サヴァール/ル・コンセール・デ・ナシオンによるラモーの管弦楽作品集


ラモー 管弦楽作品集
 サヴァール/ル・コンセール・デ・ナシオン
 アリア・ボックス 2011年 AVSA9882
AVSA9882

アリア・ボックスから先般リリースされた、ジョルディ・サヴァール指揮ル・コンセール・デ・ナシオンの演奏によるラモーの管弦楽作品集のCDを購入しました。「優雅なインドの国々」「ナイス」「ゾロアストル」「ボレアド」の4つの組曲がCD2枚に収録されています。

このコンビの録音としては昨年の秋にリリースの「ルイ15世時代のコンセール・スピリチュエル」が素晴らしい演奏内容でしたが、このコンビならではの極上の響きの肌触りが今回リリースのラモー・アルバムでも聴かれるかどうか、楽しみに聴いてみたいと思います。

ジュリーニ/ベルリン・フィルによるハイドン交響曲第94番「驚愕」&マーラー交響曲第1番「巨人」


ハイドン 交響曲第94番「驚愕」
&マーラー 交響曲第1番「巨人」
 ジュリーニ/ベルリン・フィル
 テスタメント 1976年ライヴ JSBT28462  
JSBT28462

英テスタメントから先般リリースされた、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるハイドンの交響曲第94番「驚愕」とマーラーの交響曲第1番「巨人」を収録したCDを購入しました。いずれも1976年のベルリン、フィルハーモニーでのライヴ録り。

70年代の後半期におけるベルリン・フィル演奏のマーラーのライヴ録音というと直ぐさま思い浮かぶのがレナード・バーンスタインとの有名な一期一会ライヴですが、ここでは名匠ジュリーニがベルリン・フィルを相手にどのようなマーラーを披歴しているか興味深く、じっくり聴いてみたいと思います。

コンドラシン/南西ドイツ放送交響楽団によるマーラー交響曲第6番「悲劇的」


マーラー 交響曲第6番「悲劇的」
 コンドラシン/南西ドイツ放送交響楽団
 ヘンスラー 1981年ライヴ 94217
94217

独ヘンスラーから先般リリースされた、キリル・コンドラシン指揮バーデンバーデン・フライブルク南西ドイツ放送交響楽団の演奏によるマーラー交響曲第6番「悲劇的」のCDを購入しました。1981年1月バーデン=バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオでのライヴ収録。

コンドラシンは周知のように1981年3月にアムステルダムの演奏会でマーラーの交響曲第1番を指揮した直後に心臓発作で世を去ることになりましたが、本CDに収録されている演奏は同年1月の奇しくも同じマーラーのライヴということで、これは心して聴いてみたいと思います。

バイエルン国立歌劇場の来日公演・ワーグナー「ローエングリン」(9/25 NHKホール)


9/25 NHKホール
バイエルン国立歌劇場・来日公演

ワーグナー「ローエングリン」

2011-9-25a

指揮:ケント・ナガノ
演出:リチャード・ジョーンズ

ローエングリン:ヨハン・ボータ
エルザ:エミリー・マギー
テルラムント:エフゲニー・ニキーチン
オルトルート:ワルトラウト・マイヤー
ハインリッヒ王:クリスティン・ジークムントソン

なお本来ローエングリン役はヨナス・カウフマンが予定されていましたが先月末に降板がアナウンスされヨハン・ボータに変更となりました。

今日の公演では終幕の後かなりのブーイングがホール内を飛び交っていましたが、その主たる矛先は恐らく演出かと思われました。

その演出ですが、ちょうど先週に観たボローニャのカルメン演出と同様こちらも相当ぶっとんだ読み換えで、ミュンヘンでの2009年プレミエ時には客席から怒号が飛び交ったという話ですが、なるほどこれは評判どおり賛否両論どころの騒ぎではないなという感じでした。

この演出を私自身はどう感じたかといえば、観ている時は取り立てて肯定も否定もせず、いわば終始つき放した感じで眺めていたというのが正直なところですが、観終わって改めて振り返るに、やはりこれは所謂「優れた演出」とは少し違うのではないかという疑問を抱きました。

歌唱陣を含めた演奏全体に関しては、決して悪くはないけれども圧倒的に素晴らしいというほどでもなかったというのが率直な印象でした。確かに「ローエングリン」の持つ音楽自体の醍醐味は実直に伝わってきたものの、それでも全体としては正直こんなものかなという食い足りなさも感じてしまいましたが、これはワーグナーの本家バイエルン歌劇場の舞台ということで、むしろ事前の期待値が高過ぎたのかもしれません。

いずれにしても感想は後日に。

2011-9-25b
開演前の様子。珍しくも最初から幕が開いた状態でした。

ヒューブル&ウェイツによるシュニトケのヴァイオリン・ソナタ全集


シュニトケ ヴァイオリン・ソナタ全集
 ヒューブル(vn)、ウェイツ(pf)
 ナクソス 2009年 8570978
8570978

ナクソスから先般リリースされた、キャロリン・ヒューブルのヴァイオリンとマーク・ウェイツのピアノによるシュニトケのヴァイオリン・ソナタ全集のCDを購入しました。番号付きのヴァイオリン・ソナタ第1番~第3番、それにシュニトケが学生時代の1955年に作曲し死後に発見された番号なしソナタ作品の計4曲が収録されています。

いわゆる現代作曲家の中でもシュニトケは個人的に特に好きな作曲家ですので、その稀少なヴァイオリン・ソナタ全集の新譜ということで購入してみました。アメリカの女流ヴァイオリニスト、キャロリン・ヒューブルは17歳でデトロイト響と共演するなど充実したキャリアの持ち主とのことで、ひとつじっくり聴いてみたいと思います。

コリン・デイヴィス/コヴェントガーデン王立歌劇場管によるヴェルディ歌劇「トロヴァトーレ」全曲


ヴェルディ 歌劇「トロヴァトーレ」全曲
 C・デイヴィス/コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
 フィリップス 1980年 PRCP-1390/1
PRCP-13901

