Faustus、1947年)」にインスパイアされて作曲した作品とのこと。この小説では天才的音楽家アドリアン・レーヴァキューンの狂気に彩られた波乱の生涯が描かれている。

小説「ファウスト博士」の終盤においてレーヴァキューンは自身の畢生の大作であるカンタータ「ファウスト博士の嘆き」を作曲するが、その作曲の契機ともいうべき以下の有名な場面が本CDのライナーノートに引用されている。

「わかったよ」と彼は私に言った。「あれは存在してはならないのだ」
「何がだね、アドリアン、何が存在してはならないのだ?」
「善にして高貴なるもの、だ」と彼は私に答えた。「善であり高貴であっても、人間的と呼ばれるものは存在してはならない。人間がそれを得ようと戦ったもの、人間がそのために堅城を襲ったもの、そして目的を達した人々が歓呼して告知したもの、それは存在してはならない。それは取り消される。ぼくがそれを取り消そう」
「ぼくには、君、よくわからないんだかね。何を取り消すというのか?」
「《第九交響曲》さ」と彼は答えた。

上記は岩波文庫のトーマス・マン著「ファウスト博士(下)」P.226より引用した。

CDの話にもどるが、この③は前述のとおりティーレマン/ウィーン・フィルの演奏により2010年4月25日にウィーン、ムジークフェラインザールでライヴ録音されているのだが、この日のウィーン・フィルのコンサートでは前半に③が演奏され、その後半にはベートーヴェンの交響曲第9番が演奏されていた。

小説において主人公レーヴァキューンは「ファウスト博士の嘆き」を「ベートーヴェンの《第九》と言葉の最も憂鬱な意味で対をなすもの」と規定している。少なくとも同小説の筋を知る者にとっては③と「第9」を敢えて並べたウィーン・フィルの当該コンサートの趣向に対し思うところが多かったのではないかと推察される。

ちなみに、③に続いてティーレマン/ウィーン・フィルにより演奏された前記ベートーヴェン交響曲第9番のライヴ録音の方はソニークラシカルからリリースされている

テンシュテット/ロンドン・フィルによるブラームス交響曲第1番の92年ライヴと交響曲第3番の83年ライヴ


ブラームス 交響曲第1番・第3番
 テンシュテット/ロンドン・フィル
 Lpo 1992年・1983年ライヴ LPO0068
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クラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるブラームス交響曲第1番&第3番。ロンドン・フィル自主制作レーベルの新譜。1992年(第1番)、1983年(第3番)ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ録音。

このレーベルによるテンシュテット往年のライヴ録音としては昨年リリースのマーラー8番が素晴らしかったが、そのマーラーと今回のブラ1は同時期の録音ということもあり早速入手した。

バラティによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集


ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ全集
 バラティ(vn) 、ヴュルツ(pf)
 Brilliant 2011~12年 BRL94310
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クリストフ・バラティのヴァイオリンとクララ・ヴュルツのピアノによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集。ブリリアント・クラシックスの新譜。2011~12年ハンガリーでのセッション録音。

ハンガリー出身のヴァイオリニストであるバラティは今年の春にリリースされたイザイ&エリザベート王妃国際音楽コンクール75周年記念ヴァイオリン部門ライヴ集に収録されていたベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が素晴らしかったが、その最新録音としてベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲が一挙に出たので興味津々で入手した。

尾高忠明/メルボルン交響楽団によるラフマニノフの交響曲第2番


ラフマニノフ 交響曲第2番
 尾高忠明/メルボルン交響楽団
 Abc-Classics 2010年ライヴ 4764842
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尾高忠明の指揮メルボルン交響楽団の演奏によるラフマニノフ交響曲第2番。濠Abc-Classicsの新譜。2010年メルボルン・タウン・ホールでのライヴ録音。

尾高忠明のラフマニノフ2番といえば以前ニンバスから出ていたBBCウェールズ交響楽団との録音が出色だったが、新たにメルボルン響(2010年から尾高忠明が首席客演指揮者を務めている)との再録音がリリースされたので早速入手した。

トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日公演(12/10 サントリーホール)の感想


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トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日公演をサントリーホールで。指揮者はトゥガン・ソヒエフ。

オール・フランス・プログラムで、前半がベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」およびサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番(ソリスト諏訪内晶子)、後半がベルリオーズの幻想交響曲。前半の2曲では文字通り耳の御馳走というべき演奏が披歴された。ソヒエフはアンサンブルを快適なテンポで走らせつつトゥールーズのオケの有する芳醇にしてゴージャスな色彩美を存分に印象づけ、その卓抜した音響美に素直に酔わされたし、諏訪内のボウイングの訴求力も並のものでなく、得も言われぬほど雅やかなフレージングの美しさも素晴らしく、またトゥールーズのオケとは何度か共演を重ねているということでアンサンブルとの完璧な呼吸による掛け合いの妙も抜群だった。

後半の幻想交響曲は単純に耳の御馳走というに留まらない強力な表出力を帯びた圧巻の演奏内容だった。当夜ロビーで入手したプログラムには幻想交響曲に対する演奏コンセプトとして「標題音楽という性格を強調しすぎることのない器楽的解釈」に基づくとあった(P.31のソヒエフのインタビュー記事)が、ことテンポ運用に関しては確かにテンポを揺らしたり遅めたりという動きの総じて抑制された、少なくとも造形的には純器楽風ともいうべき行き方のベルリオーズだったがアンサンブルの練り上げる音響的な硬柔のメリハリに関しては、その振幅の度合いが尋常でなく、楽章が進むに従い加速度的に増大する音楽の緊迫感の形成において鬼才と謳われるソヒエフの本領を垣間見る思いだった。

