ポリーニが1960年に録音したショパンの練習曲集(作品10&作品25)


ショパン 練習曲集(作品10&作品25)
 ポリーニ(pf)
 テスタメント 1960年 JSBT8473
JSBT8473

マウリツィオ・ポリーニのピアノ演奏によるショパンの練習曲集(作品10&作品25)。英テスタメントの新譜。1960年ロンドン、アビーロード・スタジオでのセッション録音。

最近のポリーニは新譜のリリースが年に一回あるかないかという頻度だが、思わぬところから思わぬ音源が発掘された。1960年にショパン国際コンクールで優勝を果たしたポリーニは同年、EMIとレコーディング契約を結び、まずショパンのピアノ協奏曲を録音、さらにショパンの全24曲のエチュードを録音していた。しかしポリーニはエチュードの方の録音の発売許可をEMIに与えず、そのまま今日までずっとお蔵入りだったらしい。

いずれにしても往年のショパン・コンクールにおいてルービンシュタインを含む審査員の面々を驚嘆せしめたと伝えられる、弱冠18歳のポリーニのピアニズムやいかに。

POCG7008
ショパン 練習曲集(作品10&作品25)
 ポリーニ(pf)
 グラモフォン 1972年 POCG7008

こちらは言わずと知れたグラモフォン録音。1972年ミュンヘンでのセッション録音。今後はポリーニの同曲集2回目の録音、という風に呼ばれる?

新国立劇場・ドヴォルザーク「ルサルカ」(11/26)の感想


2011-11-26c

タイトルロールのルサルカはロシアのソプラノ歌手オルガ・グリャコヴァでしたが、この歌手は同じ劇場で6月に観た「蝶々夫人」でもタイトルロールを歌っていましたが、今回も概ね同じ印象で、安定した歌唱力、ボリュームの豊かな声量、艶のある美声、ここぞという時の切迫感に満ちた声の力と、すこぶる立派な歌唱でしたが、やはり「蝶々夫人」の時と同様、声が重い点は気になりました。もう少し透明感をもって聴かせるべきと思える場面もあったし、全体的にワーグナーばりの重厚な歌い回しが目立ち、何だかワーグナーのオペラみたいだなという印象も。ただ「ルサルカ」というオペラ作品自体ワーグナー的な性格が色濃いと言われており、その特性からすれば別に間違っていないのかも知れませんが、純粋にメルヘン・オペラとして観た場合そこそこ違和感の残る歌唱だったようにも思えます。他の歌手に関しては突出感はないものの適材適所で丁寧に役をこなしていたなという印象です。

演出ですが、ノルウェー国立オペラ劇場のプロダクションのレンタル上演とのことで、向こうでは好評だったらしいですし、結局とらえ方は人それぞれということになろうかと思いますが、私自身の忌憚ない所感を言わせていただくなら、いくら理屈を並べても夢落ちは所詮夢落ちですし、悲劇的結末をむりくり「めでたしめでたし」のハッピーエンドに落とし込んでしまうのもどうなんだと思いますし、だいたい睡眠中に見た夢で人の精神が成長するなら世話はないですし、いずれにしてもあの落ちは興ざめだったというのが率直なところです。

新国立劇場・ドヴォルザーク「ルサルカ」(11/26)


11/26 新国立劇場
 ドヴォルザーク「ルサルカ」

2011-11-26a 2011-11-26b

指揮:ヤロスラフ・キズリンク
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
演出:ポール・カラン

ルサルカ:オルガ・グリャコヴァ
王子:ペーター・ベルガー
ヴォドニク(水の精):ミッシャ・シェロミアンスキー
イェジババ(魔法使い):ビルギット・レンメルト
外国の公女:ブリギッテ・ピンター

演出家曰く「エンディングは他と異なるバージョンです」(公演プログラムより)。

悪いんですけど、「このエンディング、駄目じゃん」というのが率直な感想ですね。

ネタばれ事項につき詳しいことは伏せます。どうしても知りたい方は以下の空白部にポインタを当てて反転ドラッグしてください。

まさかの夢落ち。すべては人間の少女ルサルカの夢の中の出来事であった。
この夢によりルサルカは人間的に一回り成長を遂げた。めでたしめでたし。

ポリーニとティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデンによるブラームスのピアノ協奏曲第1番


ブラームス ピアノ協奏曲第1番
 ポリーニ(pf) ティーレマン/シュターツカペレ・ドレスデン
 グラモフォン 2011年ライヴ 4779882
4779882

マウリツィオ・ポリーニのピアノ・ソロとクリスティアン・ティーレマン指揮シュターツカペレ・ドレスデンの伴奏によるブラームスのピアノ協奏曲第1番。独グラモフォンの新譜。2011年6月のドレスデン・ゼンパーオーパーでのライヴ録音。

昨年秋の来日リサイタルで耳にしたバッハの神韻たる演奏が今だ記憶に新しいポリーニの待望の新譜。正直ブラームスとは意外だった。てっきり次のリリースはバッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻かと思っていたが、、

マジストレッリとイタリアン・クラシカル・コンソルトによるモーツァルトとジュスマイヤーのクラリネット作品集


モーツァルト クラリネット協奏曲、クラリネット五重奏曲
&ジュスマイヤー クラリネット協奏曲ニ長調
 マジストレッリ(cl) イタリアン・クラシカル・コンソルト
 Gallo 2009年ライヴ GALLO1353
GALLO1353