来月に新国立劇場で上演されるヴェルディの歌劇「トロヴァトーレ」を観に行く予定ですが、その前に歌詞対訳付き全曲盤を一通り聴いておきたいと思い、コリン・デイヴィス指揮コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団の演奏によるCDを聴きました。

デイヴィスの指揮はこのオペラ特有のおどろおどろしい情景描写に対して全体的に音楽表情が静穏的で劇的抑揚力に乏しい感も否めませんが、むしろ各歌唱に対する配慮の効いた管弦楽展開に独特の個性味があり、この指揮者ならではの堅実を尽した音響フォルムをベースに、場面場面での歌唱陣の個性が管弦楽に阻害されることなく、むしろ生き生きとした生命を得て羽ばたいているように感じられるあたり、当時のデイヴィスのロイヤル・オペラ音楽監督としてのキャリアがさりげない形で発揮されているように思えます。

タイトル・ロールのカレーラスは全体的に中・高音とムラの無い端正な歌唱様式と情熱味あふれる持ち前の声質を武器として、特に第3幕のアリア(カヴァティーナ)「ああ愛しき人よ」においてその本領が良く発揮されていますが、この場面ではデイヴィスの管弦楽表現も実に見事なもので、アリアを導入する分散和音のデリケートな和声音彩に始まり、アリア進行に伴い調性が微妙に変化する響きの色合いに対する非常にデリケートなコントロールにより、マンリーコの心象機微の移ろいが手に取るように繊細にトレースされていますし、それがまたカレーラスの甘美な美声を存分に引き立てる結果ともなっています。

レオノーラ役リッチャレッリはその端正なイタリア様式的歌唱と声質上の清廉なリリシズムが役柄に相応しい悲劇のヒロイン的キャラクタにフィットし、特に第4幕フィナーレを通してカタストロフの終幕に突き進む悲壮な表情が極めて痛切に表現されているあたり素晴らしい聴きごたえでした。

ゲルギエフ/マリンスキー歌劇場管弦楽団によるヴェルディの歌劇「運命の力」(初演版)全曲


ヴェルディ 歌劇「運命の力」(初演版)全曲
 ゲルギエフ/マリンスキー歌劇場管弦楽団
 フィリップス 1995年 446951-2
446951-2

昨日のブログ記事においてワレリー・ゲルギエフ指揮マリンスキー劇場管弦楽団の演奏によるドニゼッティの歌劇「ランメルモールのルチア」の新譜を購入しましたことを書きましたが、このコンビが現在までに録音したイタリア・オペラの全曲CDというと私の知る限りではフィリップスから1997年にリリースされたヴェルディの歌劇「運命の力」初演版の全曲盤が唯一のものではないでしょうか。

このゲルギエフ盤の「運命の力」は、このオペラが現在一般に上演される改訂版(1869年ミラノ・スカラ座での初演版)ではなく、1862年にロシア・サンクトペテルブルクのマリンスキー歌劇場で初演された版が採用されていることから、おそらくフィリップスとしても本格的なイタリア・オペラとしてのリリースというよりは「マリンスキー歌劇場ゆかりのオペラ」という位置づけでのリリースだったように思われますが、私は当時そのマリンスキー初演版の存在を全く知らなかったので、まず例の有名な序曲が短い序奏に変わっているのを皮切りに終幕でのアルヴァーロの投身自殺に至るまで、いわゆる慣行版との違いに聴いていて少なからず戸惑うとともに、オケのタフな鳴りっぷりにもロシアオペラのような雰囲気が漲り、ガリーナ・ゴルチャコーワやオリガ・ボロディナといったロシア人の歌手達の織り成すアクの強い歌唱展開も含めて、演奏としては悪くはないけれどちょっとヴェルディとはカラーが違うなと思ったりもしました。

以下はCDから話が少し逸れますが、私はヴェルディの「運命の力」を2000年のリッカルド・ムーティ率いるミラノ・スカラ座の来日公演の時に東京文化会館で観ました。この時の印象は以前にブログで触れたことがありましたが、当該公演での歌唱陣、特にレオノーラ役のマリア・グレギナと、ドン・アルヴァーロ役のサルヴァトーレ・リチートラの歌唱力の素晴らしさは今でも印象深く、その中でも第4幕ラストのカタストロフの中、哀しみにあえぐように「罪あるものだけが、罰を受けることなく生き残るのか」と叫ぶリチートラ迫真の絶唱は11年経った今でも私の耳の奥に刻みこまれています。

そのリチートラが先月に事故死したという報道には随分と驚かされました。かつて彼の歌唱に接しひとかたならぬ感銘を受けた者の一人として慎んで冥福を祈りたいと思います。

ロレール/ル・セルクル・ドゥラルモニーによるベートーヴェンの初期作品集


ベートーヴェン 初期作品集
 ロレール/ル・セルクル・ドゥラルモニー
 Ambroisie 2011年ライヴ AM204
AM-204

Ambroisieから先般リリースされたジェレミー・ロレール指揮ル・セルクル・ドゥラルモニーの演奏によるベートーヴェンの初期作品集のCDを購入しました。2011年2月のリール、オペラ座でのライヴ録音。

収録曲は
①「プロメテウスの創造物」序曲
②歌劇「レオノーレ」よりマルツェリーネのアリア「おお、私があなたと一緒になれたら」
③歌曲「いいえ、心配しないで」WoO92a
④ロマンス第2番
⑤歌曲「ああ、不実なる人よ」op.65
⑥交響曲第1番

②③⑤のソプラノ独唱はアレクサンドラ・コク、④のヴァイオリン独奏はジュリアン・ショヴァンが務めています。

ロレール/ル・セルクル・ドゥラルモニーというと以前にヴァージン・クラシックスからリリースされたモーツァルトの中期交響曲集のCDでのフレッシュな演奏内容が思い出されます。今回はベートーヴェンが1800年を挟んだ10年間の間に作曲した作品が収録されているということで、どのような演奏か楽しみです。