第1楽章と第2楽章に関しては前半同様このオケの美質を十分に引き立たせつつ日本のオーケストラからでは容易には耳にし得ないような濃厚にして魅惑的な色彩美をホールに充溢させ、第3楽章においてはアンサンブルの艶やかな響きの中にも暗くアンニュイな響きの色合いを絶妙に織り交ぜていきながら、第4楽章と終楽章においては響きの美しさよりも音楽の戦慄性に重きを置いたような劇的インパクトに満ちた表情形成に移行し、そこでの絶大なダイナミックレンジやフォルテッシモでの熾烈な色合い、そして終楽章での奇怪的にして頽廃的な響きの感触やクライマックスでの壮絶を絵にかいたような音響展開など、いずれも聴いていて息を呑むほどだったし、かのゲルギエフの弟子筋とされるロシアの鬼才指揮者ソヒエフの、本質的にタフでリアリズム志向の音楽造りに、フランスの名門オケであるトゥールーズのアンサンブルが持つ音響的な特性が巧い具合に融合していることにも感服させられた。

盛り沢山のアンコールもあり終演は9時半過ぎとなった。

トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の来日公演(12/10 サントリーホール)


12/10 サントリーホール
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 来日公演

指揮:トゥガン・ソヒエフ

ヴァイオリン:諏訪内晶子

曲目:
  ベルリオーズ 序曲「ローマの謝肉祭」
  サン=サーンス ヴァイオリン協奏曲第3番
  ベルリオーズ 幻想交響曲

アンコール:
  ビゼー 「カルメン」第3幕への前奏曲
  レオンカヴァッロ 「道化師」間奏曲
  ビゼー 「カルメン」第1幕への前奏曲

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開演前の様子

スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルによるブラームス交響曲第2番&第3番



ブラームス 交響曲第2番・第3番
 スクロヴァチェフスキ/
  ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィル
 エームス 2011年 OC409
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スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(ザールブリュッケン放送交響楽団)の演奏によるブラームス交響曲交響曲第2番&第3番。独エームスの新譜。2011年3月ザールブリュッケン・コングレスハレでのセッション録音。

このコンビのブラームスは昨年の秋にリリースされた交響曲第1番の録音(OC408)以来ずいぶん待たされたが、ようやく交響曲第2番と第3番の録音がリリースされたので早速入手した。

ドミトリー・アレクセーエフによるスクリャービンのピアノ・ソナタ全集


スクリャービン ピアノ・ソナタ全集
 アレクセーエフ(pf)
 Brilliant 2008~2011年 BRL94388
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ドミトリー・アレクセーエフのピアノ演奏によるスクリャービンのピアノ・ソナタ全集。ブリリアント・クラシックスの新譜。2008~2011年イギリス、チャンプス・ヒルでのセッション録音。

スクリャービンのピアノ・ソナタ全集といえば最近パイア・ミュージックからリリースされたヤコフ・カスマン盤の痛快な演奏が記憶に新しいところ、今度はブリリアントから最新録音によるスクリャービンのソナタ全集が出たので入手した。

ドミトリー・アレクセーエフは1947年モスクワ生まれのピアニスト。1974年チャイコフスキー国際コンクールで5位に入賞したのち1975年リーズ国際ピアノ・コンクールでの優勝を契機に世界的な演奏活動を展開している。

サンソン・フランソワのEMI録音全集


「サンソン・フランソワ EMI録音全集」
 フランソワ(pf) 
 EMIクラシックス 1947~1970年 6461062
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サンソン・フランソワのEMI録音全集。フランスの名ピアニストであるフランソワがEMIに残したピアノ演奏の録音が36枚のCDに集成されている。

もともとはフランソワ没後40周年となる2010年にEMIからリリースされたボックスだが、最近になって大幅に値下げされ、四千円を切る価格で販売されている。

スラトキン/フィルハーモニア管弦楽団によるヴォーン=ウィリアムズの交響曲全集


ヴォーン=ウィリアムズ 交響曲全集
 スラトキン/フィルハーモニア管弦楽団
 RCA 1990~92年 88697902492
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レナード・スラトキン指揮フィルハーモニア管弦楽団によるヴォーン=ウィリアムズの交響曲全集。1990~92年イギリス、アビーロード第1スタジオおよびウォトフォード・タウン・ホールでのセッション録音。

これは昨年ソニークラシカルからリリースされたバジェットボックスだが、前記事のスラトキン/リヨン国立管弦楽団のベルリオーズ・アルバムと一緒に入手した。

スラトキン/リヨン国立管弦楽団によるベルリオーズの幻想交響曲


ベルリオーズ 幻想交響曲、序曲「海賊」
 スラトキン/リヨン国立管弦楽団
 Naxos 2011年 8572886
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レナード・スラトキン指揮リヨン国立管弦楽団の演奏による ベルリオーズの幻想交響曲と序曲「海賊」。ナクソスの新譜。2011年リヨン・オーディトリアムでのセッション録音。

先般のN響定期でのショスタコーヴィチ「レニングラード」の強烈な演奏が印象に新しいスラトキンだが、ちょうどナクソスから新譜としてリヨン国立管弦楽団を指揮したベルリオーズのアルバムがリリースされたので入手した。

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