ルイジ・マジストレッリのバセット・クラリネット演奏とイタリアン・クラシカル・コンソルトの伴奏によるモーツァルトとジュスマイヤーのクラリネット作品集。スイスのVDE-Galloの新譜。2009年イタリア、ミラノでの録音。収録曲はモーツァルトのクラリネット協奏曲とクラリネット五重奏曲、それにジュスマイヤーが1792年に作曲したクラリネット協奏曲ニ長調(残された手稿譜から第1楽章のみを復元して録音)の3曲。

モーツァルトのクラリネット協奏曲とクラリネット五重奏曲とを組み合わせたCDというのは数多いが、それにジュスマイヤーのクラリネット協奏曲をカップリングというのは初めての試みではないか。

マッケラス/エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団によるベートーヴェン交響曲第9番「合唱」


ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」
 マッケラス/エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団
 シグナム・クラシックス 1994年ライヴ SIGCD254
SIGCD254

チャールズ・マッケラス指揮エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団の演奏によるベートーヴェン交響曲第9番「合唱」。英シグナムの新譜。1994年8月のエジンバラ音楽祭におけるライヴ録音。

マッケラスは生前ピリオド・オーケストラであるAOE管と度々共演を重ねていたにも関わらず同オケとの録音のリリースは意外に少なかった。それが今回なんとベートーヴェン、それも第九のリリースとは。

ノイマン/チェコ・フィルによるドヴォルザークの歌劇「ルサルカ」全曲


ドヴォルザーク 歌劇「ルサルカ」全曲
 ノイマン/チェコ・フィル
 日本コロムビア 1982・83年 COCQ84513
COCQ84513

ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるドヴォルザークの歌劇「ルサルカ」全曲。日本コロムビアの「オペラ名盤選」シリーズとして2008年に発売されたもの。歌詞対訳もPDFファイルとして付属している。

新譜ではないが新国の予習用として購入。

パリ管弦楽団の来日公演(11/19 NHKホール)の感想


パリ管弦楽団の来日公演(11/19 NHKホール)の感想です。

2011-11-19c

オーケストラはVn-Va対向配置、編成はシューマンが14型でメシアンとストラヴィンスキーが16型でした。

最初のメシアン「忘れられた捧げ物」は弱冠22歳のメシアンがパリ音楽院を修了する1930年に作曲した作品で、「十字架」」「罪」「聖餐」の3つの部分に区切られており各々「悲痛に」「狂暴に」「慈悲をもって」という表情指定が与えられているということですが、ヤルヴィ/パリ管のアンサンブルは悲痛味を満たしたピアニッシモから狂暴を極めたようなフォルテッシモまで実にダイナミックな表現レンジを披露し、メシアン本場のオケとしての貫禄を十分に見せつけました。

続くシューマンのピアノ協奏曲ではダン・タイ・ソンの奏でるピアノの音色の怜悧な美しさにグッと心惹かれました。どのパッセージワークひとつとっても流暢な打鍵の運びから繰り出される奇麗に粒の揃って美しいピアニッシモの音立ちもさることながら、フォルテッシモにおいてさえふっくらと柔らかみのあるドリーミーな音色の諧調が素晴らしく、全体的にデュナーミクのレンジは控え目でド迫力とかパンチの効いた演奏といった形容は当てはまらない表現でしたが、そのあたりの自制力においてもダン・タイ・ソンの一つの見識が現われているように感じられましたし、アンコールで披歴されたショパンのマズルカも含めて、往年のショパン・コンクール覇者としての稀代のピアニズムの持ち味が十分に発揮された見事な演奏を堪能できて満足でしたが、そのピアニズムの特性を考慮するならもう少し残響のリッチなホールであればさらに音色の美感が映えて演奏の良さが一層ひきたったような感もありました。

後半のストラヴィンスキー「ペトルーシカ」は3管編成による1947年版での演奏でしたが、ここでは俊英パーヴォ・ヤルヴィの手により緊密に織り上げられたシビアなアンサンブルの組み上げとパリ管本来の芳醇な音響美の両者が折り合う地点に生まれる音楽のスリリングな拮抗感が聴きものでした。

この「ペトルーシカ」においてヤルヴィは全体的にオーケストラの響きをタイトに引き締めつつオーソドックスなテンポの運びから快調にアンサンブルの歩を進めつつ、また熾烈なフォルテッシモの場面でも決して暴力的にオケを鳴らさずパリ管特有の響きの美彩を毀損しない、その意味で緻密でデリケートな音楽造りを披露し、造型的にはオーソドックスな表現ながら音響的には非凡なものを聴き手に感知させるという行き方でした。

このようなヤルヴィの入念な運用のもとで発揮されたパリ管のアンサンブル独特の水際立った色彩感も見事なもので、それは単にパリ管の各パートの音色が上質でカラフルな美しさに富んでいるというだけでなく、むしろ音楽の進展に伴い実に多様多彩なハーモニーの引き出しを具有しているという点に真価があるように聴いていて思えました。というのも、例えば最初の謝肉祭の市の場面では賑々しい雑踏を描写する湧き立つように華やかな色彩の充溢、あるいは続くペトルーシカの独房でのアンニュイで頽廃的な色合いなど、この作品の性格に由来するパノラマ的な色彩の切り替えが絶妙を極めていたからで、結果このバレエ音楽の持つ色彩面での意外な面白さに聴いていて惹きつけられる思いでした。

残念なのはホール自体が相当デッドなのでパリ管の持つ芳醇な音響美の持ち味が必ずしも最大限には発揮されていたとは言えないように思えた点で、それがため大満足とまでは正直いきませんでしたが、久しぶりにフランスの管弦楽団ならではの演奏の醍醐味を堪能した充足のひとときでした。

