ドライヴァーとブラビンズ/BBCスコティッシュ響によるボーウェンのピアノ協奏曲集


ボーウェン ピアノ協奏曲第3番・第4番
 ドライヴァー(pf)ブラビンズ/BBCスコティッシュ交響楽団
 ハイペリオン 2007年 CDA67659

ハイペリオンの看板シリーズにもなっている「ロマンティック・ピアノ・コンチェルト・シリーズ」の最新盤で、イギリスの作曲家ヨーク・ボーウェンのピアノ・コンチェルト作品が2曲収録されたディスクがリリースされました。このうちピアノ協奏曲第4番は本CDが世界初録音とのことです。

ちなみにヨーク・ボーウェンはピアニストとしても名声を馳せていて、1925年にスタンリー・チャップル指揮エオリアン管とベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番の世界初録音を成し遂げています。

そのボーウェンのピアノ協奏曲第3番は1907年作曲、第4番は1929年作曲の作品ですが、一聴して顕著なのはラフマニノフとの音楽の関連性で、そのピアノ協奏曲と雰囲気がかなり似ています。

第3番は「幻想曲」と題された単一楽章の作品で、規模も小さく、全体で18分に満たないのに対し、第4番は3楽章の本格的なコンチェルトで、演奏時間も42分。両曲に共通するのは、音楽がとにかくロマンティクな点で、その点においては、確かにラフマニノフ作品を継承した特徴が強く出ていて、「イギリスのラフマニノフ」という異名もうなずけます。

とりわけ第4協奏曲の第1楽章冒頭の出だしは、ラフマニノフのかのピアノ協奏曲第2番冒頭にそっくり。管弦楽弱奏を背景にピアノが鐘の音のような和音を静かに刻んで始まり、(2:15)からのチェロの主題もこの上もなくロマンティックなもので、やはりラフマニノフ的です。

両曲ともに、作曲年代を考えるといわゆる前衛精神が決定的に欠如している点は明らかで、おそらくそのあたりが評価の分かれ目になっている感がありますが、音楽自体の魅力としてはほぼラフマニノフに比肩するものがあり、実に甘美な楽想に満ちたコンチェルトです。

ピアノ・ソロを務めているダニー・ドライヴァーは初めて聞くピアニストで、このハイペリオンのRPCシリーズにもこれが初登場。作品の要求する高度なテクニックを完璧にクリアする、腕の立つ若手ピアニスト、という印象です。このRPCシリーズは、これまでアムラン、ドノホー、オズボーンなどの一級の名ピアニストが顔を揃えていますが、今回登場のドライヴァーも彼らに比肩するほどの逸材かもしれないですね。

ミュラー=ショットとヒューイットによるベートーヴェンのチェロ・ソナタ第1番~第3番


ベートーヴェン チェロ・ソナタ第1番~第3番
 ミュラー=ショット(vc)、ヒューイット(pf)
 ハイペリオン 2008年 CDA67633
CDA67633

ダニエル・ミュラー=ショットは最近リリースのクライツベルク/バイエルン放送響と組んでのショスタコのコンチェルト集で聴いたのが初めてでしたが、その見事な演奏が印象に残っていたところ続いてベートーヴェンのチェロ・ソナタ集のCDがリリースされたので購入してみました。

相方はなんとアンジェラ・ヒューイット。バッハ作品を中心にファースト・ステージとしてのキャリアを形成し、現在はセカンド・ステージとしてベートーヴェンに取り組んでいるようで、おそらくこのチェロ・ソナタ全集もその一環という位置づけと思われます。

演奏内容は率直に言って素晴らしく、ベートーヴェンのソナタでこんなに聴き応えのある演奏は久しぶりでした。

ミュラー=ショットのチェロに関してはショスタコのコンチェルト集の感想のところで「圧倒的なテクニックの冴えをそのまま表出力に転化させる術を熟知しているアーティスト」と書きましたが、それは本演奏にも当てはまるものです。切れ味抜群のボウイングから繰り出される鋭敏にして集中度の高い表現に魅了されるうえチェロの音色の立ち具合も絶妙。そして、この音色面の精彩に関しては前回聴いたショスタコのコンチェルト集でのそれをかなり上回っている感じがします。レーベルが違うせいかもしれない(ショスタコのコンチェルト集はオルフェオ)ですが、こちらのハイペリオンの録音の方がチェロの音色の音立ちがひとまわり良く、それに起因して音色自体の深みも良く伝わってくる。ズシリとした感触の、濃厚な響きで、1727年製マッテオ・ゴッフリラーという名器が実にいい音を奏でていて聴き惚れてしまうほど。

ヒューイットのピアノに関しては一連のバッハ作品のレコーディングで確立したと思われる自己の確固たる流儀におおむね則ったもので、強弱緩急の振幅をそれほど強調しないかわりに一音一音のアーティキュレーションに対し細やかな表情付けが丁寧に付帯されていて音色の冴えも相変わらず良好。こちらもチェロ同様、音色自体にも独特の魅力があります。楽器はヒューイット愛用の銘器ファツィオーリ。

もっとも両者のスタイルとして、ミュラー=ショットはすこぶるダイナミックにして闊達な弾き回しなのに対し、逆にヒューイットの方は全体にダイナミクスが抑制されているため、アンサンブルとしてはどうしてもチェロ上位のバランスになり勝ちで、ピアノが一歩退いた感じの表情に聞こえる局面もあるようです。従ってピアノとチェロが火花を散らすような演奏という感じではなく、主役はチェロで、ピアノが名脇役という印象。とはいえそれは妥協の産物という感じでもなく、聴いていて両奏者のアーティストとしてのパーソナリティからすると必然的にそうなるというような説得力が感じられます。

フルトヴェングラー/ベルリン・フィルによるティタニア・パラストのブラ4のMYTHOS復刻盤


ブラームス 交響曲第4番
 フルトヴェングラー/ベルリン・フィル
 MYTHOS 1948年ライブ MPCD1002

おとといのベルリン・フィルの来日コンサートは、とりわけ後半のブラームスの4番が良かったと昨日書きましたが、それでは、CDで聴けるベルリン・フィルによるブラームスの4番の最高の名演は?と仮に聞かれたら、現在のところ、まず思い浮かぶのがこのフルトヴェングラーのティタニア・パラストでのライヴ録音です。

もっとも、この演奏自体が凄いのは今さら分かり切った話で、このCDの最大の特徴はその音質にあります。

このCD、音質が圧倒的にいいです。これまで、このEMI原盤によるフルトヴェングラーのブラ4の演奏は、その演奏内容の破格ぶりに反し、音質が大きなネックになっていて、本家EMI盤は言うに及ばす、例えばグランドスラム盤のような、高音質をウリにする復刻レーベルのCDですら意外に冴えない音質で、そのネックを解消するには到らずという感じでした。

そのネックを一気に解消したのがこのMYTHOS盤です。実際、これをEMIクラシックスのブライトクランクステレオ方式・HS-2088リマスタリング盤(TOCE-3294)と聴き比べてみると、もう段違いというほかなく、それほどこのMYTHOS盤の音質の実在感は突出しています。