ゲルギエフ/マリンスキー歌劇場管弦楽団によるドニゼッティの歌劇「ランメルモールのルチア」全曲


ドニゼッティ 歌劇「ランメルモールのルチア」全曲
 ゲルギエフ/マリンスキー歌劇場管弦楽団
 Mariinsky 2010年 MAR0512
MAR0512

マリンスキー歌劇場の自主制作レーベルから先般リリースされた、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリンスキー劇場管弦楽団の演奏によるドニゼッティの歌劇「ランメルモールのルチア」のCDを購入しました。2010年9月サンクト・ペテルブルクのマリインスキー・コンサート・ホールでの収録。

ゲルギエフ率いるマリンスキー歌劇場は今年の2月に来日し複数の演目を上演しましたが、そのうち私は「トゥーランドット」を聴きに行き、このコンビがこれまでほとんど録音していなかったイタリア・オペラというジャンルに対する意外な適応力と独自の個性味を印象づけられました。

また本CDでエドガルドを歌っているピョートル・ベチャワに関しては今年6月のMET来日公演「ボエーム」でロドルフォを歌ったのを客席で聴き、その中高音域の美しく逞しい発声に独自の魅力を感じましたし、当代随一のコロラトゥーラ・ソプラノであるナタリー・デセイが歌うルチアも含め、この有名オペラの全曲盤としては久しぶりに強力なCDではないかと思われますが、まずはじっくり聴いてみたいと思います。

クルト・ザンデルリング/シュトゥットガルト放送響によるブルックナー交響曲第7番


ブルックナー 交響曲第7番
 クルト・ザンデルリング/シュトゥットガルト放送交響楽団
 ヘンスラー 1999年ライヴ 93027
93027

ドイツの名指揮者クルト・ザンデルリングが18日にベルリンで死去したとの報道がありました。享年98歳とのことです。謹んで御冥福を祈ります。

ザンデルリングの実演には接する機会が残念ながらありませんでしたが、CDを通して素晴らしい演奏に数多く出会いました。

引き続きボローニャ歌劇場の来日公演・ビゼー「カルメン」(9/16 東京文化会館)の感想


昨日の続きです。演出について。

2011-9-19

この演出ではオペラの舞台が1990年代のカストロ政権下のキューバという設定で、まず第1幕の舞台はハバナ葉巻の工場の前でした。キューバの特産品であるハバナ葉巻は国家にとって貴重な財源なので軍の管轄下にあり、その工場で働く女工の一人がカルメン、その工場を管理する軍人の一人がホセ、という設定。第2幕はキューバのバー「セビリア」、第3幕はキューバの波止場、第4幕はキューバの国技ボクシングのスタジアム前という具合に、それぞれ置き換えられていました。

「カルメン」というと何より濃密なスペイン情緒の充溢するオペラという先入観のある私のような観衆にとって、この大胆な読み換えは確かに斬新というほかなく、その音楽の発散するスペイン情緒が行き場を失ってホール内を彷徨うというのか、正直はじめのうちは違和感ありありという感じでしたが、観ているうちにこれはこれで面白いと思えてきました。いわば音楽自体に内包されているところの汎時代的ないし汎地域的な音楽の魅力なり訴求力のようなものが、なまじ舞台がキューバだけに一層ひきたつように思えてきたからです。

そうだとしても、ここで問題なのが何故あえてキューバなのか、という疑問ですが、プログラムの解説によると、演出家のアンドレイ・ジャガルスが90年代末にキューバを訪れた際の強烈な印象が下敷きにあるということのようです。当時カストロ政権下の社会主義体制にあったキューバの国民は貧困に喘いでおり、彼らはみな自由を強く渇望するという状況下にあったところ、それが自由を渇望するカルメンという女性像と二重写しになり、今回のような演出に繋がった、と述べています。

しかし私には正直あまりピンと来ませんでした。というのも、まずキューバ国民が抑圧を被っている基本的人権レベルの自由ないしは貧困から逃れるという意味での自由と、カルメンの渇望する精神的ないし個人主義的な意味での自由とは性質に少なからず開きがあるように思えたこともありますが、実のところ私は全く別の方向性のものを演出に対し期待していたので、その方面においては結果的に肩透かしだったという印象を抱いてしまったからです。

そもそも私が今回のボローニャの「カルメン」を観に行こうと思ったのは、昨年に読んだ一冊の本がきっかけでした。
「『七人の侍』と現代――黒澤明 再考」(四方田犬彦・著 岩波新書)。黒澤明監督の不朽の名画「七人の侍」に関する著書独自の視点に基づく作品論です。

その本には、21世紀の現在なお「七人の侍」を含む黒澤映画が世界のいたるところで現代的なテーマとして受容されているという興味深い事実が開示されており、その例として意外にも現在のキューバにおいて黒澤映画が広く受容されている、という実態が示されていました。とくに「七人の侍」はキューバ人が最も熱狂し、わがごとのように興奮しながら観ている映画であるが、それは単に国境や民族を超えて理解しうる痛快なアクション映画であるという理由だけでなく、革命を体験したキューバが社会主義国家として長年にわたり超大国アメリカの脅威に晒されてきた特殊事情が厳然とあるからであり、それがあの映画での孤立無援の主人公たちへの共感に繋がっているのだと著者は考察しています。

これを読んだ時に私がふと思ったのは、もし仮に「七人の侍」がオペラ作品であり、その舞台を90年代あたりのキューバに置き換えるような演出がなされたならば、その演出は非常に秀逸なものになるのではないかということでした。少なくとも当時のキューバという国家が特殊的に置かれた抜き差しならない国民の状況が、あの映画作品で描かれている抜き差しならない農民の状況と絶妙な形でシンクロし、その政治的メッセージのもつパワーにより、観衆に与えるインパクトなり訴求力は際立ったものになるだろうことは容易に想像されるからです。そこにもってきて今年のボローニャの日本公演「カルメン」の演出では舞台が何と、その90年代のキューバに置き換えられているということで、これは是非とも観ておきたいと思いました。