パリ管弦楽団の来日公演(11/19 NHKホール)


11/19 NHKホール
パリ管弦楽団 来日公演

2011-11-19a

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノ:ダン・タイ・ソン

演目:
メシアン 忘れられた捧げ物
シューマン ピアノ協奏曲
ストラヴィンスキー バレエ音楽「ペトルーシカ」

アンコール:
(前半)ショパン マズルカ作品17-4
(後半)ビゼー 小組曲「子供の遊び」より「舞踏会」

大満足とまでは正直いきませんでした。

しかし俊英パーヴォ・ヤルヴィの手により整然と織り上げられた緊密なアンサンブル展開と、パリ管本来の芳醇な音響美の、両者が折り合う地点に生まれる音楽のスリリングな拮抗感が聴きものでした。

2011-11-19b
開演前の様子。NHKーFMが生放送とのことでマイクが凄い数でした、、

チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の来日公演(11/15 サントリーホール)の感想


チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の来日公演(11/15 サントリーホール)の感想です。

2011-11-15c

オーケストラは通常配置、編成はドヴォルザークが14型でブラームスが16型でしたが後者はチェロ奏者が(ヨーヨーマも含めて)12人(つまり16-14-12-12-8)という低弦に少し厚みを持たせたバランスでした。

前半のドヴォルザークのチェロ協奏曲はヨーヨー・マの快刀乱麻ともいうべきボウイングの切れ味が素晴らしく、聴いていてヴァイオリンかとさえ思われるほどにチェロの重力から解放されたような抜群の運動性と躍動感を帯びたフレージングの運びから、ドヴォルザークの美しいメロディを朗々と歌い上げ、その呼吸の伸びやかなことやボウイングの自在なことなど、さすがにヨーヨー・マの十八番の演目という風格に満ちていました。ヨーヨー・マによる同曲の実演は2年前のヤンソンス率いるバイエルン放送響の来日公演でも聴きましたが、今回はマが何度も共演を重ねて以心伝心な関係を築いていると思われるジンマン/トーンハレ管との共演ということで2年前の公演の時よりも快刀乱麻ぶりに更に拍車が掛かったような印象さえありました。

このヨーヨー・マの演奏は確かに表現自体において突き抜けたものがあり、その限りではマならではの演奏表現と言うべきものでした。ただ前述のように私は2年前に彼の同曲の実演を耳にしていることから、確かに優れた演奏であってもそこからある種の斬新さというか、それこそ今まで聴いたことのないようなフレッシュな音楽の趣きを知覚するという類の演奏とは成り得ず、いわば良いものは何度聴いても良い、というべき類の演奏でした。

しかし後半のブラームス交響曲第2番に関しては、それこそ私にとって初めて耳にするかのような斬新な趣きに事欠かないという点において瞠目に値する演奏内容でした。それは限りなく贅肉を削ぎ落したスリムな響きから構築される深々とした情緒というアンビバレントな特性において驚くべき新鮮味を湛えた演奏であり、そのあたりのストイックなロマンティズムの趣きに聴いていてグッと惹き込まれました。

このブラームスで披歴されたジンマン/トーンハレ管のアプローチというのは、まず旋律描写に関しては原曲のロマン派作品としてのスタイルに十分な敬意を払い、テンポを細やかに切り替えつつメロディというメロディを粘着感のあるフレージング展開からウエットに歌い上げるという行き方でしたが、同時にハーモニーの構築においてはオーケストラ個々のパートの奏でる旋律的な濃度のバランスが絶妙な形で相対的にコントロールされており、ゆえに決して濃密過多にならず、アンサンブル全体が一定以上の音響的透過性をコンスタントに持続させ、このブラームスのシンフォニー本来の揺るぎない構築的迫力を聴き手に明確に意識させる、というものでした。

その結果この作品の魅力たっぷりの構成メロディの持ち味ならびに本格を極めた交響曲としての堂々たる構築感、これらが互いを阻害することなく並列的に共存共栄するという、かなり突き詰められた形での演奏が披歴されることになりました。往々にして交響的構築感が阻害される情緒重視型のアプローチとも、逆に往々にして情緒感が阻害される交響的構築感重視のアプローチとも一味ちがう、その意味においてジンマン/トーンハレ管ならではのブラームスがホールに現出するに至り、結果この作品の二面的な醍醐味を同時に耳にするような心地よい快感に聴いていて誘われました。

このような特異なアプローチを可能にしているのは第一にはミリ単位の精度でのアンサンブル展開さえ可能とするかのようなジンマンのオーケストラに対する統制力が隅々まで行き届いている点が大きいのではと思われますが、のみならずブラームスゆかりのオーケストラ(このオーケストラは1868年のオケ設立時からブラームスとの関係が深い)としての地力とかブラームスに対するオーケストラ自体の共感の強さなどが背景にあるのかもという気もします。いずれにしても当夜のブラームスは指揮者ジンマンの確かな見識に裏打ちされた卓抜した音楽設計とオーケストラの伝統的ポテンシャルとが一体となって奏でられたかのような素晴らしい演奏内容でした。

チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の来日公演(11/15 サントリーホール)