そして何より嬉しいのが、この稀代の超名演を、ハイ・ボリュームで堪能できること。実際このMYTHOS盤の音質はハイ・ボリュームに完全に耐えうるもので、それに伴い演奏の凄みも格段に増しますね。第1楽章コーダの壮絶度など、これ以上のものはちょっと考えられないくらいです。

ベルリン・フィル来日公演の感想記


昨日のコンサートの感想です。

印象としては、前半の3番はまずまずの名演、後半の4番はそれよりも上の水準の名演と感じました。ただ、昨日書いたように、聴く前からちょっと舞い上がってて、CDで聴く時などよりもちょっと冷静じゃなかったかもしれないですが。

ちなみに、昨日「最高の席」などと書きましたが、これはあくまで私の主観的好みですので。基本的に、大音響が好きなので、席はなるべく前の方がいいんですが、そうかと言って前過ぎると、眼前の楽器の音色が他よりも浮き上がってしまって、バランスが悪くなる。だから、経験則上、1階中央の前から5、6席あたりが私にとってのベスト・ポジションになります。

演奏ですが、アンサンブル展開において端的に魅了させられたのは弦楽器の発する音色の見事な強度感と、管楽器の技巧の呆れるほどの巧さです。弦においては必ずしも重厚という風でなく、バスなども殊更に強調されたりはしませんでしたが、ヴァイオリンパートを中心とする高弦の表出力が圧倒的で、音楽にすこぶる鋭い痛切味が付帯されていて、そのあたり聴いていて感じ入りました。管においては、弦に対するバランスとしてはいくぶん抑制の利いた音量で、それほど突出感はなかったですが、この音量でよくこれほどと思えるほどに、切れ味するどい吹き回しの技巧と、そこから繰り出される鮮やかな音色の冴えが素晴らしく、このあたりにも聴いていて率直に圧倒されました。

アンサンブルのコンディションという点では明らかに後半の4番の方が良くて、第1楽章のコーダや終楽章の後半の変奏部など、まさに熾烈を極めた迫真の響きがホールに満ち、いずれも聴いていて息が止まりそうになるくらいのインパクトがありました。

ただ、それでもベルリン・フィルとしてはおそらくベスト・コンディションではなかったような印象も受けました。アンサンブルがそれほどビシッと揃っていない感じがしたので。今回のベルリン・フィルの東京公演は結構ハードで、3夜連続の公演のうえ、3夜すべて演目が異なり、しかもシンフォニーが6曲ですから、かなりハードですね。そのあたりの影響がおそらくあったと思うんですが、、、

ラトルの指揮に関しては正直不満が残りました。彼ならもっと強烈な演奏をやれるように思うので。今回のコンサートは、ベルリン・フィルの凄味は充分に堪能しましたが、ラトルその人の凄味はとなると、かなり疑問が残るものでした。

例えばラトルのバーミンガム市立響とのマーラーやショスタコの録音の中には聴いていて世界がひっくり返るか、というくらいの凄絶な演奏がありますから、それをベルリン・フィルで聴けないものかと、つい思ってしまうんです。

確かにベルリンフィルのアンサンブルからあれほどの凄味のある響きを抽出する音楽監督としての統率手腕はさすがと思わされましたが、造型としてはテンポ的にもバランス的にもオーソドックスに近く、そこにラトルならではという強烈な色は希薄だったように思われます。

以上がおおまかな感想ですが、個人的に今回のコンサートでの大きな収穫は、ホールのベスト・ポジションでベルリン・フィルを聴いた時にどういう感じに聞こえるかが感得できたことです。例えば、自宅でCDを聴く時などにも参考になりますから。もちろん、演奏も良かったです。

ベルリン・フィル来日公演


今日はサントリーホールでベルリン・フィルの来日公演を聴いてきました。曲目はブラームスの3番と4番、指揮者はサイモン・ラトル。

感想は後日書きますが、今日はそれ以外の余談を少し。

今日も例によって飛び込みで、会社を6時45分に出て、ホールに6時50分に到着。チケットは当然ながら完売ですが、当日キャンセルは必ず出るはず、という読みのもとにチケット売り場へ行くと、案の定、当日キャンセルのチケットが売られていました。ただ、残りわずか3席、、、ギリギリセーフですね。

そしたら、その3つの残席のひとつに、なんと一階正面5列目の席が! 音響的にこのホール最高の位置の席です。なぜに、こんな席が最後まで残って、、、?

2008-11-26

もちろん、迷わずそれを購入しました。まさかこんな凄い席でベルリン・フィルの演奏を聴けるなんて、、、ということで、聴く前からちょっと舞い上がってしまいました。残り物には福があるものですね。

また、ホールで以下のCDが売られていたので、購入しました。

“BERLINER PHILHARMONIKER - IM TAKT DER ZEIT”

これはベルリン・フィル創立125周年記念BOXで、CD12枚組のセットです。値段は1万円ジャスト。CD1枚当たり800円ちょっとと激安ですし、ひょっとしたらこのホールでの限定販売かも知れないかと思って、とりあえず購入してみました。

ただ、帰宅してネットで調べてみたら、別に限定販売ではなくて、輸入盤ショップでも普通に売っているみたいですね。というより、ちょうど今回のベルリン・フィル来日に合わせてリリースが始まったようです。来日記念BOXという位置づけでしょうか。

CDはまだ聴いていませんが、1913年録音のパルジファルとか、フルトヴェングラー指揮の戦時録音とか、ザンデルリンク指揮のショスタコの15番とか、アーノンクール指揮のバッハ・コンサートとか、けっこう凄い内容で楽しみです。聴いた感想をいずれ本ブログに出そうと思います。

K.ザンデルリンク/BBCノーザン響によるマーラー交響曲第4番


マーラー 交響曲第4番
&モーツァルト 「ドン・ジョヴァンニ」序曲
 K.ザンデルリンク/BBCノーザン交響楽団、ロット(sop)
 BBC-Legends 1978年 BBCL4248

BBCレジェンドの新譜です。昨日のリヒターのヴェルレクほどではないですが、クルト・ザンデルリンクによるマーラーの4番というのもかなり意外ですね。

ザンデルリンクのマーラーというと、これまで9番とクック補筆の10番、それに「大地の歌」を加えた3曲のみが録音されていたはずですが、8番以下の作品の録音としてはこれが初めてでしょう。そのあたりの興味から購入してみたんですが、ただ、購入時にはてっきりBBC放送用のライヴ音源による演奏と思っていたところ、実際はマンチェスターのBBCスタジオでのスタジオ録りでした。

演奏内容は、率直に言うといまひとつインパクト不足という印象が最後まで拭えませんでした。ザンデルリンクのマーラーということで、先入観として構えの大きな、巨匠風の演奏を思い浮かべていたんですが、そういうイメージはこの演奏には希薄です。テンポはオーソドックスで、むしろ平均よりやや速め。それでも全体にザンデルリンクらしい緻密なアンサンブルの練り上げは顕著で、ハーモニーの内部まで日が差し込むようなパースペクティブの良好性が、堅固な造型バランスのもたらす音楽としての格調と結託し、それが一定の聴き映えをもたらしています。その意味では名演としても、ザンデルリンクとしての個性感の刻印の度合が弱いのが不満で、前述のテンポ取りの他にも音響的な強度感、フレージングの表情、音色の濃さなど、全体的に無難というか手堅いというか、どうも聴いていて表出力が振るわないというか。BBCノーザン響の響きも全体に地味で、色彩の立ち具合が大人しいですね。