結果的には前述のように今一つピンと来なかったというか、いささか安易な読み換えという風に私には移ったというか、もう少しキューバに置き換えた意義を掘り下げても良かったのではないかと思ってしまいましたが、このあたりは原作オペラとの兼ね合いもあるので難しいところでもあり、その意味ではあのあたりがギリギリかなと思いますし、少なくとも演出家自身が狙いとした「この作品は世界中どの歌劇場でも同じような演出で上演されているが、『この演出どこかで観たな』と思われるようなものをまた一つ創るようなことはしたくなかった」(公演プログラムより)という独自の確固たるビジョンに基づき、あそこまで「カルメン」というオペラの舞台を既視感のない形で再創造せしめた演出という点では、やはり一目置かれるべき秀逸な演出だったと感じました。いずれにしろ、これまで私が観た「カルメン」の舞台の中では(都合4回だけですが)抜群に面白く、また、いろいろと考えさせられた演出でした。

ボローニャ歌劇場の来日公演・ビゼー「カルメン」(9/16 東京文化会館)の感想


ボローニャ歌劇場の来日公演・ビゼー「カルメン」(9/16 東京文化会館)の感想です。

2011-9-19

タイトルロールのニーノ・スルグラーゼですが、まずオペラ歌手らしからぬというくらい、ほっそりとスリムな体型が印象的でした。もともとは映画女優だったという経歴のメゾ・ソプラノとのことで、演技力も含めた舞台上の見栄えのする華やかさという点においては圧巻たるものがありましたし、歌唱技術も申し分なく、全幕とも安心してカルメンの歌を聴いていられる安定感も揺るぎないものでした。

反面、体型が細いせいか否か声量的には際立ったような印象ではなく、聴かせどころでのボリューム感が伸び切らないあたりが残念でしたし、いわゆる「ファム・ファタル」のイメージに関しても、スルグラーゼの演じるカルメンは爽やかで開放的すぎるキャラクタとして感じられてしまうため、男を地獄に引き摺り込む内面的な凄味のようなものは今一つ希薄だったような気もしました。少なくとも声量の豊かさやファム・ファタル的イメージに関しては昨年の新国立劇場でカルメンを演じたキルスティン・シャベスの方が良く出ていた感もありましたが、前述のようにスルグラーゼのカルメン像にも個性的な魅力が多く、舞台美術の美しさと相まって、まるで映画の一場面かと観ていて惹き込まれるような瞬間も多々ありました。

ドン・ホセ役マルセロ・アルバレスはヨナス・カウフマンの代役登板でしたが、間違いなく当夜の最高殊勲歌手でした。艶やかな美声から繰り出される歌心に満ちたアリアは全幕を通して一様に素晴らしく、とくに第2幕の「花の歌」は歌い終わるや盛大な拍手とブラボーが客席から暫く止みませんでしたし、少なくとも私が昨年に同じホールで聴いたトリノ王立歌劇場「ボエーム」の時のロドルフォよりも更に歌唱表現力ならびに高音域の表出力に磨きがかかったかとも感じられました。単に歌唱が優れているのみならず、このキャラクタの溢れるような情熱や抑えがたい衝動といった生々しい感情もリアルに抉り出されていて観ていて圧倒されんばかりでしたし、とにかく進境著しいテノールですので、今後の一層の活躍にも大いに期待したいところです。

エスカミーリョ役カイル・ケテルセンはドタキャンしたパウロ・ショットの代役で、練習不足だったのかもしれませんが、ぎこちない歌唱に伸びない声量と、正直あまりパッとしませんでした。ミカエラ役ヴァレンティーナ・コッラデッティは同じくドタキャンのアレッサンドラ・マリアネッリの代役でしたが、体型的にスルグラーゼとは対照的な太めのソプラノで、バランス的にどうなんだろうと観ていて思いましたが、歌唱はしっかりしていましたし、少なくとも代役の重責を果たすという点では十分な内容でした。

ミケーレ・マリオッティ指揮によるオーケストラの演奏は、全体的に管楽器の音程が甘かったりと、この前のMETの精緻なアンサンブル展開とは良くも悪くも性質の異なるものでしたが、プログラムに書かれていた、アンサンブルにおける弱音の表出力を重視したいという指揮者の方針のとおり、弱音だからといってサラッと流すような場面は皆無で、全幕を通し音楽の緊張感を途切れさせず、表情のメリハリ豊かな演奏を最後まで貫徹した点には率直に傾聴させられました。

演出に関してはいろいろと思うところがあるので後日に。

東京交響楽団の定期演奏会(9/17 サントリーホール)


9/17 サントリーホール
東京交響楽団 定期演奏会

2011-09-17

指揮:大友 直人
チェロ:宮田 大

演目:
 シューマン チェロ協奏曲
 ブラームス ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編曲版)

久しぶりに仕事の帰りにサントリーホールに寄りました。仕事といっても前日オペラを観に行くため早めに切り上げたぶんの埋め合わせ出勤なんですけどね、、、いやはや、大震災の発生から3ヶ月ほどは仕事が目に見えて減っていたので、いつか反動が来るだろうと覚悟していたところが、案の定7月以降めっきり忙しくなりました。

本当のところ、私としては休日にコンサートに出撃するよりは仕事の帰りにホールに立ち寄って聴く方がよっぽど好きなんですが、最近は残業つづきで開演時間どころか終演時間にも間に合わないので、平日のコンサートは当分のあいだ断念せざるを得ません。せっかくのコンサートシーズンというのに残念です。

閑話休題。オーケストラの配置は第1ヴァイオリンとヴィオラとを対向させた型、編成は前半のシューマンが12型で後半のブラームス(シェーンベルク編)が16型でした。

前半のシューマン・チェロ協奏曲は2009年のロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人初の優勝を果たした宮田大をソリストに据えての演奏。この曲、実演で聴くのは初めてでしたが、正直ずいぶん地味な曲だなと思いました。CDだとフルニエの演奏などが思い浮かびますが、録音の場合どうしても独奏チェロの旋律線が過分に強調されがちになるので、そのぶん華やかにも聴こえるんですが、実演で聴くと独奏チェロの担っている内省的な音楽の味わいが、それこそ否応なしに印象づけられるので、聴いているうちに地味が滋味に転化し、いつしかシューマン最晩年の音楽の箴言が沁み入ってくるという感じでしょうか。