11/15 サントリーホール
チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 来日公演

2011-11-15a 2011-11-15b

指揮:デイヴィッド・ジンマン
チェロ独奏:ヨーヨー・マ

演目:
ドヴォルザーク チェロ協奏曲
ブラームス 交響曲第2番

アンコール:
(前半)ブロッホ 「ユダヤ人の生活」から「祈り」
(後半)ブラームス ハンガリー舞曲第1番

なお、私の見まちがいでなければ後半のブラームスを演奏するオケの12人のチェロ奏者の中にヨーヨー・マの姿がありました(第4プルトの前から2列目)。

前半のヨーヨー・マによるドヴォルザークも素晴らしい演奏でしたが、当夜の圧巻は後半のブラームスでした。それは限りなく贅肉を削ぎ落したスリムな響きから構築される、深々とした情緒という、アンビバレントな特性において驚くべき新鮮味を湛えた演奏であり、そのあたりのストイックなロマンティズムの趣きに聴いていてグッと惹き込まれました。

スタニスラフ・ブーニンのピアノ・リサイタル(サントリーホール 11/12)の感想


スタニスラフ・ブーニンのピアノ・リサイタル(サントリーホール 11/12)の感想です。

2011-11-12c

リサイタル前半はJ.S.バッハの作品群が続けて演奏されましたが、聴いていて正直どうしたんだろうと思うくらいブーニンにしては平凡な演奏でした。というのも、ステージ上のブーニンが明らかに体調が悪そうな雰囲気を醸し出していたからで、まず最初の「主よ人の望みの喜びよ」(マイラヘス編曲)を弾いている時に、その終わり近くで大きくクシャミをしたのを皮切りに、以降、曲の合間ごとにハンカチを鼻にあてがって調子悪そうな表情を示したりと、もしか風邪でもひいているのかなと観ていて心配になってしまうほどでした。そのあたりの影響が演奏の節々にも垣間見られてしまい、全体にフレージング構成が平板に流れタッチの弾力にも冴えがさほどになく、聴いていて不完全燃焼な気配がありありという印象を拭えませんでした。

後半の最初はドビュシーの版画(「パゴダ」「グラナダの夕」「雨の庭」)でしたが、この曲はブーニンが1985年に弱冠19歳でショパンコンクールに優勝した同年にグラモフォンに録音を果たしたほどのブーニンにとって思い入れのある作品だけに、どんな演奏かと期待して耳を傾けましたが、結果的には前半の不調を引きずるような形になり、これら難曲の3曲ともにミスタッチなく弾き切った点は見事としても表現において突き抜けたものに乏しく、並のピアニストであれば申し分のない演奏であってもブーニンともなればやはり期待値も大きく、聴き終えたときには残念感ばかりが残りました。

それがショパンのマズルカになるとブーニン本来の精彩に富んだピアニズムの冴えが徐々に発揮され出し、自在なテンポ感とリズムの目覚ましい弾力感、天衣無縫ともいうべきフレージングの閃き、いずれも作品に最大限の敬意を払いつつ彼ならでのピアニズムの持ち味も活かされた、まさにショパンコンクール覇者の貫録十分な演奏内容でしたし、次のエチュード「革命」においては音楽のシリアスな表情を正面から見据えた重厚なピアノの鳴りっぷりが素晴らしく、最後の幻想ポロネーズにおいては音楽の推移とともに微妙に揺れ動く細やかなニュアンスが絶妙な色彩感をもって描き出され、まろやかに洗練された美しい音色の醸し出すえも言われぬファンタジーの発露といい、みずみずしいリリシズムを湛えた高貴なロマンティズムの表現力といい、まさにブーニンならではの無二の演奏というに相応しく、この幻想ポロネーズがショパン作品の中でも随一の深みを持つ作品であるといわれる所以をあらためて実感させられるほどに感銘深い演奏内容でしたし、そのコーダで鳴り切った名器ファツィオリの雄渾な響きは聴いていて鳥肌が立つほど素晴らしいものでした。

以上、当夜のリサイタルではバッハとドビュッシーに関してはブーニンにしては正直いまひとつ精彩不足の演奏と感じられてしまい、それは残念でしたがショパン以降においては現在45歳にあるブーニン円熟のピアニズムの醍醐味を満喫することができ大満足でした。

スタニスラフ・ブーニンのピアノ・リサイタル(サントリーホール 11/12)


11/12 サントリーホール
スタニスラフ・ブーニン ピアノ・リサイタル

2011-11-12a

曲目:
J.S.バッハ
 「主よ、人の望みの喜びよ」(カンタータBWV.147より)
 コラール前奏曲「いざ来れ異教徒の救い主よ」BWV.659a
 同「目覚めよ、と呼ぶ声あり」BWV.645
 同「われ、汝を呼ぶ、主イエス・キリストよ」BWV.639
 フランス組曲第6番BWV817
ドビュッシー 
 「版画」
ショパン 
 マズルカop.67-4
 エチュードop10-12「革命」
 ポロネーズop.61「幻想」
シューマン アラベスク作品18(アンコール曲)

最初のバッハと次のドビュッシーに関してはブーニンにしては正直いまひとつ精彩不足の演奏だなと思ってしまいましたが最後のショパンとアンコールのシューマンではブーニンならではの卓越した表現力の充溢するピアニズムの醍醐味を堪能することができ大満足でした。

2011-11-12b
開演前のステージ
名器ファツィオリ

スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルによるブラームス交響曲第1番



ブラームス 交響曲第1番
 スクロヴァチェフスキ/
  ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィル
 エームス 2011年 OC408
OC408

独エームスから先般リリースされた、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団(ザールブリュッケン放送交響楽団)の演奏によるブラームス交響曲第1番のCDを購入しました。2011年2月ザールブリュッケン・コングレスハレでの録音。