さらに言うと、このマーラーの4番が、78年にスタジオ録りされていながら、今年まで日の目を見なかった理由は、もしかするとザンデルリンク本人が承認しなかったからではないかなと、この演奏を聴いていて思ったりもしました。それはあくまで憶測で、逆にディストリビューター側の事情かもしれないですが。

ちなみに、このマーラーの4番がリリースされる少し前に、ザンデルリンクとベルリン響のベートーヴェン「第9」の87年ライヴがリリースされたんですが、そちらは圧倒的な名演で、同じ「第9」でも、ザンデルリンクが81年にフィルハーモニア管と録音したスタジオ盤とは、表出力がケタ違いでした。そして、今回リリースのマーラーには、どちらかというと、そのフィルハーモニア管とのベートーヴェン「第9」と同じような、ショーウィンドウ的な雰囲気が強かったように思います。

そういうわけで、正直ちょっと期待外れでしたが、それはこちらの主観的な期待度がいささか高すぎたせいでもあり、演奏そのものは客観的には悪くない水準だと思います。フェリシティ・ロットの若き日のみずみずしい歌唱も含めて。

リヒター/ミュンヘン・フィルによるヴェルディのレクイエム


ヴェルディ レクイエム
 リヒター/ミュンヘン・フィル
 アルトゥス 1969年ライヴ ALT156/7

先月リリースされたディスクですが、これは驚きました。カール・リヒターのヴェル・レク。

バッハのスペシャリストによる、ロマン派作品の稀少な録音ですが、リヒターのロマン派ものとしては、かつてベルリン放送響とのブルックナーの4番がリリースされたこともありました。しかしこのヴェル・レクはさすがにそれ以上の驚きで、おそらくリヒター指揮の演奏としては、ドイツ作品以外ではこれが唯一ではないでしょうか。

ライナーノートによると、この音源の提供元はリヒターの子息にしてラインドイツ・オペラ総監督のトビアス・リヒター氏とされます。収録されている演奏はミュンヘンのドイツ博物館コングレスザールでのコンサートにおけるライヴですが、録音自体は商用目的ではなかったらしく、当時のミュンヘン・バッハ管の楽団員の一人による私的録音が本CDの音源として使われているとのことです。

ただし録音機材は商用ベースのものが使われたと言われ、実際その音質もかなりしっかりしてます。ダイナミックレンジが多少せまく、アナログノイズのレベルも高めですが、ステレオ感はかなり良好で、音像も鮮明で臨場感に富み、商用のものと比してもほとんど遜色を感じません。

とはいえこのリヒターのヴェル・レク、録音自体は極めて貴重で資料的価値も高いものの、演奏そのものに関しては、聴く前は正直それほど期待していませんでした。以前のベルリン放送響とのブルックナーの4番があまりパッとしなかったからで、やはりバッハのスペシャリストにロマン派作品は合わないのではないか、という先入観が拭えなかったためです。しかし、いざ聴いてみると、これが見事な名演だったので、二重の意味で驚かされました。

全体にブルックナーの時と同様、かなり禁欲的なスタイルに則していますが、アンサンブルの充実感がはるかにいい。リヒター最晩年期の77年録音のブルックナーと違い、こちらは充実期における録音で、しかもオケもリヒターの手兵ミュンヘン・バッハ管と親戚関係ともいうべき名門ミュンヘン・フィル。その差が端的に出ているようです。

演奏様式は、完全なドイツ様式とでもいうべきか、イン・テンポ中心の粛々とした進め方で、トッティにおいても決してアンサンブルを絶叫させず、むしろ祈りのような透明感と厳かな高揚感が印象付けられます。ディエス・イレなど、冒頭からかなりスローな固定テンポをテコでも動かさず、打楽器の強打リズムを硬質的に打ち鳴らし、まるでドイツ系統のシンフォニーの出だしのような音楽の威容が素晴らしい。

非絶叫型のスタイルゆえに、歌手の歌唱も含めてダイナミクスそのものは抑制がかっていて、局所的なインパクトも弱いですが、この演奏ではその徹底ぶりがハンパでなく、それが得難い表出力に転嫁されていて傾聴させられます。完全に「リヒターのヴェル・レク」で、演奏に際してのリヒターの確固たるヴィジョンが聴いていて良く伝わってくる演奏です。

バーメルト/ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズによるレオポルド・モーツァルトの交響曲作品集


レオポルド・モーツァルト 交響曲作品集
 バーメルト/ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
 シャンドス 2007年 CHAN10496

ひさびさに新譜CDの感想記です。シャンドスにより続けられている「モーツァルトと同世代の作曲家シリーズ」の一枚で、アマデウスの父レオポルドの交響曲作品を収録したアルバムが今月リリースされました。

収録曲は①交響曲ハ長調(C1)②交響曲ニ長調(D17)③交響曲ハ長調(D1)④交響曲ト長調(G14)⑤交響曲(パルティータ)ハ長調(C4)⑥交響曲ニ長調(D25)。以上6曲すべて、本ディスクが世界初録音とされます。

レオポルド・モーツァルトの作品集で構成されるアルバム自体はこれまでも多分あったと思うんですが、それらには「おもちゃの交響曲」とか、新ランバッハ交響曲などの、ある程度の知名度のある作品も含まれていたはずで、このシャンドスのアルバムのように、これまで一度も録音されていないマイナーな作品で構成されたディスクはおそらく初めてでしょう。こういう意欲性はこのシリーズのひとつのウリですね。

ひととおり聴いてみた感想ですが、やはり音楽としての並はずれた創造性とか、時代を画するようなインパクトなどとはおおむね無縁な、貴族趣味的な嗜好の強い音楽という感じで、何がしかの深みを伴うような余韻もさほど強くないです。とはいえ、その親しみ易い楽想は聴いていて実直に愉悦的ですし、18世紀後半のヨーロッパという時代の空気が屈託なく反映されたような、開放的なムードにも魅力があります。演奏の良さもあり、音楽としては十分に楽しめるアルバムです。

アマデウスとの関連という点では、聴いた印象として、ここでの一連のレオポルドの交響曲は、アマデウスの初期の交響曲群に雰囲気的に近い感じがします。アマデウスが初めて交響曲を書いたのは1764年と言われますが、このディスクに収録されているレオポルド作品の作曲時期とだいたい一致するので、おそらく何らかの影響をアマデウスに与えたと考えるのが自然でしょう。また、作曲家としての、レオポルドの終点とアマデウスの始点がだいたい同じ地点であることも伺われます。

ちなみに⑥の交響曲ニ長調(D25)は1771年に作曲されたレオポルドの絶筆で、この作品を最後に作曲活動から足を洗い、以後アマデウスの音楽教育とプロモーションに専念することになります。

スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレによるモーツァルトの歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」全曲



モーツァルト 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」全曲
 スウィトナー/ベルリン・シュターツカペレ
 DENON 1969年 90C37-7181-83

これは先日、神田の中古CD店で購入したものです。モーツァルトの「コシ」には正直それほど馴染みも思い入れもないんですが、値段の安さにつられて、購入してしまった。3枚組で歌詞対訳つきで1500円。盤質も問題なし。

ひと通り聴いてみた感想ですが、率直に言えばシナリオはちょっとアレだが音楽はやはりいい、というものです。まあ、月並みな感想ですが。

音質は年代を考えると非常に良く、下手なデジタル録音より音響的な臨場性に富んでいます。ただ、ヴォルーム・レベルがやや低めに録られているため、通常より2・3割高めの音量で聴くとちょうどいいようですね。

スウィトナーの指揮はおおむね正攻法の格調高いもので、弦は堅実かつ克明にフレーズを刻み、それに管パートの素朴にして柔らかい音色が味わいを添えます。誇張感を抑えた誠実な運用であって、歌唱とのアンサンブルにおいてもハーモニーのパースペクティブがすこぶる良好で、オペラ演奏としてのナチュラルな愉悦感が聴いていて直截に伝わってきます。

ただ場面によっては正調に過ぎるというか、表情の誇張感に乏しく、シナリオのマンガ的性質?からすると、何となく真面目過ぎるような違和感を若干感じたのも事実で、あまり思い入れのないオペラだけに、何らかのスパイスがもう一味欲しい感なきにしもあらず。

歌唱陣については、それぞれの歌唱を単独で考える分にはいずれも非常に立派で申し分ないと思いますが、性格対比という面でちょっとひっかかるものが。具体的にはフィオルディリージ役カーサピエトラとドラベラ役ブルマイスターの配役がそうで、両者の歌唱を比べるとブルマイスターの方がカーサピエトラよりひとまわり貞淑な感じですが、性格的にはフィオルディリージの方がドラベラよりも貞淑のはず(台本上ドラベラは第2幕5場で早々と「陥落」するのに対し、フィオルディリージは第2幕12場でようやく陥落する)で、そのあたりの対比がちょっと曖昧かなと。

フェルランド役シュライアー、グリエルモ役ライプ、アルフォンソ役アダムはそれぞれ歌唱も上手いし芸達者ぶりも上々。しかし芸達者という点でピカイチなのはむしろデスピーナ役ゲスティで、第1幕終盤での医者に化けてラテン語もどきをまくしたてるあたりとか、第2幕終盤で今度は公証人に化けて契約書を早口でまくしたてるあたりとか、いずれも聴いていて思わず吹き出してしまうほど面白いですね。


マルティノン/フランス国立放送局管によるフローラン・シュミットとイベールとオネゲルの管弦楽作品集


フローラン・シュミット 組曲「サロメの悲劇」&イベール 交響組曲「寄港地」&オネゲル 管弦楽作品集
 マルティノン/フランス国立放送局管弦楽団
 EMIクラシックス 1971年頃(オネゲル)、74年(イベール)、72年(シュミット) TOCE-8205

フランスの名匠ジャン・マルティノンが晩年に音楽監督を務めたフランス国立放送局管と録音したフランス作品集です。オネゲルは「パシフィック231」「夏の牧歌」「ラグビー」の3作品が収録されています。

全体的にマルティノンらしい音楽の味の濃さとエスプリの効いた表情を備えた名演だと思います。ベストはフローラン・シュミットの「サロメの悲劇」で、第2部の「稲妻の踊り」から「恐怖の踊り」にかけての演奏がものすごい。

黙劇のシナリオでいうと、ヨハネの首が落とされてからサロメの絶命までのシーンで、ヨハネの血で海が赤く染まるとか、舞台の上が無数のヨハネの首で埋め尽くされるとか、かなり血なま臭くて壮絶なものですが、それに匹敵するほど演奏も壮絶で素晴らしい。オーケストラのコンディションとしては、おそらく同じオーケストラで最晩年に録音した、サン=サーンスの「オルガン付き」に聴かれる圧倒的なまでの管弦楽的充実感に近い水準で、舞台の異常な雰囲気が聴いていて良く伝わってくる感じがしますし、その場面に到るまでの、第1部の前奏曲と「真珠の踊り」の方も濃密なアンサンブルのタッチが緊張した情景のムードを表現主義的な凄味とともに描いていて見事です。

オネゲルの3曲も「サロメの悲劇」と同格の名演でしょう。イベールの「寄港地」は少し落ちるように感じます。シュミットやオネゲルと比べて演奏としての強烈度が落ちるし、この曲の一般的な演奏スタイルとしても、いまひとつ表情の変化や陰影に乏しいとも思えます。マルティノンのイベールというと50年代にパリ音楽院管弦楽団と録音したフレンチ・アルバムに含まれる「ディベルティスマン」の名演が思い浮かびますが、「寄港地」もこの時期に録音していたら、また違った結果になっていたような気がします。

クーン/マルキジャーナ・フィルによるマーラー交響曲第9番


マーラー 交響曲第9番
 クーン/マルキジャーナ・フィル
 エームス・クラシックス 2004年ライブ OC345

グスタフ・クーンの演奏に初めて接したのはコル・レーニョに録音した一連のベートーヴェンの交響曲の演奏でしたが、これがいずれも名演だったので、クーンの他の録音についても興味が向きました。

しかし、調べてみるとほとんどがオペラもので、交響曲の録音はたった一点しかリリースされていないようです。それがこのマーラーの9番で、オーケストラも初めて聞く名前です。クーンが音楽監督を務めているイタリアのオーケストラとのことで、イタリアのオケによるマーラーというのも、このディスクで初めて聞くような気がします。

その演奏ですが、名演であることは確かだと思います。クーンの指揮の力点がハーモニクスの明晰な描出にあることは聞いていて明らかで、どんなに最強奏でもソノリティの透き通るような見通しの良さが持続し、どんなに最弱奏でも響きがキリッとした生彩を失わない。加えて局部的なインパクトも十分にあり、第1楽章の(4:33)あたりのチェロの生々しい律動感や(18:42)のティンパニの激烈、その直前のトロンボーンの凄まじい慟哭感など、いずれもまさに音楽が音楽として語りかける響きの強さを感じさせるものです。完成度も高く、終演後の拍手で、これがライブ録音と分かりますが、それが無ければスタジオ録音と勘違いするほど。

難点と思われるところは、アンサンブルの質感と全奏での凝縮力で、全体に響きがやや軽めの印象であるのに加えて、ここぞという時にいまひとつのパワフルさが欲しい場面もいくつか。音色も全体に晴れやかというか明るい色彩で、イタリアのオーケストラの特性を感じさせるものですが、それが局面によっては裏目に出ることもあるようで、昨日のミネソタ管ほどではないにしろ、聴き終えて余韻がいまひとつ薄いような印象も残りました。