その意味では、CDより実演で聴く方が向いている曲なのかもしれないと、ふと思いました。独奏チェロに関しては流石としか言いようがありませんでしたが、オケは全体的に鳴りが悪いなと感じました。シューマンなので仕方ないのかもという気も。むしろソロにピタリと付けていく伴奏力が見事でした。そういえば大友/東響は昨年のラファウ・ブレハッチ来日演奏会でもコンチェルトの伴奏を務めていましたが、あの時もソロに付けるのが巧いなと聴いていて感心したことを思い出しました。

前半のブラームス・ピアノ四重奏曲第1番のシェーンベルク編曲版ですが、この作品をシェーンベルク自身はブラームスの5番めの交響曲だと言って自画自賛したという話ですが、私の印象だと、この作品に聴かれるオーケストレーションの華やかな色彩感は明らかにブラームスのそれとは異質なので、ブラームスの交響曲として聴くのにはちょっと抵抗を感じてしまうんですが、そのあたり当夜の演奏はどういうアプローチで来るかと思っていたところ、大友は指揮棒を持たずに東響を精緻にコントロールし、ドイツ・ロマン派としての重厚なブラームスの音楽の様相を強調してかかるというよりは、むしろ弦をスリムに絞りつつ、たとえ音符が密集する段においてもアンサンブルの見晴らしを犠牲にすることなく、いわばシェーンベルクのオーケストレーションの内奥を聴衆に丁寧に解きほぐすというような行き方を披歴したように感じられました。

したがってシェーンベルクが言ったようなブラームスの5番めの交響曲として聴くことを期待していた向きには弦を中核とする重厚な迫力に少し不満を覚えたのではないかとも思われましたが、少なくとも私には大友/東響としての独自の見識を踏まえた方向性における規範的な演奏内容と思えましたし、その意味では私にとって今後この作品をCDなり実演で聴く際の一つの規範ともなり得るような見事な演奏でした。

当夜の公演は18時に始まり終演時刻が19時40分と少し早めでしたが、ホールを出るとカラヤン広場にアークヒルズ恒例の秋祭りの祭囃子が盛大に鳴り響いていたので、しばしの間ぼんやり聴いていました。いまだ厳しい残暑が続くとはいえ、やはり秋は来ています。

ボローニャ歌劇場の来日公演・ビゼー歌劇「カルメン」(9/16 東京文化会館)


9/16 東京文化会館
ボローニャ歌劇場・来日公演

ビゼー「カルメン」

2011-09-16a

指揮:ミケーレ・マリオッティ
演出:アンドレイ・ジャガルス

カルメン:ニーノ・スルグラーゼ
ドン・ホセ:マルセロ・アルバレス
エスカミーリョ:カイル・ケテルセン
ミカエラ:ヴァレンティーナ・コッラデッティ

なお、本来ドン・ホセはヨナス・カウフマン、エスカミーリョはパウロ・ショット、ミカエラはアレッサンドラ・マリアネッリが予定されていましたが、いずれも上記のように変更となりました。

カウフマンの降板は先月末、ショットとマリアネッリの降板は先週、それぞれ劇場側から発表されました。どうなることやらと思いましたが、結果的にはマルセロ・アルバレスの熱唱で何とか格好がついたような感じでした。

話題の演出ですが、評判どおり相当ぶっとんだ読み替えでした。その斬新な発想それ自体は観ていて率直に面白いと思いましたが、敢えて「カルメン」の舞台を某国に置き換えた、その積極的な演出上の意義(を私としては期待していた)が最後まで不明確だった点は、いささか肩透かしでした。そのあたりの感想はまた後日に。

2011-09-16b
開演前の様子。緞帳には某国の国旗が、、

ロンドン・ハイドン四重奏団によるハイドンの太陽四重奏曲集


ハイドン 弦楽四重奏曲集・作品20「太陽四重奏曲集」
 ロンドン・ハイドン四重奏団
 ハイペリオン 2010年 CDA67877
CDA67877

英ハイペリオンから先般リリースされた、ロンドン・ハイドン四重奏団の演奏によるハイドンの弦楽四重奏曲集・作品20のCDを購入しました。「太陽四重奏曲集」の愛称で知られる、ハイドンの作品20の弦楽四重奏曲第31番~36番の6曲がCD2枚に収録されています。2010年ロンドンのオール・セインツ教会でのセッションによる録音。

ガット弦とバロック弓を用いるカルテット団体として知られるロンドン・ハイドン四重奏団は、ハイドンの四重奏曲集の録音として既にハイペリオンから作品9と作品17をリリースしていますが、ほぼ2年間隔のリリース頻度となっているので、かなりゆっくりとしたペースでハイドンの四重奏曲集の録音を進めているようです。

今回リリースの四重奏曲集作品20はハイドンのシュトゥルム・ウント・ドラング期における傑作として名高く、後のベートーヴェンの音楽にも多大な影響を与えたとされている作品だけに、どのような演奏が聴けるか楽しみです。

山田一雄/新日本フィルによるマーラー交響曲第9番


マーラー 交響曲第9番
 山田一雄/新日本フィル
 フォンテック 1986年ライヴ FOCD9525
FOCD-9525

フォンテックから先般リリースされた、山田一雄の指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏によるマーラー交響曲第9番のCDを購入しました。1986年6月の東京文化会館での演奏会のライヴ。

ヤマカズの愛称で親しまれている巨匠・山田一雄の最晩年におけるライヴ録音としては、一昨年にリリースされた札幌交響楽団とのベートーヴェン交響曲全集(厳密には第1交響曲を除く8曲)における完熟の演奏内容が記憶に新しく、今回のマーラーも楽しみです。

カラヤン/ベルリン・フィルによるワーグナー歌劇「ローエングリン」全曲


ワーグナー 歌劇「ローエングリン」全曲
 カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 EMIクラシックス 1975・76・81年 TOCE6366-69
TOCE6366-69