周知のようにスクロヴァチェフスキはこれまでザールブリュッケンのオーケストラを指揮しベートーヴェンとシューマンとブルックナーの各交響曲全集を録音済みであるのに対し、それらに匹敵する同指揮者の重要レパートリーたるブラームスの交響曲に関しては、どういうわけかザールブリュッケンのオケを指揮した録音が今まで為されていませんでしたが、本CDのリリースが同オケとの初のブラームス交響曲全集への着手になるのでしょうか。

いずれにしても先月の同オーケストラ来日公演において肌で感じた現在のこのコンビの驚異的な高みにある演奏水準からして今回リリースのブラームスは大変たのしみな新譜ですし、じっくり聴いてみたいと思います。

ヴァント/N響によるシューベルト交響曲第9番「グレート」&ブルックナー交響曲第8番


シューベルト 交響曲第9番「グレート」
&ブルックナー 交響曲第8番
 ヴァント/NHK交響楽団
 キングインターナショナル 1979・83年ライヴ KKC2015
KKC2015

キングインターナショナルから先般リリースされたギュンター・ヴァント指揮NHK交響楽団の演奏によるシューベルト交響曲第9番「グレート」およびブルックナー交響曲第8番を収録したCDを購入しました。シューベルトが1979年、ブルックナーが1983年、いずれも東京、NHKホールでのライヴ録音。

曲目の2曲はいずれも生前ヴァントが幾度も録音を繰り返してきた自家薬籠中とも言うべき作品ですが、とくにブルックナー交響曲第8番に関しては既に正規盤が7種類、プライヴェート盤も含めて少なくとも9種類が存在しており、今回リリースされたN響とのライヴ盤が8番目の正規盤ということになるはずです(→ギュンター・ヴァント指揮ブルックナー交響曲第8番のディスコグラフィ参照)。

かつてヴァントがN響と共演した演奏会の録音はこれまで幻の音源とも言われていたところ今回N響85周年記念CDとして初リリースされたとのこと。どのような演奏が聴けるか非常に楽しみです。

ヴァイル/カペラ・コロニエンシスによるワーグナーの歌劇「さまよえるオランダ人」全曲


ワーグナー 歌劇「さまよえるオランダ人」全曲
 ヴァイル/カペラ・コロニエンシス
 独ハルモニアムンディ 2004年ライヴ 82876640712
82876640712

昨日のブログ更新ではミヒャエル・ホーフシュテッター指揮ルートヴィヒスブルク城音楽祭管弦楽団の演奏によるヴェルディ歌劇「トロヴァトーレ」全曲の新譜について書きましたが、その記事の中でピリオドオーケストラの演奏によるヴェルディのオペラ全曲盤としては初リリースであるがワーグナーのオペラに関しては数年前にピリオドオーケストラによる全曲盤がリリースされていたはずと書きました。

そのCDというのは具体的にはブルーノ・ヴァイル指揮カペラ・コロニエンシスの演奏によるワーグナー歌劇「さまよえるオランダ人」全曲盤で、2004年6月エッセン・フィルハーモニーでライヴ収録され、ドイツ・ハルモニア・ムンディから2005年にリリースされていました。

このヴァイルの「オランダ人」全曲盤はピリオドオーケストラによるワーグナーの初録音であるだけでなく、このオペラの1841年初稿版に基づく録音としても史上初とされており、これは自筆譜しか残されていない未出版のもののようですが、例えば作品の舞台設定がノルウェーでなくスコットランドであったりなど、通常の版と比べて相応の差違があります。

ピリオド・アンサンブルの響きの特性のみならずテルイェ・ステンスフォルトの歌うオランダ人、アストリート・ウェーバーの歌うゼンタも含め、全体的に重厚長大なワーグナーのイメージとは対極にあるので、コアなワグネリアンには向かない演奏かも知れませんが、私は面白く聴きました。これほどスリムな音響感のワーグナーというのも珍しいと思います。

ホーフシュテッター指揮ルートヴィヒスブルク城音楽祭管弦楽団によるヴェルディ歌劇「トロヴァトーレ」全曲


ヴェルディ 歌劇「トロヴァトーレ」全曲
 ホーフシュテッター/ルートヴィヒスブルク城音楽祭管
 エームス 2009年ライヴ OC951
OC951

独エームスから先般リリースされた、ミヒャエル・ホーフシュテッター指揮ルートヴィヒスブルク城音楽祭管弦楽団の演奏によるヴェルディ歌劇「トロヴァトーレ」全曲のCDを購入しました。2009年8月ルートヴィヒスブルク城音楽祭でのライヴ録音。歌唱陣はレオノーラがジモーネ・ケルメス、マンリーコがヘルベルト・リッペルト、ルーナ伯爵がミルジェンコ・トゥルク
、アズチェーナがイヴォンヌ・ナエフ。

ルートヴィヒスブルク城音楽祭管弦楽団はオリジナル楽器編成に基づくオーケストラとされており、この演奏においてもオペラが初演された19世紀中盤におけるイタリアの歌劇場のオーケストラの楽器や器楽編成から奏法に至るまでの独自の研究の成果に基づき、当時の演奏様式が再現されているとのことです。

いずれにしてもピリオドオーケストラの演奏によるヴェルディのオペラ全曲盤というのは本CDが初リリースではないかと思われます。すでにワーグナーのオペラに関しては数年前にピリオドオーケストラによる全曲盤がリリースされていたはずで、いよいよヴェルディという感じですが、「トロヴァトーレ」はちょうど先月に新国立劇場で鑑賞したばかりですし、ピリオドアプローチならではのヴェルディの音楽とは如何なるものか興味津々です。