スクロヴァチェフスキー/ミネソタ管によるブルックナー交響曲第9番


ブルックナー 交響曲第9番 
 スクロヴァチェフスキー/ミネソタ管弦楽団
 レファレンス 1996年 RR81

このブルックナーは、ちょっと期待はずれでした。

スクロヴァチェフスキーの指揮自体は、至極見事なもので、その精緻なアンサンブル運用は音楽の輪郭を鮮やかに描きながらも、どんな強奏時においてもハーモニーが澄んだ美しさを保持し、透明感抜群。それでいて響きの力感も高く、迫力的にも十分なものがあり、ミネソタ管のアンサンブルも、ことに金管パートを中心に呆れるほど上手い。

それにも関わらず、演奏から受ける感銘の度合いという点では、意外に振るわないというのが率直なところです。その理由は、ひとつには音質、ひとつにはオーケストラ自体の音色の特性にあるように思われます。

音質ですが、オーディオ・ファンに人気の高いレーベルだけあって、確かに高音質といえば高音質。音響の抜けの良さといい、解像度の高さといい、今日のSACD仕様にも比肩するようなレベルで、その点は凄いんですが、そういう音質面の特性がいささか強調され過ぎているのか、この音質には聴いていてどうも違和感を感じます。音響自体が人工的に過ぎるというか、まず残響感が極端に抑えられているうえ、音響の分離も良過ぎて音色の相互の溶け合いの妙味がほとんど聴かれない、かなりドライなソノリティという印象を受け、率直にいうと深みに欠けます。

オーケストラの音色の特性という点でも同様にいまひとつ深みを感じにくいですね。技術的には上手いし、とにかく良く鳴りますが、それが時にあっけらかんと響き、音楽を軽からしめている感じがします。そもそもアメリカのオーケストラによるブルックナーの録音には、聴いていて良いと思うものが非常に少ないので、このスクロヴァチェフスキー盤には期待したんですが、やはり、、というところです。

クライツベルク/オランダ・フィルによるドヴォルザークの交響曲第8番と交響詩集


ドヴォルザーク 交響曲第8番、「野ばと」、「真昼の魔女」
 クライツベルク/オランダ・フィルハーモニー管弦楽団
 ペンタトーン・クラシックス 2006年 PTC5186065
PTC5186065

ヤコフ・クライツベルクによるドヴォルザークというと思い出されるのが、2002年のチェコ・フィル来日公演の時にすみだトリフォニーで聴いた実演です。老舗チェコ・フィルを相手にしながら気後れも気負いも感じさせない堂々とした指揮ぶりが印象に残っています。

このCDの演奏はクライツベルクが音楽監督を務めるオランダ・フィルを指揮してのものです。やはりいいです。堂々たる名演。第8シンフォニー第1楽章から弦、木管ともに音色の色合いの立ち具合がパリッとしていて、ハーモニーが実にみずみずしい。強奏時における若武者のような切れ味のアンサンブル・ドライブも素晴らしく、トッティの充実感も抜群、ことに(6:18)からの強奏展開の痛切感が非常にいい。

第2・第3楽章の味の濃い音楽の流れも見事なもので、ロマンティックな造形とリアルな響きが、絶妙に拮抗した音楽の表情が秀逸。オランダ・フィルの演奏水準も素晴らしく、各ソロのフレーズの切れ、音色のコク、ソノリティの質の高さ、いずれも感服してしまいます。

終楽章も素晴らしく、聴いていると前述のコンサートで聴いた時の感興が蘇ってくるようです。SACDハイブリッド仕様ですが実演のような臨場感のある音質。

「野ばと」では(14:35)あたりの悲劇的色彩の強烈感に圧倒させられますし、「真昼の魔女」の方では(8:30)からのくだりの音響的緊張感が尋常でないと思います。

ヴァント/バイエルン放送響によるブルックナー交響曲第8番


ブルックナー 交響曲第8番
 ヴァント/バイエルン放送交響楽団
 The Bells of Saint Florian 録音年不詳 AB-6-7

このCDも最近、中古店で入手したものです。おそらくプライベート盤と思われますが、音質は正規盤並みにいいですし、演奏も非常にいいですね。

ギュンター・ヴァント指揮のブル8の録音は、2008年現在で、正規盤だけでもケルン・ギュルツェニヒ管、ケルン放送響、北ドイツ放送響(2種)、ベルリン・フィル、ミュンヘン・フィルとの演奏が残されていますが、このバイエルン放送響との録音は、それらの一連の演奏と比べるとやや毛色が違う感じがします。

全体的にオーケストラの気迫のこもったソノリティの感触により打ち出される、熱演的手応えに満ちた演奏で、ヴァントの晩年から最晩年の時期のブルックナーのような、霊妙にして深い響きの立ち込めるような雰囲気とはかなり違いますが、名器バイエルン放送響のポテンシャルを十全に活かしたような、そのアンサンブル展開の充実感に思わず聞き惚れてしまう演奏です。

第1楽章から音楽の進行に伴い、緩急のメリハリや濃淡の対照の強さが比較的くっきりと打ち出された熱演という印象が強く、ヴァントの他の同曲のディスクにはない、一発勝負的なスリル感が充溢する内容というべきでしょうか。ここではトランペットの絶好調ぶりが印象的で、(14:37)あたりなど、実にいいですね。

第2楽章はヴァントの指揮にしてはちょっと落ち着かない感じもあるものの、内燃的な迫力感が素晴らしい。第3楽章は、最もヴァントの演奏らしさが伺われる名演。例えば(11:31)の強奏展開など、練れ切ったソノリティの充実感が凄いし、(18:10)からの強奏展開は、先ほどとは対照的なまでに絶叫を抑えたソフトな佇まい。このあたりの音響構築の緻密ぶりと多彩ぶりには目を見張らされます。

終楽章はかなり力のこもった熱演。弦パートの充実感が素晴らしい。(6:45)あたりなど、震撼的で、全体にバイエルン放送響の底力がヴァントの並外れた統制力と結託し、アンサンブル展開は充実を極め、得難いまでの感興がコーダまで一貫します。

G.アルブレヒト/ハンブルク州立フィルによるブラームス交響曲全集


ブラームス 交響曲全集
 G.アルブレヒト/ハンブルク州立フィル
 ハンブルク州立歌劇場自主制作盤 1987~97年ライブ BR0497/1-4

先日、中古店で入手したものです。ゲルト・アルブレヒトが音楽監督を務めたハンブルク州立フィルを指揮してのブラームス交響曲全集で、すべてハンブルク・ムジークハレでのライブ録音です。

録音年に少し開きがあり、第1番が87年、第2番が97年、第3番が94年と97年、第4番が88年の録音。そして、この録音年の開きに照応するように、演奏内容としても4曲においてそれなりにムラがあるように感じます。

全体的に名演だと思いますが、その中でも87年に録音された第1番の演奏内容が突出的にいいですね。これはアルブレヒトがハンブルク州立フィルの音楽監督に就任する一年前の録音とされますが、その演奏内容は圧倒的です。