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるワーグナー歌劇「ローエングリン」のCDを聴きました。今月のバイエルン国立歌劇場の来日公演でワーグナーの「ローエングリン」が上演されるのを聴きに行く予定なので、その前に対訳付き全曲盤で一通りさらっておこうと思ったからです。

このカラヤン/ベルリン・フィルの「ローエングリン」全曲盤は周知のように1976年ザルツブルグ・イースター音楽祭での同じコンビによる「ローエングリン」の上演と連動したレコーディングとなっていますが、タイトルロールのルネ・コロとカラヤンとがローエングリンのアリアの解釈をめぐって衝突したため両者の共演が決裂するとともにレコーディングが頓挫し、カラヤンの「幻のローエングリン録音」となっていたところ、80年代になって両者の和解により、ようやく世に出ることになったという経緯があります。この決裂の際にコロが「現在ドイツ語圏でローエングリンを歌えるヘルデン・テノールは5人あまりを数えるに過ぎないが、それを指揮する指揮者は5000人もいる」と誇らしげに語ったというエピソードはあまりにも有名です。

このカラヤンの「ローエングリン」は稀代のオペラ指揮者カラヤンと稀代のヘルデン・テノールであるコロとの妥協を排したレコーディング・スタンスに裏打ちされた、管弦楽演奏と歌唱力の比類無いほどの充実感が素晴らしく、カラヤンの一連のワーグナー録音の中でも屈指のものではないかと思います。オケの演奏は一貫して美的な響きを保ちながら時として壮麗重厚、時として精密精緻であり、第3幕への前奏曲などにおけるフォルテでの絢爛を極める壮大な音響、第1幕への前奏曲などにおけるピアニッシモでの室内楽的に繊細な響きなど、場面場面でのダイナミクスの切り分けが実に見事ですし、タイトルロールのルネ・コロとエルザ役トモワ・シントウを中心とする贅を尽くした歌唱陣のアンサンブルも、また絢爛たる歌いっぷりを披歴し、全編に漲るオペラ演奏としての求心力には驚くべきものを感じます。

今年のバイエルン国立歌劇場の来日公演「ローエングリン」は往年のルネ・コロにも比肩するといわれるドラマティック・ソプラノ、ヨナス・カウフマンがタイトルロールに予定されていましたが、残念ながら先月末に喉の疾患によるキャンセルが発表されました。代役はヨハン・ボータとのこと。いい舞台を期待したいと思います。

バーデン市劇場の来日公演・ビゼー歌劇「カルメン」(川口リリアホール 9/10)の感想


先日(9/10)の川口リリアホール、バーデン市劇場の来日公演・ビゼー歌劇「カルメン」の感想です。

2011-09-10b

舞台を観た印象を一言で言うと良くも悪くも「慎ましい舞台」。まずオケの編成ですが休憩時にピットを覗いてみたところ、弦の奏者がヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・コンバス全部ふくめて10人程度という規模。当然その響きは一貫して薄め、必然フォルテッシモの迫力もさほどに伸びず、このオペラ特有の甘美なメロディラインの濃密な味わいという点もやはり厳しいという状況でした。

歌手に関しては歌唱技術的には充分でしたが押し並べて歌唱線が細く、高声に強さがなく、とくにカルメン役のロシア人メゾ・ソプラノであるソコロヴァはホールを制圧するような強力な歌唱には程遠く、なんとも慎ましい歌唱に終始しました。演出も、いかにも常套的でした。

これだけ書くと、いかにも物足りない、残念な舞台だったように取られるかもしれませんが、私は意外と新鮮な気持ちで、その歌と音楽を最後まで面白く聴きました。

というのも、これほど慎ましいオペラ公演の舞台というのが私には却って新鮮だったからです。「カルメン」は去年、新国立劇場で観ましたが、言うまでもなく今回のバーデンの「カルメン」とは雰囲気が大きく異なっていましたし、全体的に良くも悪くも抑制が効いているがゆえ、これみよがしに声を張り上げたり大音響をかましたり、という効果狙い型の舞台とは一味ちがった趣き、いわば抑制の効いた舞台だからこその、室内楽的なムードが醸し出す、秘めやかな音楽の味わいのようなものが、聴いているうちにジワジワとその独特の趣きを主張し始めました。

もちろん「カルメン」というオペラには、それこそ湧き立つような情熱の沸騰とか、むせ返るように濃密なメロディの訴えかけ、あるいは管弦楽のダイナミクスにおける強烈な起伏力などが大きくものをいう場面が多いのも事実。その観点においては正直はなはだ物足りない舞台であったことも、また否定できないと思います。

しかし視点を切り替え、前述のような独特ともいうべき音楽の慎ましさがもたらす美質に着眼する限りにおいて、意外にユニークな趣きの充溢する舞台と私には感じられました。来年は「トスカ」だそうですが、また行ってみようかと思っています。

N響の定期演奏会(9/11 NHKホール)


9/11 NHKホール
NHK交響楽団 定期演奏会

2011-9-11

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ヴァイオリニスト:竹澤恭子

演目:
シベリウス ヴァイオリン協奏曲
ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」

シベコンのヴァイオリニストとして当初予定されていたレオニダス・カヴァコスは健康上の理由により来日が不可能となったとのことです。竹澤恭子が代役を務めました。

その竹澤恭子のシベリウスも良かったですが、後半のドヴォルザークがひときわ見事でした。

チェロを第1ヴァイオリンの隣に配した16型の対向配置。ブロムシュテットは作品を十分に知悉していると見え、譜面台を置かずに暗譜で指揮しましたが、整然として折り目ただしいアンサンブル運用を基本としながら、カッチリとした構成感と、堅固な構築力の漲る、それこそドイツ音楽のような厳しさを湛えた造型展開の確立ぶりが際立つと同時に、このような構築的な行き方であるのにもかかわらず、作品に内蔵されている旋律や和声の魅力が自律的に浮き上がってくるような豊かな音楽の表情がコンスタントに付帯し、このあたりの練達ともいうべき知情意のバランスには聴いていて率直に驚きの念を抱きました。