サラステ/フィンランド放送交響楽団によるシベリウス交響曲全集1993年ライヴ


シベリウス 交響曲全集
 サラステ/フィンランド放送交響楽団
 フィンランディア 1993年ライヴ WPCS-4744/7
WPCS-47447

昨日の更新ではユッカ=ペッカ・サラステ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるシベリウス交響曲第5番の新譜を購入した旨を書きましたが、その補足というわけでもないですがサラステはフィンランド放送響を指揮したシベリウスの交響曲全集を過去に2度リリースしています。

その中でも1993年に同指揮者がフィンランド放送響を引き連れてロシアのサンクト・ペテルスブルクに客演した際に収録されたフィンランディア・レーベルのシベリウス全集は私の愛聴盤のひとつです。

ここではサラステの理知的な造形展開をベースにフィンランド放送響のアンサンブルの奏でる、北欧風ともいうべき厳しい響きの醸し出す俗っ気の無い音色の美観が冴え渡り、聴くほどにシベリウスの音楽に吸い込まれていくような趣きに何とも言えない美質を感じます。

サラステ/ロンドン・フィルによるシベリウス&ルトスワフスキ


シベリウス 交響曲第5番、交響詩「ポヒョラの娘」
&ルトスワフスキ 管弦楽のための協奏曲
 サラステ/ロンドン・フィル
 LPO 2008年ライヴ LPO0057
LPO0057

ロンドンフィル自主制作レーベルから先般リリースされた、ユッカ=ペッカ・サラステ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるシベリウスの交響詩「ポヒョラの娘」と交響曲第5番、およびルトスワフスキの「管弦楽のための協奏曲」を収録したCDを購入しました。2008年ロンドン、ロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ録り。

フィンランドの指揮者サラステは周知のようにフィンランド放送響を指揮したシベリウスの交響曲全集をこれまで2度も録音しているシベリウス演奏のエキスパートですが、今回リリースのCDには2008年にサラステがロンドン・フィルに客演した際のシベリウスの交響曲第5番が含まれているということで興味をそそられ購入しました。この指揮者ならではの清冽なシベリウスにじっくり耳を傾けてみたいと思います。

オスロ弦楽四重奏団によるステンハンマルの弦楽四重奏曲集


ステンハンマル 弦楽四重奏曲第3番~第6番
 オスロ弦楽四重奏団
 Cpo 2006・07年 777426
777426

独Cpoから先般リリースされた、オスロ弦楽四重奏団によるステンハンマルの弦楽四重奏曲集のCDを購入しました。2006年から07年にかけてのノルウェー、オスロでのセッション録音。スウェーデンを代表する作曲家ステンハンマルの弦楽四重奏曲第3番から第6番の4曲がSACDハイブリッド2枚組に収録されています。

オスロ弦楽四重奏団は1991年に設立されたノルウェーの四重奏団であり、これまでナクソスにグリーグやニールセンなどの北欧作曲家の室内楽作品をレコーディングし高評価を得ている団体だけに今回のステンハンマル作品集でも充実した演奏を期待したいと思います。

ブーニンによるバッハのピアノ作品集


J.S.バッハ ピアノ作品集
 ブーニン(pf)
 EMIクラシックス 1990年 TOCE-2298
TOCE-2298

旧ソ連出身のピアニストであるスタニスラフ・ブーニンが今月サントリーホールで行うピアノ・リサイタルを聴きに行く予定です。

そのリサイタルの演目はバッハ、ドビュッシー、ショパンというブーニンのレパートリーの中心たる3人の作曲家の音楽を並べた豪華なものですが、特に私が楽しみにしているのがバッハです。周知のようにブーニンは1985年に弱冠19才でショパンコンクールで優勝し一躍時の人になり、それから3年後に西ドイツに移住しますが、そのドイツの地で「目から鱗が落ちるようにバッハ演奏の新境地が開けた」とブーニン自身が語っており、以後バッハのピアノ曲が世界中のコンサートホールでさっぱり弾かれなくなっている現状を憂い、「このままではバッハのピアノ芸術が消滅してしまうのではないか」という危機感から、自身のリサイタルでバッハの曲を積極的に取り上げるようになったということです。

実際CDで耳にするブーニンのバッハ演奏というのは独自のインスピレーションの閃きに満ち、決して押し付けがましい表現でないにもかかわらずバッハ音楽の芸術的な奥行きの深さを聴き手に意識させる素晴らしい演奏表現ではないかと感じていますが、これまでブーニンのバッハを実演で聴く機会がなかったので、今回のリサイタルでは彼の弾くバッハにじっくり耳を傾けてみたいと思います。

ゴレンシテイン/ロシア国立交響楽団によるマーラー交響曲第9番


マーラー 交響曲第9番
 ゴレンシテイン/ロシア国立交響楽団
 MD+G 2010年ライヴ 64817192
64817192

独MD+Gから先般リリースされたマルク・ゴレンシテイン指揮ロシア国立交響楽団の演奏によるマーラー交響曲第9番のCDを購入しました。2010年2月モスクワ音楽院大ホールでのライヴ録音。

