プレヴィン/ウィーン・フィルによるハイドンの交響曲集


ハイドン 交響曲第92番「オックスフォード」、第96番「奇跡」、第102番、第104番「ロンドン」
 プレヴィン/ウィーン・フィル
 フィリップス・タワーレコード 1992年・93年 PROC-1013/4
PROC-10134

先月タワーレコードより復刻リリースされた、アンドレ・プレヴィンがウィーン・フィルを指揮して録音したハイドン後期交響曲集を聴いてみました。

「オックスフォード」と「奇跡」は92年、102番と「ロンドン」は93年にそれぞれ録音されていますが、ウィーン・フィルがデジタルでハイドンの交響曲を録音したものは、他にはあるのかどうか、ちょっと思いつきません。事によると、ここでのプレヴィンの4曲だけかも知れないですね。

それにしても、この一連のハイドンは美しい。弦といい管といい、昨年ウィーン・フィル来日公演の折にサントリーホールで聴いたハイドン(67番)での演奏の美しさが、聴いていて間接的に脳裏によみがえってくるような、そんな気がしました。

ここでのプレヴィンの指揮は、一聴するとウィーン・フィルに下駄を預けているようで、実はそうではなく、全体のフォルムの設計が実にきめ細やかに為されていることが、その曇りのない芳醇なハーモニーの組み上げからはっきりと感じ取れます。

4曲とも、大袈裟な表現とは無縁の端正なフォルムで、むしろ都会的なスマートさを匂わせる音楽の運びでありながら、そこにウィーン・フィルならではの典雅なエレガンシーを浸みこませたようなアンサンブルの響き具合が素晴らしく、聴いていて陶然とさせられる局面に事欠かない、美演です。

オックスフォードの第2楽章でいうなら、(3:07)からのト短調のフォルテ楽節こそ今一つの彫りや厳しさに欠けるとしても、(5:41)あたりからコーダまでの1分半の時間はまさに夢の一時であり、これを耳にして、やはりウィーン・フィルというのはいいなと、今更ながらに実感する思いでした。

ハイドンのロンドン・セットについては最近、ドラティとフィルハーモニア・フンガリカの全集の録音を聴きましたが、それはシンフォニックな迫力の充溢する本格派スタイルでの名演でした。ただ、美演という言葉が聴いていて頭に浮かぶような演奏ではありませんでした。対して、ここでのプレヴィン/ウィーン・フィルのハイドンは、美演という言葉が聴いていてスッと頭に浮かぶような、そんな演奏ですね。

Powered by FC2 Blog
Copyright © クラシックCD感想メモ All Rights Reserved.