第1楽章冒頭からの異様なまでに切迫した激烈な強奏といい、主部を経て展開部から再現部へ到るまでの激流のような音楽の流れといい、この演奏は作曲者の心情をそのまま表しているとさえ思えるような、強力な説得力に満ちていて、息を呑む思いで聴き入ってしまいます。中間2楽章の詩情も素晴らしく、まさにブラームスゆかりの都市ハンブルクの伝統の息遣いとでもいうべきものが、音楽の中に脈々と息づいているかのような演奏。終楽章の素晴らしさもハンパでなく、わけても起伏部においてはアンサンブルの限界点をも超えるような演奏の勢いに圧倒させられます。まさにアルブレヒト会心の演奏というべきものでしょう。

以上の第1番の演奏に比べると、名演とはいえ他の3曲はちょっと印象が霞んでしまうところがあります。特に第2番の演奏は、アンサンブルの勢いというか音響的な強度感が、その10年前の第1番の演奏より明らかに聴き劣るので。とはいえ、アンサンブルの発する音色のクオリティ自体はハイ・レベルですし、アンサンブルの練り上げの緻密ぶりも、第1番の演奏に輪をかけて良く、いかにも円熟味の高い好演という感じはします。

第3番もおおむね第2番と同じ印象。第4番は第1番と録音時期が近いですが、録音プロデューサが異なっているようで、第1番の演奏よりも耳当たりが若干ソフトな感じがします。そのぶん強烈感が落ちるものの、演奏自体の勢いの良さは第1番のそれに近いものがあり、ブラームス演奏に対する指揮者とオーケストラの、確固たる自負が演奏の説得力として結実したかのような快演だと思います。

ブログ開設から3ヶ月


当ブログ開設からちょうど3ヶ月経ちました。内容的にはCDの感想をメインに、コンサートの感想を時々交えるという感じでやってきましたが、今後もこういうパターンで続けようと思います。

とはいえ、カテゴリの配分がかなり偏ってしまっているのは反省点かなと思います。「2001年以降の録音」が突出してしまってますから。これまで感想を掲載したCDの8割くらいが新譜だったので、こうなってしまったわけですが。

まあ、新譜というのは、一定期間が過ぎると「新譜」じゃなくなるので、優先的に感想を掲載してきたんですが、実は中古CDも新譜と同じくらい購入してまして、そっちの方の感想が結果的に後回しになってしまってます。というか、未聴CDがけっこう山積みになっている、、、

ですので、今後は新譜だけでなく、新規購入した中古盤を聴いた感想も積極的に掲載していこうと思います。また、新規購入盤に限らず、愛聴盤とか、特に印象の強い演奏とか、そういうCDを紹介する意味で感想を掲載するのもいいかなと思ってます。

という所存ですので、今後ともどうぞよろしく。<(_ _)>

ラインベルガーのヴァイオリンとオルガンのための作品集


ラインベルガー ヴァイオリンとオルガンのための6つの小品、ヴァイオリンとオルガンのための組曲
 デニソヴァ(vn)、シュトルツェプ(org)
 アルテ・ノヴァ 1997年 74321-58965-2

このラインベルガーの作品集は、特に新譜というわけではないですが、毎年この時期になると、どうも気分的に聴きたくなるというCDです。秋が深まり暦の上ではすでに冬という時節に、なんとなく音楽が合う感じがするので。

ヨゼフ・ラインベルガーはドイツ・ロマン派の流れを組む作曲家の一人で、フルトヴェングラーの師匠筋に当たる人として知られています。

このディスクに収録されているのはヴァイオリンとオルガンのための作品集ですが、両者の対位関係は対等ではなく、比率的にはヴァイオリン8にオルガン2、という感じで、あくまで主導はヴァイオリン・ソロ、それをオルガンが縁取りつつ音楽が進行します。

その作風はメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を一層甘美にしたような、情緒纏綿というような雰囲気が支配的で、ひとつ間違えればムード・ミュージックともなり得るほどです。

それだけに演奏者の表現力が生命線の作品ともいえそうですが、ここでのエレーナ・デニソヴァのヴァイオリン・ソロは甘美なフレージングの線を程よく強調しつつもそれを過分に広げすぎず、強めの音色とキレの良いボウイングを核とするシビアな色彩を音楽に付与することに成功しているため、演奏がムード・チックに堕さず、きりりとしていて、最後まで安心して聴き通せます。

白眉は「6つの小品」の6番目の「序曲」。明らかにバッハの無伴奏ソナタからの影響と思われるフレーズを感じさせる佳曲で、演奏もバッハ的なものを感じさせるに十分な内容です。

プレトニョフとガンシュ/ロシア国立管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(2)


ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集
 プレトニョフ(pf) ガンシュ/ロシア国立管弦楽団
 グラモフォン 2006年ライヴ 4777475

昨日のつづきです。

全5曲の演奏中もっとも凄いと感じたものは第4協奏曲で、まず冒頭のメイン・テーマを出すソロが意表を突いた弾かれ方で驚かされます。スタッカートがスタッカーティッシモ風に弾かれ、しかも第2小節アタマなどのスラーつながりの音符も全部スタッカートにして弾いていて、ずいぶん独創的です。

全編にピアノ・ソロの表情の強さが際立ち、例えば(3:58)あたりのソロの振幅の強烈感といい、(8:23)あたりのものすごいルバートといい、ショパン風なロマンティズムをも思わせる鮮烈な感触を与えられて、聴いていて新鮮きわまりない。再現部冒頭のソロの強打の凄いこと。カデンツァでの大いなる自在感。

第2楽章と終楽章も含め、この作品をこれほど個性的に弾いた演奏というのも珍しいと思われますが、それが実に音楽的であって、少なくとも奇抜なだけに終わらない表情の豊かさと、音楽としての充実感に昇華されていて素晴らしいと思いました。

この第4協奏曲に次いでは、第3協奏曲と「皇帝」がいいですね。第3協奏曲もやはり個性的な内容で、細かく聴いていくと、第4協奏曲同様、スコア通りでない弾かれ方も耳につきます。大きなところだと、第1楽章のカデンツァ460小節のところ(13:53)で、16分音符のアタマだけ弾くようにして、分散和音の雪崩れ落ちるような効果を強調しているのが印象的です。「皇帝」の方はむしろデュナーミクとアゴーギグの強烈な振幅感に圧倒されます。

以上の3曲に比べると、第1と第2の協奏曲は、やや印象が落ちる感じがします。プレトニョフの個性感の発露が相対的に大人しいからで、確かに普通の演奏と比べるとずいぶん表情を付けた内容で、聴いていて新鮮さには事欠かないですが、第3協奏曲以降の演奏のそれと比べると個性感が際立たないところが少し物足りなかったですね。

プレトニョフとガンシュ/ロシア国立管によるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集(1)


ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集
 プレトニョフ(pf) ガンシュ/ロシア国立管弦楽団
 グラモフォン 2006年ライヴ 4777475

このプレトニョフのピアノ・ソロによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集は、去年から今年にかけてバラでリリースされていたディスクが集成された再リリース盤です。値段もかなり安くなっていて、同じ録音の国内盤をバラで買った場合と比べるとちょうど半額程度で買えました。

全5曲とも2006年9月のボン・ベートーヴェンハレにおけるコンサートのライヴ録音ですが、プレトニョフはこのコンサートを最後にピアニストとしての活動を終了し、指揮業に専念する方針とのことです。