ちょうど福島原発の放射能漏れ問題が海外の演奏団体の来日スケジュールに大きく影響を及ぼしていた今年5月、ゴレンシテイン率いるロシア国立交響楽団は同オケ14年ぶりとなる来日公演を行いましたが、それはヨーロッパのフル編成オーケストラとしては東日本大震災以降で最初の公演となりました。私はサントリーホールに聴きに行きましたが、そこで披歴されたラフマニノフの交響曲第2番の演奏では低弦に厚みを含ませたアンサンブル編成から展開される濃厚な弦のハーモニーと、金管のズシリと重厚な吹き回しと、木管の図太くて味の濃い音色など、これらが絶妙に合流し文字通りロシア本場を地でいく濃密なラフマニノフの響きがホールに充溢する様相が印象深いものでした。

今回リリースされたマーラーの9番では総タイム95分、両端楽章いずれも30分を超えているという尋常ならざる演奏タイムの表記が目につきますが、果たして如何なるマーラーなのか興味深いところです。

チョン・キョンファ/セント・ルークス室内合奏団によるヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲集「四季」


ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲集「四季」
 チョン・キョンファ(vn)/セント・ルークス室内合奏団
 EMIクラシックス 2000年 5570152
5570152

昨日のブログ更新でチョン・キョンファのヴァイオリンとジェイムズ・ゴールウェイのフルートにより1979年に録音されたバッハのトリオ・ソナタ集のCDを購入した旨を書きましたが、これはチョン・キョンファの(ライヴを除く)CDリリースとしては、2001年にEMIからリリースされたヴィヴァルディ「四季」以

チョン・キョンファ&ゴールウェイによるバッハのトリオ・ソナタ集


J.S.バッハ トリオ・ソナタ集
 チョン・キョンファ(vn)、ゴールウェイ(fl)
 Rca Korea 1979年・84年 S70697C
S70697C

韓国RCAから先般リリースされた、チョン・キョンファのヴァイオリンおよびジェイムズ・ゴールウェイのフルートの演奏によるバッハのトリオ・ソナタ集のCDを購入しました。1979年のロンドン、CBSスタジオでのセッション取り。収録曲はバッハのBWV.1039ト長調、BWV.1038ト長調、BWV.1079ハ短調のトリオ・ソナタ3曲。通奏低音はフィリップ・モル(チェンバロ)とモーレイ・ウェルシュ(チェロ)。

なおボーナス・トラックとしてゴールウェイがチョン・ミョンフン指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団をバックに録音したハチャトゥリアン「スパルタクス」のアダージョおよび「ガイーヌ」の剣の舞も収録されています。こちらは1984年のCBSスタジオでの録音。

韓国のチョン・キョンファはこれまで私自身が実演で耳にしたヴァイオリニストの中でも最も感銘を受けたアーティストの一人ですが、このバッハのトリオ・ソナタ集(今回が初CD化とのこと)では当時31歳のチョン・キョンファが稀代のフルーティストであるゴールウェイと共演してどのような演奏を披歴しているか大変たのしみです。

ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団によるブラームス交響曲全集


ブラームス 交響曲全集
 ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
 RCA 2010年ライヴ 88697933492
88697933492

RCAから先般リリースされたデイヴィッド・ジンマン指揮チューリヒ・トーンハレ管弦楽団の演奏によるブラームス交響曲全集のCDを購入しました。2010年4月チューリヒ、トーンハレでのライヴ録音。

ライナーノートによるとチューリヒ・トーンハレ管は実はブラームスゆかりのオーケストラなのだそうで、1868年のオケ設立時からブラームスが頻繁にチューリヒ音楽祭に招かれていたこと、1874年にはブラームス自身がトーンハレ管を指揮して自作「勝利の歌」を演奏したことなどが触れられています。

今回リリースのブラームス交響曲全集はジンマンがトーンハレ管の音楽監督に就任して15周年の節目における録音ということからか、このコンビとしては珍しく(初めて?)ライヴ録音によるリリースとなっているようですが、これまでスタジオ録りでじっくり煮詰めるタイプの指揮者だったジンマンがライヴ録音でどのようなスタイルのブラームスを披歴するか興味をそそられます。

フライブルク・バロックオーケストラの結成25周年記念ボックス


フライブルク・バロックオーケストラ結成25周年記念ボックス
 ヘンゲルブロック/フライブルク・バロックオーケストラほか
 独ハルモニア・ムンディ 1990~95年 88697937052
88697937052a

ドイツ・ハルモニア・ムンディから先般リリースされた、フライブルク・バロックオーケストラの結成25周年記念CD10枚組セットを購入しました。

これには以下のものが収録されています。
①ロカテッリ 室内楽作品集
②バッハ&ヴィヴァルディ 序曲・シンフォニア・協奏曲集
③パーセル&ヘンデル 劇音楽とカンタータ集
④テレマン 協奏曲と序曲集
⑤ゼレンカ&ピゼンデル 協奏曲&シンフォニア集
⑥ビーバー&シュメルツァー ソナタ(室内コンソート)集
⑦ザヴァテッリ 教会ソナタ風室内協奏曲集Op.1全曲
⑧C.P.E.バッハ 協奏曲とシンフォニア集
⑨パーセル 劇音楽による管弦楽組曲集

以上①②⑧⑨がトーマス・ヘンゲルブロック指揮フライブルク・バロックオーケストラによる演奏、③④⑤⑥⑦がゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ指揮フライブルク・バロックオーケストラによる演奏となっていますが、そのトーマス・ヘンゲルブロックは現在は北ドイツ放送響の首席指揮者として活躍中であり、つい最近ソニーから同オケ首席指揮者就任記念録音ライヴのCDがリリースされたばかりですが、その演奏はアンサンブル展開において得難いほどの瞬発力とパンチ力を兼ね備えた聴き応え豊かな演奏内容となっていて傾聴を禁じ得ませんでした。

