ハイティンク/コヴェントガーデンによるワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲の感想

「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc29-32】
・ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」全曲
 ジョン・トムリンソン(Br:ザックス)
 エスタ・ヴィンベルイ(T:ワルター・フォン・シュトルツィング)
 ナンシー・グスタフソン(S:エファ)
 キャスリーン・ウィン・ロジャーズ(Ms:マグダレーネ)
 ヘルベルト・リッペルト(T:ダーヴィット)
 トーマス・アレン(Br:ベックメッサー)
 ベルナルド・ハイティンク指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音時期:1997年

このマイスタージンガーはハイティンク会心のワーグナーというべきだろう。冒頭の前奏曲から遅めのテンポで深々と鳴らされるオーケストラの表出力に惹きこまれるし、全体を通じて悠然とアンサンブルを進めつつ、立体的な奥行きに富んだ彫りの深いハーモニーを構築するハイティンクの指揮ぶりには、随所に大家の風格が滲み出ており、本ボックスセットの中でもベストな水準にある音質の良さも、その演奏の感銘を活き活きと伝えている。歌手陣も適材適所であり、90年代を代表するワーグナーバリトンのトムリンソンを中核に据えた有機的でコクのある重唱の味わいが素晴らしい。

アンドルー・デイヴィス/コヴェントガーデンによるR.シュトラウス「ばらの騎士」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc26-28】
・ R.シュトラウス:「ばらの騎士」全曲
 アンナ・トモワ=シントウ(S:元師夫人)
 クルト・モル(Bs:オックス男爵)
 バーバラ・ボニー(S:ゾフィー)
 アン・マレイ(Ms:オクタヴィアン)
 アラン・オウピ(Br:ファニナル)
 サー・アンドルー・デイヴィス指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1995年

この「ばらの騎士」は突き抜けた特色には欠けるが、オケ・歌手・音質いずれも高いレベルで安定しており、弱点がなく、その意味で安心して耳を傾けられる。マルシャリンのトモワ=シントウとオックスのモルは、それぞれ80年代の同じ役の録音と比べると声の張りに少し翳りが認められるも、ここではむしろベテランの域にある歌手ならではの老練にしてニュアンスの深い歌唱が聞き物であり、それはゾフィーのボニーの若々しい歌唱と絶妙なコントラストを形成することにもなり、このオペラの内容からすると、ある意味で理想的なバランスというべきものだろう。A・デイヴィスの指揮は全体的に規範的でそつがなく、この作品のノーブルな音楽の味わいを自然な形で印象付けられる。

マッケラス/コヴェントガーデンによるグルック歌劇「アルセスト」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Discc24-25】
・グルック:歌劇「アルセスト」全曲
 ジャネット・ベイカー(Ms:アルセスト)
 ロバート・ティアー(T:アドメート)
 ジョナサン・サマーズ(Br:ヘラクレス)
 モールドウィン・デイヴィス(T:エヴァンドル)
 サー・チャールズ・マッケラス指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1981年

「アルセスト」はグルックのオペラとしては「オルフェオ」に次ぐ知名度だが、この作曲家の先鋭性をはっきり描き出すには、やはりピリオド・オーケストラの方がいいと思うが、このマッケラス/コヴェントガーデンはかなり健闘していると感じる。無駄なく刈り込まれた弦のフレージングやメリハリの効いた管の色彩が展開する悲劇のドラマが近接マイクによりリアルに捕捉されていて好ましいし、歌唱陣の水準も高く、とくに第2幕後半部でアルセストとアドメートが繰り広げる歌唱の切迫した表現が素晴らしい。

コリン・デイヴィス/コヴェントガーデンによるモーツァルト歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc21-23】
・モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」全曲
 キリ・テ・カナワ(S:フィオルディリージ)
 アグネス・バルツァ(Ms:ドラベッラ)
 ダニエラ・マッツカート(S:デスピーナ)
 スチュアート・バロウズ(T:フェルランド)
 トーマス・アレン(Br:グリエルモ)
 リチャード・ヴァン・アラン(Bs:ドン・アルフォンソ)
 サー・コリン・デイヴィス指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1981年

音質はまあまあだが、80年代の録音としては少しダイナミックレンジに不満もあり、とくに歌手の高音の伸びがいまひとつ冴えない。歌唱陣はさすがに豪華だが、ドラベッラのバルツァには違和感があり、もともとリリコ系のメゾの持ち役なだけに、ドラマティコ系のバルツァだと少しドスが効きすぎという局面がある(デスピーナに怒鳴り散らすあたりとか)。テ・カナワは安定した歌唱力を披歴し、このソプラノの難役を見事に歌い切っているが、高音を十分に捉えてない音質に足を引っ張られているのが残念。バロウズとアレンは可もなく不可もなく。

グッドール/コヴェントガーデンによるワーグナー「パルジファル」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Discc17-20】
・ワーグナー:「パルジファル」全曲
 ジョン・ヴィッカーズ(T:パルジファル)
 エイミー・シュアード(S:クンドリー)
 ルイス・ヘンドリックス(Bs:グルネマンツ)
 ノーマン・ベイリー(Br:アンフォルタス)
 ドナルド・マッキンタイア(Bs:クリングゾル)
 マイケル・ラングドン(Bs:ティトゥレル)
 キリ・テ・カナワ(S:第一の花の乙女)
 サー・レジナルド・グッドール指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1971年

このパルジファルは素晴らしい。指揮と歌手に人を得た舞台で、音質もいい。なにより名匠グッドールの彫りの深いアンサンブル展開が織りなす深々とした響きの伽藍に引き込まれる。コヴェントガーデンのオケからこれほどに本場ドイツさながらの重厚な味わいのワーグナーを構築するあたり、グッドールの面目躍如というべきか。ヴィッカーズ&シュアードはDisc15-16の「仮面舞踏会」と同じ顔合わせだが、こちらの方が音質がふたまわりくらい良いので、いずれもワーグナーを得意とした歌手の名唱ぶりが感度よく伝わっている。

ダウンズ/コヴェントガーデンによるヴェルディ歌劇「仮面舞踏会」全曲の感想


「ロイヤル・オペラ グレート・パフォーマンス」
 OpusArte 1955~1997年 OACD9024D
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【Disc15-16】
・ヴェルディ:歌劇「仮面舞踏会」全曲
 エイミー・シュアード(S:アメーリア)
 ジョン・ヴィッカーズ(T:グスターヴォ)
 エットーレ・バスティアニーニ(Br:レナート)
 レジーナ・レズニック(Ms:ウルリカ)
 ジョーン・カーライル(S:オスカル)
 エドワード・ダウンズ指揮
  コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
 録音:1962年

音質面に問題があり、同じ62年の前記「ドン・ジョヴァンニ」と比べてもふたまわりくらい音が悪い。全体的にモコモコした抜けの良くない音であるうえ、第2幕冒頭など、局所的に音飛びや音割れが著しい。第3幕第1場ラストの五重唱など途中でフェードアウトしてしまっているが、よほどマスターテープの状態が悪かったのか。歌唱陣の顔ぶれは悪くなく、とくにヴィッカーズのグスターヴォは貴重な聞き物だが、いかんせん音質が振るわないため、額面通りの歌唱水準には至らず。ダウンズの指揮も全体に平凡。

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