サバイーノ/ミラノ・スカラ座管によるプッチーニの歌劇「ボエーム」全曲


プッチーニ 歌劇「ボエーム」全曲
 サバイーノ/ミラノ・スカラ座管弦楽団
 ボンジョバンニ 1928年 GB1125/26-2
GB112526-2

私はここ最近2か月くらい、土曜日というと必ず、何がしかのオペラを聴いているような気がして、ブログの題目のリストを確認してみたところ、実際その通りになっていて、自分のことながら少しビックリしました。

先週と先々週は「オテロ」ですし、その前は2週とも「ドン・カルロ」ですし、さらにその前はラトルの「ポーギーとベス」で、その前にもゲルギエフの「青ひげ公の城」がありますから、少なくとも最近2か月に限るなら、私の場合「土曜日はオペラの日」みたいな感じになっているようです。

別にそれは単なる偶然なのですが、そのあたりの習慣からか否か、今日あたりも何かオペラを聴かないと据わりが悪いような気持ちになり、結局この「ボエーム」全曲盤をひととおり聴いてしまいました。

これはカルロ・サバイーノの指揮で1928年にコロンビアに録音したSP盤を復刻したものです。ちょうど一週間前に、同じ顔合わせのヴェルディ「オテロ」全曲盤を聴いていますので、その流れで選びました。

その「オテロ」の方は全曲盤としての世界初録音でしたので、こちらの「ボエーム」も購入時、世界初録音に違いないと思ったのですが、調べてみると「ボエーム」全曲の世界初録音はなんとその10年も前の1918年に、同じくサバイーノとミラノ・スカラ座のオーケストラにより為されていました。ただ、そちらは当然ラッパ吹き込みによるアコースティック録音なので、電気録音による「ボエーム」全曲盤としては、この28年のサバイーノ盤が世界初録音だと思われます。

音質は、年代からするとかなり良好な部類です。全体にノイズレベルが低く、各歌手の歌唱がくっきりと高感良く聴こえる点に感心します。ただ、オーケストラの演奏が歌唱のそれと比べると総じて引っ込んだ感じにモヤッとしているあたり、ノイズリダクションが少し行き過ぎという気もしますが、、

演奏ですが、歌唱陣が全般に立派で、特にロドルフォ役のジョルジーニが素晴らしく、かつてのパバロッティをも思わせる高音域の表現力に卓抜したものを感じます。ミミを歌うロジーナ・トーリの歌唱力も魅力的ですが、病弱なミミの可憐なイメージを強調したかったのか、それとも単に音質が古くてそう聞こえるのか、全体的に歌唱の線がちょっと細めで、例えばテバルディあたりのミミからすると(変な言い方ですが)ちょっと貫禄不足という印象も残ります。

そういう個別の歌手の印象とは別に、この録音は聴いていて、スタジオ録音というよりオペラ劇場でのライヴみたいな、リアル感のある雰囲気が感じられ、興味深い感じがしました。

ちなみに私は、同じ「ボエーム」全曲盤の、ビリー/バイエルン放送響の最新録音盤について先月感想を書いたのですが、こちらはライヴ録音なのに、むしろスタジオ録音を聴くような雰囲気を聴いていて感じました。

一例を挙げますと、第1幕終盤のミミとロドルフォの有名な愛の二重唱のラストで二人が「amor」と歌うくだりで、このサバイーノ盤ではテノールのジョルジーニがプッチーニの原譜にないハイCを披露しています。これはオペラ劇場ではテノールの見せ場のひとつとして慣習的に行われているやり方ですが、これに対してビリー盤のヴィラゾンは原譜どおりです。すなわち、この点に関してはスタジオ録音のサバイーノ盤の方がライヴ録音のビリー盤より明らかにライヴ的です。

他にも、第4幕ラストでミミが息を引き取る場面で、サバイーノ盤ではロドルフォが絶叫の後に号泣する(ビリー盤では絶叫のみで、こちらも原譜どおり)など、やはりレコーディングがさほど一般化していない年代だけに、歌手の方も劇場感覚で録音に臨んでいるような節が伺えます。

そういうこともあり、音質のハンデは確かに大きいとはいえ、このサバイーノ盤はその音質水準を超えて聴いていて強く訴えてくるものがあります。その録音自体の歴史的な重みも含め、同じ「ボエーム」全曲盤でも、最新録音たるビリー盤で聴くのとはまた別種の深い感銘が聴き終えて残るものでした。

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