またフォン・デア・ゴルツの方は現在でもフライブルク・バロックオーケストラのシェフとして活躍中であり、最近ではハルモニアムンディ・フランスからリリースされたメンデルスゾーンのピアノと弦楽のための協奏曲集でのヴァイタリティ溢れる演奏が印象に残っています。

そういう次第で、いずれも現在の音楽界の最前線で活躍するピリオド畑出身の指揮者が以前ドイツ・ハルモニア・ムンディに残したバロック音楽のCDがまとめて手に入るということで購入してみました。これらを聴き切るのは一苦労ですが何とか時間を見つけて地道に聴いてみようと思っています。

88697937052b

モーション・トリオによるショパン作品のアコーディオン三重奏編曲集


ショパン作品のアコーディオン三重奏編曲集
 モーション・トリオ
 Akordeonus Records 2010年ライヴ AKD005
AKD005

Akordeonus Recordsから先般リリースされた、モーション・トリオによるショパン作品のアコーディオン三重奏編曲集のCDを購入しました。2010年1月のナント、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭でのライヴ録音。ショパンの前奏曲op.28-9を皮切りに夜想曲第20番(遺作)、前奏曲op.28-20、ワルツop.64-2など計9曲がアコーディオン三重奏バージョンに編曲されて演奏されています。

モーション・トリオはポーランドの3人の卓抜したアコーディオン奏者により1996年に結成されたアコーディオン三重奏団で、クラシック音楽のみならずヘヴィーメタルやジャズなど多様な音楽ジャンルを対象に演奏活動を行い、3人のメンバー自身がアコーディオン作品の編曲・作曲もこなしているとのことです。

モーション・トリオは東京のラ・フォル・ジュルネ音楽祭にも参加しており、今年のLFJ東京でも地下展示ホールやミュージックキオスクなどで無料演奏会を行っていましたが、そのうち私が聴いた演奏会ではブラームスのハンガリー舞曲、リストのハンガリー狂詩曲とともにショパンの前奏曲ホ短調が演奏され、ショパン特有のメランコリックなメロディとアコーディオンの響きとの意外な調和が印象的でした。

その時に披露されたホ短調の前奏曲が本CDには収録されていることもあり購入してみました。あらためてアコーディオン演奏によるユニークなショパンの調べに耳を傾けてみたいと思います。

テンシュテット/ロンドン・フィルによるマーラー交響曲第9番


マーラー 交響曲第9番
 テンシュテット/ロンドン・フィル
 EMIクラシックス 1979年 TOCE9669-70
TOCE966970

昨日付のエントリーでクラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるマーラー交響曲第3番1986年ロンドンライヴの新譜を購入したことを書きましたが、それに関連する話題になりますが稀代のマーラー指揮者テンシュテットのマーラー録音としては1977年から1986年にかけてEMIにスタジオ録音したマーラー交響曲全集のほか、今回の新譜も含め、これまで単発的にコンサート録音のライヴ盤がリリースされ続けてきています。

これらのライヴ録音の内訳を具体的に見ますと交響曲第5番~第7番の3曲に関してはEMIから、また交響曲第1番・第2番・第6番・第7番・第8番の5曲に関してはロンドンフィル自主制作レーベルから、いずれもロンドン・フィルを指揮したライヴ盤がリリースされており、また交響曲第4番に関してはドイツのProfilから南西ドイツ放送響を指揮したライヴ盤がリリースされているという状況にあり、これに今回ICAからリリースされた交響曲第3番のライヴ盤が加わるという形になります。

そうすると少なくともマーラーが生前に完成させた9曲の番号付き交響曲のうちテンシュテットのライヴ盤が現在まで未リリースである作品は交響曲第9番のみという状況になりますが、この作品の深度を考えるとテンシュテットのマーラー解釈に対する同調性には格別のものがあると思われるだけに残念なところであり、これは是非とも今後の発掘リリースに期待したいところです。

幸いなことに交響曲第9番に関してはテンシュテットは前述のマーラー交響曲全集の一環として1979年にスタジオ録音を果たしています。この1979年という年に録音されたマーラー9番の演奏としては他にもレナード・バーンスタインがベルリン・フィルを指揮した一期一会ライヴ、クルト・ザンデルリング指揮ベルリン交響楽団、ジェイムズ・レヴァイン指揮フィラデルフィア管弦楽団など非凡な表現力を誇る録音が複数存在していますが、それにしてもこれら一連の録音がたまたま同時期にレコーディングされているという事実はなかなか興味深い偶然のように思えます。

テンシュテット/ロンドン・フィルによるマーラー交響曲第3番の1979年スタジオ録音


マーラー 交響曲第3番
 テンシュテット/ロンドン・フィル
 EMIクラシックス 1979年 TOCE9659-60
TOCE9659-60

前回のブログ更新でクラウス・テンシュテット指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるマーラー交響曲第3番の1986年ロンドンライヴを収録した新譜を購入したことを書きましたが、周知のようにテンシュテットは以前EMIにロンドン・フィルを指揮したマーラー交響曲全集を録音しているため今回の交響曲第3番(昨日のブログエントリ参照)はテンシュテット2度目の同曲リリースになります。

この全集においてマーラーの3番がスタジオ録音されたのは1979年ですが、同じ年にテンシュテットはマーラーの9番のスタジオ録音も果たしており、同指揮者にとってのマーラー録音のキャリア上かなり重要な年であったことが伺われます。

なお、この1979年という年には後世にまで残

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