その意味で、これはブロムシュテットならではの作品に対する独自の見識が最後まで貫かれた演奏ではないかと思われましたが、その練達のタクトにN響も非常に燃焼力のあるアンサンブル展開で最後まで応えていて、とくに終楽章の金管パートの織りなす胸のすくような強奏展開においてはN響のオケとしてのハイ・ポテンシャルな側面をあらためて認識させられました。

いわゆる名曲といえど、やはり名匠が振ると一味ちがう、というところでしょうか。素晴らしいドヴォルザークでした。

バーデン市劇場の来日公演・ビゼー歌劇「カルメン」(川口リリアホール 9/10)


9/10 川口総合文化センター・リリアホール 
ビューネ・バーデン市劇場来日公演

ビゼー 歌劇「カルメン」

2011-09-10a

指揮:クリスティアン・ポラック
演奏:モーツァルティアーデ管弦楽団
演出:ルチア・メシュヴィッツ

カルメン:マイラム・ソコロヴァ
ドン・ホセ:オイジェネ・アメスマン
エスカミーリョ:アドリアン・マルカン
ミカエラ:ニコラ・プルォック-マルティニック

ホールに行ってみるとメインキャストが事前発表の歌手から大幅に変更になっていました。いやはや、、

ビューネ・バーデン市劇場は今年を含めて16年連続で来日してオペラの引っ越し公演を行っているウィーン近郊の老舗オペラハウスですが、その舞台を観るのは実は今回が初めてでした。あの大震災の後、METに続いて2番めに日本を訪れたオペラハウスですので、どんな舞台か興味を抱いて観に行きました。

その舞台を観た印象を一言で言うと、良くも悪くも「慎ましい舞台」。感想は後日に。

ちなみに「カルメン」はボローニャ歌劇場の来日公演のチケットも取っているんですけど、外題役カルメン以外のメインキャスト(ホセ、ミカエラ、エスカミーリョ)が軒なみキャンセルという事態に、、どうなりますことやら、、、

あと来月のバイエルン国立歌劇場の来日公演「ローエングリン」のチケットも取っているんですけど、こちらはこちらで外題役ローエングリンのテノールがキャンセルという事態に、、、どうなりますことやら、、、

アレグリーニとアバド/モーツァルト管弦楽団の演奏によるモーツァルトのホルン協奏曲集


モーツァルト ホルン協奏曲(全曲)
 アレグリーニ(hr) アバド/モーツァルト管弦楽団
 グラモフォン 2005~07年ライヴ 4778083
4778083

独グラモフォンから先般リリースされた、アレッシオ・アレグリーニのホルン独奏とクラウディオ・アバド指揮モーツァルト管弦楽団によるモーツァルトのホルン協奏曲第1番~第4番のCDを購入しました。

モーツァルト管弦楽団は周知のように2004年にアバドにより設立されたボローニャを本拠とする若手奏者限定のオーケストラですが、以前アルヒーフにモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集をジュリアーノ・カルミニョーラとの共演でレコーディングしていました。そのヴァイオリン協奏曲全集は非常に素晴らしい演奏内容でしたが、今回のリリースはホルンの世界的名手として知られるアレグリーニとの共演によるホルン協奏曲集ということで、どんな演奏が展開されるか興味津々です。

ベレゾフスキー、マフチン、クニャーゼフのトリオによるラフマニノフとショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲集


ラフマニノフ ピアノ三重奏曲第2番
&ショスタコーヴィチ ピアノ三重奏曲第2番
 ベレゾフスキー(pf)、マフチン(vn)、クニャーゼフ(vc)
 ワーナー 2004年 WPCS22198
WPCS22198

ワーナーミュージックジャパンより先般リリースされた、ボリス・ベレゾフスキーのピアノとドミトリー・マフチンのヴァイオリンとアレクサンドル・クニャーゼフのチェロ、以上3人のトリオによるラフマニノフとショスタコーヴィチのピアノ三重奏曲第2番のCDを購入しました。先月に「ワーナークラシック NEXT BEST 100」シリーズとして再発された廉価盤です。

ここで演奏している3人の奏者のうちベレゾフスキーとマフチンは今年のラ・フォル・ジュルネ、またクニャーゼフは今年2月のフェドセーエフ/東京フィルのコンサートと各個に実演に接し、それぞれの演奏から少なからぬ感銘を受けたアーティストですので、彼らの共演盤ということで購入してみました。いずれ劣らぬ辣腕の3人からどのようなアンサンブルが展開されるか非常に楽しみです。

スクロヴァチェフスキ/読売日本交響楽団によるブラームス交響曲第4番


ブラームス 交響曲第4番、ハイドン主題変奏曲
 スクロヴァチェフスキ/読売日本交響楽団
 DENON 2009年ライヴ COGQ56
COGQ56

DENONから先般リリースされた、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮、読売日本交響楽団の演奏によるブラームス交響曲第4番のCDを購入しました。2009年3月の東京芸術劇場でのライヴ録音。余白に収録されているハイドン主題変奏曲は2009年3月のサントリーホールでのライヴ録音。

このコンビによるブラームスのCDリリースは久しぶりですが、ミスターSならではの主観的な構成から展開される稠密なブラームスの世界に、じっくり耳を傾けてみたいと思います。

ゲルギエフ/ロンドン交響楽団によるマーラー交響曲第9番


マーラー 交響曲第9番
 ゲルギエフ/ロンドン交響楽団
 LSO-Live 2011年ライヴ LSO0668
LSO0668

英LSO-Liveから先般リリースされた、ワレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団の演奏によるマーラー交響曲第9番のCDを購入しました。2011年3月ロンドンのバービカン・ホールでのコンサートのライヴ録音。

ゲルギエフ率いるロンドン交響楽団は昨年の秋の来日公演でマーラーの交響曲を披露しました。私は交響曲第9番をサントリーホールに聴きに行きましたが、そこで披歴されたマーラー演奏を聴いて深い感銘を受けました。

