フルトヴェングラーRIASレコーディングス(ベートーヴェン「英雄」52年ライヴ)
ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
フルトヴェングラー/ベルリン・フィル
アウディーテ 1952年ライヴ AU21403

先般購入した「フルトヴェングラー・コンプリートRIASレコーディングス」に関して、今回は9枚目のCDに収録されている、1952年12月8日のベートーヴェン交響曲第3番「英雄」のライヴ演奏につき音質を比べてみました。
音質の比較盤ですが、以下のターラ盤になります。

ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
フルトヴェングラー/ベルリン・フィル
ターラ 1952年ライヴ FURT2002-2004
このターラ盤と今回リリースのアウディーテ盤とで聴き比べてみたのですが、これがかなり微妙で、一概にどちらが上とは決めかねるくらいでした。
まず、双方ともおそらく同一のマスターテープからの復刻ではないかと思うのですが、両レーベルにおけるリマスタリングのポリシーにおいてかなり明確な違いが出ています。
アウディーテ盤は、ノイズリダクションを積極的に行い、聴き易さを追及すると同時に、リマスタリングに伴うソノリティの実在的感触の目減りをギリギリまで抑制したような印象があり、演奏の臨場的迫力が素晴らしいレベルであると同時に、アンサンブルの克明な浮き出しぶり、つまり情報量という点でも驚異的な水準にあります。
対してターラ盤はというと、アウディーテ盤とは逆に、ノイズリダクションを出来るだけ行わず、聴き易さよりもソノリティ自体の実在感を最大限に尊重したような方向性が感じられ、それだけに、こと情報量という観点ではやや遜色するかわりに、こと演奏自体の純粋な音響的迫力においては圧倒的なものが感じられます。
私が聴いて、より直観的に興奮させられるのはターラ盤の方です。まず第1楽章冒頭の例の強和音のところからして、ターラ盤の方がアウディーテ盤よりも明らかに高迫力にしてマッシブな感触に満ちていて、続く主題部での低弦のリアルな感触、高弦の艶なども、やはりターラ盤の方が音楽としての生々しさ、実在感に一歩優位するように思われます。
しかし、前述のように、このアウディーテ盤の音質水準もあまりにも高くて、そういう聴いていて興奮するかとかいう視点より、もしかすると、このアウディーテ盤の方が、このフルトヴェングラーの「英雄」の真の姿ではないのかと、そんな気がしてしまいます。
総じてアウディーテ盤の方が音響的な臨場感がひとまわり豊かで、聴いていてライヴであるという実感が、ターラ盤よりも強く湧いてくる感じがしますし、ノイズレベルの低く、克明感の高いソノリティによるトータルな演奏の迫力において驚異的な水準にあると思います。
そういうわけで、このクラスになるともう、一概にどちらが上とか言うのはおそらく無理なような気もします。
それにしても、このフルトヴェングラー/ベルリン・フィルの52年ライヴの「英雄」は、ひとむかし前まで全く冴えない音質だったのですが、それがこれほどにまで改善されるとは!
フルトヴェングラーの録音は、演奏は最高だけど音質がひどくて、、という時代はもう過去のものになりつつあるのかも知れないですね。
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