演奏内容はリリース当初からかなり話題になっていたようですが(ネット上でも「賛否両論」という類のセールス文句が見かけられます)、実際聴いた限りでも、ずいぶん個性的な演奏だと思いました。

ピアノ・ソロに関する大まかな特徴として、全5曲とも、程度の差はあるものの、おおむね
①個性的なルバートを多用する
②スコアの細かい指定に必ずしも忠実でない
③強弱のコントラストを大胆に強調する
といった演奏様式が採られているようですね。

全5曲の演奏中もっとも凄いと感じたものは第4協奏曲で、個人的にはこれが5曲中のベスト演奏と感じました。極めて独創的でありながら、極めて音楽的な演奏で、そのあたりの絶妙なバランスが凄いと思います。

そのあたりについて、後日あらためて詳しく書きます。

フルネ/都響によるビゼーの交響曲とブラームスの交響曲第3番


ビゼー 交響曲第1番&ブラームス 交響曲第3番
 フルネ/東京都交響楽団
 フォンテック 2000年ライブ(ビゼー)、2001年ライブ(ブラームス) FOCD9157

両曲ともにフルネ最晩年の時期の都響との演奏で、ビゼーはサントリーホール、ブラームスは東京芸術劇場でのライブ収録。いずれも90歳間近の指揮者によるものとは、にわかには思えないほど立派な演奏です。

ただ、ビゼーの方は率直に言って、聴いていてどうもしっくりこない感じも受けます。終楽章を除いてスロー基調のイン・テンポ・スタイルを貫いていることがその理由です。確かに音楽としての恰幅はすこぶる立派なんですが、それが必ずしも曲趣と調和しないような印象も拭えないところで、17歳のビゼーが書いた若書き作品に対し、このテンポ取りはちょっと過分なような気もします。

もっとも第2楽章はスタイルの長所がかなりストレートに感じられる演奏で、オーボエの第1テーマのしっとりとした美感、(3:55)あたりの静的な高揚力など、いずれも演奏の構えの大きさを背景に音楽が強く訴えかけてくる感じがします。

ブラームスの方はビゼーとは対照的に速めのテンポを主体とするオーソドックスなスタイルで、内容的にもビゼーを上回る名演だと思います。

第1楽章冒頭からアンサンブルの鳴り具合がビゼーの時よりも明らかに充実的で、ことに金管パートの好調ぶりが際立ってますね。同楽章コーダ(7:49)あたりなどは、金管の鳴りが強すぎて弦の強奏さえ霞んでしまうほどですが、その高揚感はバツグンです。第2・第3楽章も全体に音色の強さと美性とを兼備したようなアンサンブル展開が素晴らしく、やはりビゼーの時より音楽の味がひとまわり濃い感じがします。

終楽章は冒頭の弱奏からフォルテへ向かってのアンサンブルが迷いのないビシッとした歩調で、金管パートも相変わらず好調、特に(3:50)あたりの表出力が見事。さらに印象的なのは(4:10)あたりからのアッチェレランドの強烈感で、このあたりテンポの動きを徹底的に抑制したビゼーの時とは段違いの迫力ですね。

フルネ/都響によるショーソンの交響曲とラヴェルの管弦楽作品


ショーソン 交響曲&ラヴェル 「マ・メール・ロア」組曲、スペイン狂詩曲
 フルネ/東京都交響楽団
 フォンテック 2003ライブ(マ・メール・ロア)、2004年ライブ(ショーソン、狂詩曲) FOCD9257

先日鬼籍に入られたジャン・フルネの録音をいくつか聴き直してみましたが、やはり晩年、特に最晩年の都響とのライヴに名演が多いように思います。このショーソンもそのうちの一枚で、曲がいまひとつ地味なのでそれほど話題にはならない演奏のようですが、フルネ一流の巨匠的な音楽の風格が見事な名演です。

第1楽章冒頭序からアンサンブルの緻密で濃密な練り上げが素晴らしい。広大な情景が拡がるよう。(2:55)あたり、なんと雄大な、、、

主部に入ってもアレグロに反してテンポは上がらない、確信的なスロー・テンポ。その流れにおいてはこの楽章の情動的な猛りこそ希薄としても、常に音色の陰影に意の注がれるアンサンブルが導出する、大河的な音楽の迫力と美しさとが際立っていて、ことに(10:35)あたりのクライマックスから、再現部を導くあたりの、ハーモニーの雄渾な佇まいは、一度聴いたら忘れられないくらいのインパクトがあります。

第2楽章は、前半の静謐と後半の裂ぱくとが、完全に一体的な流れの中で連結されていて、まるで自然の気候の推移のような感じさえも。終楽章は、迫力面ではもう少しティンパニが強くてもと思いますが、スロー調の特性を生かしたハーモニクスの広々とした佇まい、音彩推移の克明性による機微など、すこぶるつきです。

そして、91歳!のフルネを懸命に支えようとする都響のアンサンブルの献身的な響き。これはラヴェルの2曲も同様で、その充実感はちょっと並々ならないですね。

ガーディナー/ORRによるブラームスのドイツ・レクイエム


ブラームス ドイツ・レクイエム
 ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
 フィリップス 1990年録音 432140-2

今週の月曜日の更新分で、ガーディナーとORR管のブラームスの1番の演奏が素晴らしいということを書きましたが、ガーディナーとORR管によるブラームスの録音としては、他にこの「ドイツ・レクイエム」がフィリップスからリリースされています。もう20年近く前の録音になりますが。

この「ドイツ・レクイエム」はガーディナーが創設したピリオド・オーケストラであるオルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークとの初録音で、ドイツ・レクイエムのピリオド・オーケストラによる演奏としても初録音とされるものです。この曲が初演された1860年代のオーケストラの楽器と奏法の再現による演奏形式に拠っています。

それで、久々に聴いてみたんですが、やはり先日聴いた第1交響曲の演奏と比較するとアンサンブルの強烈感が大人しい感じが否めませんでした。もちろんシンフォニーと合唱曲との違いもあると思いますが、録音当時のピリオド・オーケストラの演奏技術が今日ほどには成熟していない点が大きいような感じがします。

とはいえ演奏自体はしごく立派なもので、端正な音楽の造型美、きびきびとしたアンサンブルの機動性、細やかな音色の色彩美、細部まで緻密な旋律処理など、ピリオド演奏ならではの個性が端的に表れていて傾聴させられます。

従って、この曲に対して一般的にとられるような、重厚さやロマンティシズムといった要素はここでは希薄で、このあたりは先日聴いた第1交響曲の演奏とも同質的な特徴が感じられます。

全7曲の中では第2曲と第3曲の演奏が特に秀逸と感じられ、第2曲では冒頭の葬送行進曲での引き締まったフォルムによる厳かな響きが、曲の進展につれて次第に力強く盛り上がっていく過程での緻密なダイナミクスの織り上げぶり、中間部に聴かれるアンサンブルの軽妙かつ晴朗な響きなど、いずれも素晴らしく、第3曲では後半の大規模なフーガでの精緻な旋律の走らせ方が際立っていて感動的です。反面、第6曲では主部以降の「怒りの日」の楽想において若干の迫力不足を感じます。