本CDに収録されているのは私が聴いた実演から3ヶ月後のライヴですが、じっくりと聴いてみたいと思います。

マッケラス/フィルハーモニア管によるチャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」のCD感想


チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」
&メンデルスゾーン 「真夏の夜の夢」序曲
 マッケラス/フィルハーモニア管弦楽団
 シグナム・クラシックス 2009年ライヴ SIGCD253
SIGCD253

英シグナム・クラシックスから先般リリースされた、チャールズ・マッケラス指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏によるチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」のCDを聴きました。2009年2月のロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴで、ディスクの余白には同日に演奏されたメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」序曲が収録されています。

周知のようにマッケラスは昨年7月に癌により死去されました。これまでレコーディングを豊富に残しているので私もCDを通して数々の名演奏に巡り合いましたが、ほとんど来日がなかったこともあり、その実演に接する機会はありませんでした。

ここでの「悲愴」ですが、さすがに百戦錬磨の名匠の指揮にふさわしく、揺るぎない音楽造形の構築ぶりが見事ですし、全体的にテンポの引き延ばしやルパートといった芝居がかった表現を厳しく慎み、スコアの指示を忠実に守りつつ、アンサンブルを厳しく走らせ、この指揮者ならではの堅実な構成力が隅々まで張り巡らされている点に傾聴させられました。

それゆえ情感的には全体にサラッとした表現であり、ロシア本場の濃厚なテイストをチャイコフスキーに求める聴き手には向かない演奏かもしれないという気はします。

しかし、この演奏でのアンサンブルの贅肉感の希薄さはただごとではなく、ことにフォルテッシモでオーケストラが醸し出すキリリと引き締まった雄大な音響的パースペクティヴには純音楽的な演奏ならではの凄味が醸し出されていて感銘深く、このあたり最晩年のマッケラスの職人的な指揮の醍醐味の一端を垣間見るような印象を感じました。

アルミンク/新日本フィルの演奏会(9/3 すみだトリフォニーホール)


9/3 すみだトリフォニーホール
新日本フィル 演奏会

2011-9-3-2
          (開演前の様子)

指揮:クリスティアン・アルミンク
ピアノ:清水和音

演目:
ブラームス ピアノ協奏曲第1番
ブラームス 交響曲第3番
アンコール:
ブラームス セレナード第2番より第2楽章

アルミンク/新日本フィルの演奏会を聴くのは今年3度目ですが、その中でも今回のオールブラームスは最も感銘深いものでした。

新日本フィルの新シーズン開幕公演ということでオケに十分気が入っていた、あるいはウィーン出身のアルミンクのブラームスへの共感の強さが表現の根底にあったのかもしれませんが、いずれにせよ久々に耳にした、味わい豊かなブラームスでした。

ラトル/ベルリン・フィルによるシェーンベルクの管弦楽作品集


シェーンベルク 管弦楽作品集
 ラトル/ベルリン・フィル
 EMI 2009年ライヴ 4578152
4578152

EMIから先般リリースされた、サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるシェーンベルクの管弦楽作品集のCDを購入しました。2009年10月と11月、ベルリン・フィルハーモニーでのコンサートのライヴ録音。収録曲はブラームス作曲シェーンベルク編曲のピアノ四重奏曲第1番とシェーンベルク作曲の「映画の一場面への伴奏音楽」&室内交響曲第1番の管弦楽版(op.9b)。

バーミンガム時代からシェーンベルクの音楽に強い共感を示していたラトルだけに、今回の満を持しての?ベルリン・フィルとのシェーンベルク作品集、じっくり聴いてみたいと思います。

ゲルギエフ/ウィーン・フィルの「シェーンブルン・サマーナイト・コンサート2011」


「シェーンブルン・サマーナイト・コンサート2011」
 B.シュミット(vn) ゲルギエフ/ウィーン・フィル
 グラモフォン 2011年ライヴ 4764211
4764211

独グラモフォンから先般リリースされた、ワレリー・ゲルギエフ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による2011年のシェーンブルン・サマーナイト・コンサートをライヴ収録したCDを購入しました。2011年6月2日のシェーンブルン・バロック宮殿の庭園でのコンサートのライヴ録音。

収録曲は①リストの交響詩「前奏曲」②パガニーニ(クライスラー編)ヴァイオリン協奏曲第1番から第1楽章③シベリウス「クレオマ」から「鶴のいる風景」④ムソルグスキー(ラヴェル編)組曲「展覧会の絵」、それにアンコールとして演奏されたJ.シュトラウス2世のポルカ「ドナウの岸辺より」。 ②のヴァイオリン独奏者はベンヤミン・シュミット。

最近CDリリースが少なくなったウィーン・フィル久々の新譜、ゲルギエフとの共演も久々ですし、どのような演奏が聴けるか楽しみです。

クライツベルク/モンテカルロ・フィルによるストラヴィンスキーのバレエ音楽集


ストラヴィンスキー バレエ音楽集
 クライツベルク/モンテカルロ・フィル
 OPMC 2010年 OPMC001
OPMC001

OPMCレーベルから先般リリースされた、ヤコフ・クライツベルク指揮モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるストラヴィンスキーのバレエ音楽のCDを購入しました。「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」「プルチネルラ」の4曲がCD3枚に収録されています。クライツベルクは周知のように今年の3月に享年51歳で急逝しましたが、その追悼盤としてのリリースのようです。

クライツベルクというと私には2002年のチェコ・フィル来日公演(すみだトリフォニーホール)で聴いたドヴォルザークの交響曲第8番と「新世界より」の演奏が思い出されます。

2002-12-2

老舗チェコ・フィルを相手にしながら気後れも気負いも感じさせない堂々とした指揮ぶりが印象に残っており、おそらく将来的に大いに活躍するであろう若手指揮者と感じましたし、その後ペンタトーンに録音を進めていたオランダ・フィルとのドヴォルザークの交響曲チクルスも軒並み充実した内容で、そのうち交響曲第8番のCDは出色の演奏内容として強く印象に残っています。

今回リリースのクライツベルクの追悼盤、襟を正して聴いてみたいと思います。

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