合唱・独唱も全体的にオケに劣らず緻密性に優れ、相互のバランスにしてもおおむね理想的で、ピリオド・オーケストラによる同曲のファーストレコーディングながらもすこぶる完成度の高い演奏だと思います。

フルネ/都響によるベルリオーズの「幻想」2001年ライヴ


ベルリオーズ 幻想交響曲
&ラヴェル 「ダフニスとクロエ」第2組曲
 フルネ/東京都交響楽団
 フォンテック 01年ライヴ(幻想)、00年ライヴ(ラヴェル) FOCD9168
FOCD9168

本日、ジャン・フルネ氏の訃報が報じられました。昨日オランダにて死去されたとのこと。享年95歳。御冥福をお祈りします。

その最晩年の都響との演奏は実演、録音ともに素晴らしいものが多く、ことに実演は軒並み素晴らしかった。特に90歳に差し掛かる時期の演奏には、ある種神がかったような独特のムードがあって、客席で聴いていてそういう雰囲気に魅了させられたのが思い出されます。

私が聴いた限りのベスト・コンサートは、2001年6月に東京文化会館で聴いたベルリオーズの幻想交響曲で、その時のライヴ録音がこのフォンテックのCDです。

この「幻想」は、全体に遅めのテンポを持続させながら音楽を格調高く描いた、いわゆる巨匠風のスタイルに拠る演奏で、表情的には情熱性とか猟奇性といった色合いはおおむね希薄ですが、オーケストラを深々と鳴らし切ったアンサンブルの包容力、および隅々まで吟味されつくしたかのような、一つ一つの音色の豊かな色彩感、そして音楽のスケール感と深みにおいて希有の感触を湛えた名演です。ただ、生で聴いた時にはアンサンブルの表出する神がかり的な凄みにも圧倒されたんですが、そのあたりの雰囲気は、やはりCDで聴くといまひとつ伝わり切らないようですね。

この「幻想」以外のCDでは、ショーソンの交響曲、ベートーヴェンの「エロイカ」、ブラームスの3番、フォーレの「レクイエム」を希有の名演として挙げたいと思います。いずれも都響とのライブ録音です。

ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティークによるブラームスの交響曲第1番


ブラームス 交響曲第1番、声楽作品集
 ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
 ソリ・デオ・グローリア 2007年ライヴ SDG702

これはガーディナー自身の運営するソリ・デオ・グローリア・レーベルから先月リリースされたディスクで、07年秋から2年間かけてブラームスの4つのシンフォニーと主要な合唱作品をライヴ録音してゆくという、ガーディナーのブラームス・プロジェクトの第1弾とのことです。

これまでピリオドオーケストラによるブラームスのシンフォニー録音はほとんどなされていないはずで、かつてノリントンがロンドンプレーヤーと録音した演奏くらいしか思い当たりません。

さっそく聴いてみると、第1楽章冒頭のフォルテから金管パートの突出感がもの凄くて驚かされます。それは(2:26)からの主部においても同様で、ナチュラルホルンの音色がすこぶる鮮烈に響きわたるし、楽章を通して、管パートの音色の冴えが抜群にいい。弦楽器は重厚さこそ薄いが強靭な音色の切れ味が鋭く、ティンパニの音立ちもパリッとしていて、編成規模からすると想像しがたいほどの音楽の迫力がコンスタントに立ち現われています。テンポはおおむね快速調ですが速め一辺倒でもなく、むしろオーソドックス。だからこそピリオドアンサンブルの発するハーモニーの異色感がこよなく強調されます。(10:55)からのクライマックスの強烈な響き、、、

第2楽章と第3楽章も個性的で、ヴィブラートを抑制したフレージングラインは造形的輪郭を美しく描き出し、このシンフォニーの一般的なイメージである重厚なロマンティズムとは明らかに一線を画する表情形成。ピリオドアンサンブルの清潔感豊かな音色がその美しさを助長し、聴いていて晴れやかな気分にさせられます。

終楽章も非常な名演。ナチュラルホルンを中核とする金管パートの音色の冴えが絶妙で、管パートの活力が際立っている。(2:24)からのホルン・コラールの濃密なこと。弦パートは必要以上に出しゃばらないものの、音色自体が常にキリッとしていて、アンサンブルの高揚力を全く落とさない。このあたりはバランス的にかなりスリリングで、聴いていて感服させられました。

このガーディナー/ORR管の演奏は、おそらくピリオドオーケストラによるブラームスのシンフォニー録音としては現状において最良ともいうべき画期的な成果でしょう。少なくともかつてのノリントン/ロンドンプレーヤーを遙かに凌駕する完成度と表出力を備えた演奏に仕上げられていると感じました。

ダウスゴー/デンマーク国立放送響によるベルワルドの交響曲全集


ベルワルド 交響曲全集 
 ダウスゴー/デンマーク国立放送交響楽団
 ブリリアント・クラシックス 2000~2004年 BRL93699

この演奏は、もともとはシャンドス・レーベルからリリースされていたものですが、このたびブリリアントから激安価格で再リリースされました。18世紀前半のスウェーデンの作曲家フランツ・ベルワルドの4曲のシンフォニー、交響詩「ノルウェーの山の思い出」、音詩「妖精たちの遊び」が収録されています。

ベルワルドの交響曲全集は、ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団の録音(1985年録音、グラモフォン、F66G 50307/8)を持っていて、内容的にもこれがあればとりあえずいいかと、思っていたんですが、値段の安さもあって購入して聴いてみました。ヤルヴィ/エーテボリ響の演奏とも部分的に聴き比べてもみました。

このダウスゴー/デンマーク国立放送響の演奏は、ヤルヴィ/エーテボリ響の全集盤とはかなり雰囲気が違いますが、内容的にはちょっと甲乙付けがたいですね。ヤルヴィ盤と比べて最も大きな相違点は、アンサンブルの発するハーモニクスが凝縮的なところだと思います。

このダウスゴー盤の演奏では、全体にフレーズの線を必要以上に広げず、ヴィブラートも抑制し、ハーモニーの音像を常にキリッと維持し、響きを拡散させない。このあたり、ヤルヴィ盤は個々のフレーズの線がかなり分厚いし、ヴィブラートも闊達だし、ハーモニーも拡散的で、響きが濃密でスケール味が高く、この点で非常に聴き応えがあります。しかしこのダウスゴー盤は、そういう濃密性こそ薄いものの、ダイナミクスの強弱に関わらずハーモニーの見通しが非常に良く、細部の仕上がり具合や細かい表情のニュアンスという点でもヤルヴィ盤を凌いで素晴らしいものを感じます。テンポ設定もヤルヴィ盤よりおおむね遅めで、そのぶん緻密だし、ヤルヴィ盤では気づきにくいディテールの機微もこのダウスゴー盤だと良く伝わってくる感じがします。

迫力面にもかなりの充実感がありますね。特に「サンギュリエール」の終楽章が見事。凝縮的なアンサンブルの繰り出すキリッとした音像のパンチ力が抜群で、ヤルヴィ盤をも上回る迫力と感じました。

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